結婚直前の29歳女性が、母親から「渡されたモノ」に激怒。地獄に落ちればいいのに<漫画>

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2024年06月17日 16:10  女子SPA!

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モラハラ加害者の視点を描き大きな反響を呼んだコミック『99%離婚 モラハラ夫は変わるのか』。その続編『99%離婚 離婚した毒父は変われるか』(漫画:龍たまこ、原作:中川瑛/KADOKAWA刊)は、父親のモラハラ・DVが原因で絶縁した「父と娘」の物語です。

社内で“仏の鳥羽さん”と慕われながら、大手商社で管理職を務める男性・鳥羽。その過去の顔は、厳しすぎるハラスメント上司でした。家庭でもモラハラとDVを繰り返した結果、離婚しています。

その後、同世代の男性3人でルームシェアをする鳥羽と、「許せない毒父」のトラウマを抱え続ける娘・奈月。娘は父を許すのか? 娘もまた、毒親になってしまうのか? ハラスメントの連鎖は断ち切れるのか――? 仕事と家庭、家族のつながりについて考えさせられる話題作を、出張掲載。

さらに、3人の子どもを育てるマンガ家でシングルマザーの龍さんと、モラハラ・DV加害者のための変容支援コミュニティGADHAを主宰する原作者の中川さんに、本作について語ってもらいます(以下、KADOKAWAの寄稿)。

◆抑えられない怒りは、弱い自分を守る防衛システム

――今作のもう一人の主人公である娘の奈月。彼女は鳥羽からのモラハラに影響され生きづらい人生となっています。彼女を通して伝えたかったこと、また彼女を描くときに気を付けた点など、奈月について思うことを教えてください。

漫画・龍たまこさん(以下、龍):奈月はパッと見激情型で、怒りっぽい、強い女性のように見えます。ですが、実際その怒りは弱い自分を守るための防衛システムみたいなものです。外側に向けた攻撃性と、内側の繊細さのギャップに気をつけて描きました。

イメージとしては、人間に捨てられた手負いの野良猫みたいな。基本的にとても人が怖いんですよね。信頼してしまって本当に大丈夫なのか? 弱みを見せても大丈夫なのか? 攻撃されないのか? 毒親家庭育ちで、常に緊張状態で生きてきた彼女のサバイバル術が、あの「怒り」だったと思います。

その怒りが婚約者の陽多や部下に向けられるわけですが、「女性からのモラハラは許される」というメッセージにならないように、気をつけました。

◆傷つけられてきた自分が、知らないうちに加害者へ

原作・中川瑛さん(以下、中川):奈月のキャラクターを通して、僕はトラウマ、毒親、アダルトチャイルドなどの問題というか、キーワードを知って苦しんでいる人々のリアリティを描きたかったと思います。

実際、このような背景を持つ女性は非常に多く、GADHA(モラハラ・DV加害者変容に取リ組む当事者団体)はよく男性の集まりだと思われるのですが、実際には3割ほどは女性です。彼女たちは自分の加害性をコントロールすることに苦しんでいます。こうしてはだめだとわかっているのにやめられない、自分自身に振り回されるような感覚に苦しんでいる人がたくさんいます。これは男性の加害者も、加害を自覚してからは同様です。

これらの女性は、自分が傷つけられてきたと感じる一方で、知らず知らずのうちに他者との関係で加害者になってしまうことがあります。そうして孤立したり、人間関係で問題を抱える中で生きづらさを自覚して色々調べてみると、上記のようなキーワードに出会う。社会や育った環境の中で被害者であったことを気づかせるものですが、現在は加害者となっているという事実に直面することは、非常に辛い現実です。

◆子どもを持つことへの恐れや、親になることの不安

中川:奈月を描く際には、彼女の内面の葛藤や、生きづらさを感じている人々の感情を正確に表現することに注意しました。また、子どもを持つことへの恐れや、親になることの不安を抱えている人々の心情も描きたかったです。自分の生きづらさや、親からの影響を受けていることを認識した上で、同じ過ちを繰り返さないようにしたいという思いは、多くの人が共感できるものだと思います。実際、とても多くの方が、苦しんでもいます。

加害者が毒親にならないようにしようと思い、これらの葛藤を周りに共有したりする時に、「親もひとりの人間だし、許してあげたら」とか「いつまでも親のこと意識しすぎじゃない?」といわれるようなこともよくあります。しかし、自分の加害者性を認めるからといって、自分の傷つきや痛みがなかったことにはなりません。そして、実際、人を傷つけてきた歴史がなくなるわけでもありません。それがなくならないことを認めるからこそ、その痛みを引き受けてケアを始めていくことができるからこそ、きっと被害者から加害者になってしまった人の、その先の変容があるのだと思っています。

◆自暴自棄にならずに、自分の罪も痛みも認めて

中川:この漫画では、「加害者を許さなくても、幸せになっていい」というメッセージを伝えたかったのです。

加害者を許さなくても、生きやすくなれる。ケアを始めることはできる。聖人君子にならなくていい。許せない人がいていい。全員と楽しく仲良く生きるなんてことしなくていい。自他共に持続可能な範囲でケアしあえる関係があればいい。それ以上のことを無理に頑張って目指さなくていい。誰にも許しを強要される必要はない。傷つきはなくなったりしない。だからこそ、自分もまた、誰かが自分を許してくれるとは限らないことを認める必要があります。

憎まれ続けるかもしれない、嫌われ続けるかもしれない。それもまた、避けることのできない現実です。それでもなお、自暴自棄にならずに、自分の罪を認め、自分の痛みを認め、そして自他へのケアを始めていくことができれば、それ以上のことはない。それこそが幸せになるということの意味だと考えています。
【龍たまこ】
3人の子どもを育てるマンガ家。1981年生まれのシングルマザーで、保育士の資格を持つ。ライブドア公式ブログ「新・規格外でもいいじゃない!!-シングルマザーたまことゆかいな子ども達-」をほぼ毎日更新中。著書に『規格外な夫婦~強迫症夫と元うつ病妻の非日常な日常~』(宝島社)、『母親だから当たり前? フツウの母親ってなんですか』(KADOKAWA)。X(旧Twitter):@ryutamako、Instagram:@ryu.tamako2

【中川瑛】
モラハラ・DV加害者変容に取リ組む当事者団体「GADHA」代表。妻との関係の危機から自身の加害性に気づき、ケアを学び変わることで、幸せな関係を築き直した経験から団体を立ち上げる。現在は加害者個人だけではなく、加害的な社会の変容にも取り組んでいる。著書に『孤独になることば、人と生きることば』(扶桑社)、『ハラスメントがおきない職場のつくり方 ケアリング・ワークプレイス入門』(大和書房)。X(旧Twitter):@EiNaka_GADHA

<構成/女子SPA!編集部>

【女子SPA!編集部】
大人女性のホンネに向き合う!をモットーに日々奮闘しています。メンバーはコチラ。X:@joshispa、Instagram:@joshispa

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