「企業から評価される大学生」がとる“他の学生と違う”3つの行動。採用支援の専門家がぶっちゃけ

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2024年06月17日 20:50  All About

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企業は採用活動の中で、自社で活躍しそうな能力を持った人材を見抜こうとするが、実はそういった学生は大学の授業の行動でも特徴がある。今回は就活で企業から評価される学生の授業での行動特性を解説する。
企業は面接やインターンシップでどんな学生を評価しているのだろうか?

自社に入社してから活躍できる能力を持った人材をさまざまな手段を使って見つけようとしており、それらの能力は一般的には「社会人基礎力」と呼ばれる。社会でどんな仕事をする上でも必要となってくる基礎的な力のことだ。

この能力は高校や大学時代のさまざまな経験を通じて培われるので、それをうかがい知るために、面接やエントリーシートでは「学生時代に最も力を入れたこと」(通称ガクチカ)について必ず聞かれる。

社会人基礎力には大きく分けて、対自己基礎力、対人基礎力、対課題基礎力の3つがあり(リクルートワークス研究所)、これらの能力が高い人材が社会に出て活躍する可能性が高いといわれているが、実はそういった能力を持つ学生たちは大学の授業でも他の学生と違った行動特性を持っている。
社会人基礎力

筆者は毎年、大学の経営学部などで授業を受け持っているが、通常の座学ではなく社会人基礎力の開発に有効なPBL(Project Based Learning)といわれるプロジェクト型の授業を行っている。

PBLの授業では対自己、対人、対課題、の3つの基礎力が特に分かりやすく学生の行動に現れやすい。ではそれぞれの能力を持つ学生はどんな学生なのか?

(1)「対自己基礎力」が高い学生の特徴:自己管理力と精神的なタフさ

対自己基礎力を一言で言うと「セルフコントロール力」である。自分自身の行動や感情を自分自身でうまくコントロールする力だ。

対自己基礎力が高い学生は基本的には授業の出席率が高い。学生でよくある、朝寝坊したのでそのまま授業を休んでしまうというようなことはあまりなく、日々の生活リズムも安定している。

課題もしっかり期限までに提出するので、真面目で優等生タイプの印象があり、教授からも信頼されやすい。

この対自己基礎力が高い学生の大きな強みは、「精神的にタフなこと」である。

対自己基礎力の中には感情制御力も含まれる。これは「ストレスコーピング」と呼ばれる外的なストレスや自身の感情の変化に対してうまく対処する力である。

PBLの授業では必ず4〜5人を1グループにしてプロジェクトを行う。

当然メンバー同士の意見のぶつかりや人間関係の問題が起こることもあり感情的にも落ち込んでしまう学生もいるが、対自己基礎力がある学生は問題が起こっても平然とプロジェクトに取り組める。

一種の「鈍感さ」もあるのかもしれないが、そういった学生の多くは過去に部活動や学校生活で多くの問題に直面して乗り越えた経験を持っている。

そのため何か問題やストレスの原因になることがあっても「なんとかなる」という根拠のない自信があるのだ。

日々の学生生活や授業で出される課題の提出期限、チーム活動で起こる問題でのストレスなどを含めて総合的に自己管理ができる学生は見ていてとても頼もしい。

(2)「対人基礎力」が高い学生の特徴:プレゼン上手なムードメーカー

PBL形式の授業を行う教員・講師にとって、対人基礎力が高い学生は大変有り難い存在だ。

人とのコミュニケーションやチームをまとめることが得意な学生が多く、対人基礎力が高い学生が1人いるだけで、そのチームは安定する。

先ほどの「対自己基礎力が高い学生」はチームで人間関係の問題が起こっても落ち込むことなく活動を継続できるのが強みだったが、対人基礎力が強い学生はそういった問題が起こらないようにメンバー間の人間関係をうまく調整できる。

例えば発言力がある学生にはあえてリーダーを任せてチームを引っ張ってもらい、性格的に大人しめであまり意見など言えないタイプの学生にも「◯◯さんとか何か意見ある?」と上手に発言機会を与えながら、議論の場でもチームの合意形成を進めていく。

発表の場面では持ち前のトーク力を生かして、堂々としたプレゼンを披露し、ベストチームにチームを導くことも多々ある。

対人基礎力が高い学生はチームスポーツなど集団活動の経験が豊富であり、主将や委員長などのリーダー経験をしている学生も多く、常に周囲に気を配り、チームに必要だと思ったアクションを起こすことができる。

そのためPBL形式の授業を行う場合は、対人基礎力が高い学生を各チームに1人ずつ分散することが、チームマネジメントのポイントになっているほど教員や講師には有り難い存在となっている。

企業にとってもそれは同じで、インターンシップやグループディスカッションの場面で、対人基礎力が高い学生が評価されるのは当然といえよう。

(3)「対課題基礎力」が高い学生の特徴:ロジカルで情報収集&問題解決好き

対課題基礎力が高い学生は対人基礎力が高い学生と比較すると授業中はそこまで目立たない存在であることが多い。

ディスカッションの場面でもしっかり考えてから発言するため、発言量も多いわけでもない。

対課題基礎力が高い学生がいると分かる瞬間は、チーム発表がある前日のプレゼン資料をデータで事前提出してもらったときだ。

明らかに他チームと比べて資料のクオリティが高い場合は、そのチームに対課題基礎力が高い学生がいることが多い。

まずは情報量が多い。対人基礎力の高いリーダーがいて、授業中もディスカッションが盛り上がっているチームでも、プレゼン資料は薄っぺらい内容であることが時々ある。

それは授業中の議論はワイワイ盛り上がったが、その後の調査やリサーチ、資料作成が不得意な学生が多いときに起こる。

対課題基礎力が高い学生は、まず情報収集が得意だ。どんな情報を集めれば今回の課題の解決につながるかが分かるので、うまく拡散と収束を繰り返しながら必要な情報を集めていく。

普通の学生は集めた情報をそのまま資料に入れてしまいがちだが、対課題基礎力が高い学生は「情報分析力」もあるため、集めた情報を比較検討し、最も重要な情報だけを整理して資料にする。

そのため資料がうまくまとまっているのだ。

発表の際はただ自分たちの意見を一方的に伝えるだけでなく、何がその問題の課題と原因で、解決するためには何が必要かという論理的な流れで発表する。

プレゼン上手な対人基礎力が高い学生が発表したチームに最初は評価が集まりやすいが、その後に質疑があると対課題基礎力が高い学生が本領を発揮する。

「先ほどの発表内容の◯◯の部分ですが、どうしてそれが課題だと思われたんですか?」

といった鋭い質問ができるのもその学生の強みの1つだ。その質疑の内容でその後のチーム評価が変わることはよくある。

対課題基礎力は偏差値との相関性が強く、特に理数系が得意な学生は高い傾向にある。大学受験や大学の研究活動を通じて伸びる力でもあるので、勉強を一生懸命頑張った学生が誇るべき社会人基礎力の1つといえよう。

3つの社会人基礎力と大学の授業で表れる行動例を紹介したが、どれも社会で働くには必要な力であり、授業に関わらず学生生活のさまざまな活動を通じて培われる能力なので、ぜひ学生たちには日々の生活の中でこれらの力を意識しながら、伸ばしていってほしい。
(文:小寺 良二(ライフキャリアガイド))

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