【陸上】天文部→400m日本記録保持者へ 感覚派だった佐藤拳太郎が築き上げた“答え”

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2024年06月27日 06:11  日刊スポーツ

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佐藤拳太郎(2023年9月26日撮影)

陸上のパリオリンピック(五輪)代表選考を兼ねた日本選手権が今日27日、新潟・デンカビッグスワンスタジアムで開幕する。


注目は男子400メートル(30日決勝)。日本記録保持者の佐藤拳太郎(29=富士通)はパリ参加標準記録(45秒00)を突破済みで、今大会で優勝すれば代表即内定となり、3位以内でも代表入りが濃厚となる。遅咲きのロングスプリンターが、個人種目では初の五輪切符を懸け、過去最高水準の争いに挑む。


  ◇   ◇   ◇


佐藤拳は静かに闘志を燃やした。「日本記録(44秒77)以上のタイムを出すことができれば、おのずと順位もついてくる」。冷静沈着な理論派ロングスプリンターは、地道に人生を切り開いてきた。


幼少期から星を眺めることが好きだった。埼玉・豊岡高では中学まで続けた野球を辞め、天文部へ入部。楽しく活動していた矢先に転機が訪れた。


リレー要員を探していた陸上部の友人から「数合わせでいいから」と誘われたのだ。天文部と兼部しながら、初めてトラックに足を踏み入れることになった。才能は花開き、高3の12年には200、400メートルで全国高校総体へ出場。大学でも競技を続け、城西大3年時からは「動きを再現しやすい」と400メートルに注力するようになった。


順調にステップアップし、16年リオデジャネイロ、21年東京と五輪2大会連続でリレーメンバーに選出。その一方で、400メートルの自己記録は15年の45秒58を更新できずにいた。


「経験に頼っていて限界がきた。自分は本当に陸上に向き合えていたのだろうか」


そう思い立ち、早大大学院スポーツ科学研究科で400メートル走を学び始めた。10メートルごとのストライドや速度を客観的に分析。そこから導き出されたのが、200〜300メートルの疾走速度の重要性だった。


自らの走りに解析結果を反映させ、それまで前半型だったスタイルを、昨季からは中盤以降を重視するプランへ変更した。これが奏功し、世界選手権で44秒77の日本新記録をマーク。高野進が保持していた記録を32年ぶりに0秒01塗り替えた。「自分が出した答えだから、迷いなく実行できる」と確かな手応えを得た。


「まだまだ記録は伸びる。44秒5以内を目標にしたい」


研究に裏打ちされた確信を胸に、スマートにパリ切符を獲得してみせる。【藤塚大輔】


◆佐藤拳太郎(さとう・けんたろう) 1994年(平6)11月16日、埼玉・所沢市生まれ。豊岡高で当初は天文部へ入部も、リレー要員として陸上部と兼部するようになり、本格的に競技開始。城西大を経て、14年に富士通へ入社。16年リオデジャネイロ五輪、21年東京五輪で1600メートルリレー代表。23年アジア選手権400メートル金メダル。自己ベストは44秒77。22年度には修士論文「400mレース展開のキネマティクス分析−4つの局面の変容を比較して−」を提出。名前の「拳太郎」は格闘技好きの父に名づけられた。趣味は天体観測。身長174センチ。血液型A。

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