SNSで話題“カードゲーマーがクサい”問題。「ニオイに耐えかねてわざと負けた」利用者が怒りの告発

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2024年06月26日 16:21  日刊SPA!

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石川厚雄さん(仮名・34歳)
 6月上旬、東京都豊島区にあるカードショップ『カードパラダイス池袋本店』は公式のXアカウントで「大会参加者の一部のニオイがきついため、改善が見られなかった場合は今後大会は開催しない」という趣旨の投稿をした。SNSではカードゲーマーのニオイ問題は度々取り沙汰されているが、店側も手をこまねていることが伺える。
 そもそも、なぜカードショップでの“スメルハラスメント”は起きやすいのだろうか。『遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム』(以下、遊戯王)を25年近く愛好し、かつてはカードショップに週3〜4日足繁く通っていたという石川厚雄さん(仮名・34歳)に話を聞いた。

◆カードショップはなぜ臭い?

 実際に足を運ぶユーザー視点で、該当ツイートの真偽を尋ねると、「ほぼほぼ臭いです」とキッパリ。その理由として「太っているカードゲーマーが多いことが一番です」と答えつつ、服装に対する意識も影響しているのではないかとの分析も明かしてくれた。

「衣服に気を使っていない人が多く、得てしてポリエステル製などの安価な服を選びがち。ポリエステルは速乾性が高い反面、実は綿やウールよりも雑菌が繁殖しやすい素材であり、適切なお手入れが求められます。

 僕が頻繁にカードショップに通っていた時に、遭遇していた“臭い常連さん”たちは、毎回同じ服を着ているんです。同じ服を何着も持っているのではなく、その服くらいしか持っていないのでしょう。

 一着を着回すため、その服に雑菌臭がどんどん蓄積される。加えて、服が少ないため、生乾きだろうが同じ服を着てカードショップに来るしかない。雑菌臭と生乾き臭を掛け合わせた“スメハラ服”をまとった客の完成です。スメハラ服を着ている人が少なくないので、カードショップは必然的に臭くなってしまいます」

◆「換気しにくい環境」と「カードゲーム特有の姿勢」

 カードショップの店内構造も、悪臭を増長させるの原因となっているようだ。

「店内で販売中のカードや、対戦スペースのカードが風で飛んでしまうため、換気として窓を開けることが難しい。また、紫外線もカードの品質保持の敵です。店内には高価なカードが多数陳列されており、カードを劣化から守る観点としても、窓を開けることは避けたい。商業施設内に出店しているカードショップも多いのですが、窓がないスペースがほとんど。店内にニオイが充満してしまっても、“緊急手段”として換気することもできないのです」

 さらに石川さんは、カードゲームそれ自体がニオイを生みやすい娯楽であるとも指摘する。

「カードゲームは基本的に、手札を相手に見せないように両手でカードを持ちます。つまり長時間脇を締めた姿勢となるため、脇が徐々に蒸れてニオイの元が生まれやすくなります。カードショップ内で知らない人と対戦した際、腕を伸ばして脇が広がった瞬間に貯め込んだニオイが一気に放たれ、むせかえりそうになった経験もあります」

◆仲良くなった人に「注意する勇気がない」

 カードショップが臭くなってしまう理由はわかった。とはいえニオイがキツいカードゲーマーであっても、「カードショップ=臭い」認識は持っているはずだ。なぜカードゲーマーは、悪臭を我慢してでもカードショップに足を運び続けるのか。石川さんは「カードショップ内で仲良くなった人に会いたくて、という人が少なくないからかもしれません」と回答。

「学校や職場にあまり友達がいなさそうな、カードショップ以外で見かけることがないような雰囲気を放っている人が、悪臭も放ちがちです。憶測の話ですけどね。けれど、実際にニオイが強烈な人は、だいたいソロ来店しています。カードショップでできた友達と一緒に遊びたいから、鼻をつまんででも通うのをやめないのでしょう。

 もっとも、カードショップで生まれた友情は、その場だけの表面的な交流でとどまるケースが多い。したがって、センシティブな部分に言及することは不可能。どれだけ臭かったとしても、せっかくできた友達に対して注意する勇気もなければ、深い関係構築もできないままなのです」

 他にも、“コレクター”ならではの信念も来店動機になっているようだ。

「現在はネットで手軽にカードを買えますが、モニター越しだと退色やキズの有無などは正確にはわかりません。僕もそうですが『どれだけ臭くてもカードショップに行って、自分の目で状態を見極めたい』人が少なくないのでしょう」

◆ニオイに耐えかねてわざと負けたことがある

 ニオイ問題が溜まりに溜まっていたのだろう。石川さんの口から、カードショップ内でのスメハラ被害エピソードが止まらない。

「店内の対戦スペースで友達が来るのを待っていると、『ポケットモンスター』のゲーム内でいきなりトレーナーに対戦を申し込まれるかのごとく、『対戦しませんか?』と不意に話しかけられたんです。その唐突さにまず驚いたのですが、話しかけてきた人へ顔を向けると異様なニオイが鼻を刺し、一層ビビりました。

 突然の展開に機転も回らず、断る勇気もなくて、渋々対戦を了承しました。とはいえ、『この異臭に耐えながら長時間勝負するのはしんどい』と思い、複数あるデッキの中でも弱いデッキを選んで早々に負けることに。『対戦ありがとうございました』と言って、そそくさとその場を去りました」

 別に弱いデッキを選ばずとも適当にプレイしてわざと負ける」選択肢もあったように思うが、「それは相手に失礼ですので」とゲーマーの矜持をのぞかせた。

◆「カードゲーマーは臭い」と思われるのは悲しい

 はたして、カードショップのスメハラ問題の解決策はあるのだろうか。

 石川さんは「犯罪行為ではないですし、劇的な改善は難しいと思います」と前置きしつつ、「カードパラダイス池袋本店さんみたいに、カードショップ全体で啓蒙のポスターを張るといった、草の根運動を続けるしかないでしょう」と話す。

「その上で、実際に臭い人には店員さんから直接注意してもらえるようになればいいですね。僕も何度か店員さんにニオイを指摘される人を見かけたことがありますが、本当にショックそうな表情を浮かべ、とぼとぼと帰っていく人ばかりでしたから。ただ、比較的大人しい反応の人が多いものの、逆上してトラブルに発展したり、のちのちSNSで事実無根の誹謗中傷を投稿されたりするリスクも少なくないのでしょう。

 それでも、カードゲームを愛する者としては、『カードゲーマーは臭い』的なニュースが報じられ、その度に『カードゲーマー“全員が”臭い』というイメージが広まったり、面白おかしく馬鹿にされたりする現状は悲しい。だからこそ、カードショップ側には毅然とした対応を望んでいます。なにより、カードゲーマーの一人ひとりが自分のニオイ対策を、真剣に取り組んでいかなければいけません」

 食文化の違いや健康面によっても個人差が生じる“体臭”へ口出しすることは、それ自体が別のハラスメントである。しかし、怠慢によって発生する悪臭は“スメハラ”と糾弾されてもやむを得ない問題だ。

 どんどん蒸し暑くなっていく季節。カードショップのみならず、通勤電車の中でも生乾き臭をまとった人が増えてきた。誰もが自分ごととして、適切なデオドラントケアや洗濯についての知識をアップデートし、実践していく必要がある。

<取材・文/望月悠木>

【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki

このニュースに関するつぶやき

  • 数年前から、「ほぼ」を「ほぼ×2」と言う人がかなり増えている。若者言葉なんだろうな。
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