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過去最多の56人が立候補した東京都知事選挙の真っ最中ですが、そのさなか東京を訪れていたのは、史上最年少の18歳でニュージーランドの地方議員に当選した女性です。ニュージーランドの若い世代に、日本の政治はどう映ったのでしょうか?
【写真を見る】18歳で当選 ニュージーランドの議員をトラウデン直美さんが取材「未来受け継ぐ若者として声を」若い世代の政治参加どう増やす?【news23】
18歳で当選 ニュージーランドの議員を取材 「未来受け継ぐ若者として声を」ニュージーランドの大学生、ソフィー・ハンドフォードさん(23)。インターンで2か月間日本に滞在する予定です。
ソフィー・ハンドフォードさん
「ビーガン(菜食主義)についての意識を高める活動を進めています。きょうは食についての意識調査をしました」
26日は浅草で仲間らと街頭調査を行っていましたが、ソフィーさんの本職はニュージーランドの地方議員です。5年前、選挙に立候補し、史上最年少の18歳でカピティコースト地区議会の議員になりました。
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――どうして議員になろうと思われたんですか?
ソフィー・ハンドフォードさん
「私の住む国や町では正しくリーダーシップを発揮する人がいなかったからです。これからの未来を受け継ぐ若者として、今後の未来のために声を上げなければならないと思ったんです」
2019年、気候変動の対策を求めて学校をストライキする運動を主導。当時、高校生だったソフィーさんが政治を志すきっかけとなりました。
現在2期目で、議会では気候環境委員会の副委員長などを務めています。
――18歳で議員になられたと思いますが、不安などはなかったですか?
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ソフィー・ハンドフォードさん
「不安もあったし、自分を疑うこともありました。『どんな人生経験があるんだ』『もっといろんなことが理解できてから立候補した方が良い』とも言われました。ただ、今まで政治家たちの経験が私達を正しい方向に導いてきたのでしょうか。化石燃料の使用や不平等が広がり、様々な形で害を与えてきたんです」
ソフィーさんが10代で飛び込んだ政治の世界。ニュージーランドでは、18歳から立候補が認められています。一方、日本は衆議院議員や地方議員は25歳、参院議員や都道府県知事は30歳から。
こうした規定を、若い世代はどう思っているのでしょうか?
――年齢の差に関してはどう考えますか?
街の人 22歳
「選挙権を持っているなら立候補する権利があっても良いのかなと。若い人もちゃんと政治に参加することで、選挙に行く若い人も増えると思います」
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街の人 24歳
「そんなに若くても良くない。(Q.何でですか?)若過ぎても結局わからない、勉強していないと。ある程度、知識を得た人たちじゃないと良い日本にならない」
6月、都内では立候補年齢を18歳に引き下げることを目指すイベントが行われました。ソフィーさんも登壇し、自らの経験を語りました。
ソフィー・ハンドフォードさん
「実はニュージーランドの最高裁は、選挙権が18歳からだということも不当だと宣言しました。日本で25歳にならないと立候補できないのは遅い気がします。私たちは今、判断された政策によって作られた未来に向かっています。だから、議会のテーブルにつく権利があり、話し合いに参加することが必要なんです」
――日本で国会にも行ったそうですが、ニュージーランドとの違いは感じましたか?
ソフィー・ハンドフォードさん
「私たちの議会は50%が女性、50%が男性です。そこが違っていたと思います。政治をとりまく雰囲気も日本より形式張っていない感じがします」
――日本だと、投票に行く人すら少ないという状況がある中で、若者が政治に参加する意味は?
ソフィー・ハンドフォードさん
「ニュージーランドでも投票しない若者はたくさんいます。それは政治が自分たちに関係ないし、楽しくないと思っているからかもしれません。でも、自分たちの声が政治に反映されているとわかれば、若者の政治参加への門戸は開かれるようになると思います。私たちは、自分がどんな祖先になってどんな未来を手渡すのか考えなければならないんです」
小川彩佳キャスター:
トラウデンさんは、ソフィーさんに話を聞きたいということで取材をしたということですが、どうでしたか?
トラウデン直美さん:
18歳で議員になったソフィーさんが来日するということで、どうしても話を聞きたいと思って今回の取材が実現しました。18歳だった彼女を「選ぶ」社会があったということにも興味がありました。すごく面白くて前向きな話が聞けました。
小説家 真山仁さん:
世界的にも日本でも、若い人がデモに参加していますが、デモだけでは政治は変わりません。
民主主義で、政治に参加するには議員になるしかないのですが、日本の若い人は行動が伴っていないように思います。
「誰かがやる」ではなく「私がやる」という意識だと、(ソフィーさんのように)できるのではないでしょうか。
トラウデン直美さん:
街で話を聞いてみても、「近い世代の人が選挙に出ていたら、応援したくなるし、興味が湧くと思う」という声が多かったので、若い人が選挙に出るチャンスがあるというのは、投票率を上げる意味でも必要なことなのではないかと思います。
藤森祥平キャスター:
日本若者協議会のデータによりますと、国会議員の40歳以下の割合(2023年)は、日本は6%で147か国中134位だということです。
現在、日本は選挙に立候補できる年齢が衆議院・地方議員は25歳、参議院・都道府県知事は30歳となっていますが、OECDに加盟する全38か国中、23か国は18歳から立候補できるそうです。
小川キャスター:
日本は“若手議員”として、50代の議員が出てくるということもありますよね。
選挙に立候補できる年齢を引き下げることで、若い人たちの投票率は上がるのでしょうか?
真山さん:
選挙権が18歳からになったときから思っているのですが、(選挙で)選びたいのは同世代の人じゃないでしょうか。
一番年齢が近くて25歳の候補者ということになりますが、18歳にとっては“7歳上”はすごく上に感じるはずですので、選挙権の年齢を上げるのであれば、被選挙権の年齢も上げないといけないと思います。
それでも、「どうせ立候補者が通らない」となるのであれば、世代ごとに選ぶという制度を作るべきです。
「経験がないから若者にはできない」ではなく、「経験のない人たちの意見を聞いてみる」と、経験のある大人たちが堂々と言う国になってほしいと思います。
トラウデン直美さん:
ソフィーさんは現在23歳ですが、「当選した18歳の頃とは感覚が違うので、より若い人が出てきて、より若い人たちの共感を生んでいくことは必要だろう」と話していました。
小川キャスター:
2006年に年齢を引き下げたイギリスでも、他の世代と比べて若い世代の投票率が上がったということで、実際に影響も出ているということです。
真山さん:
もっとみんな行動して、政府もそれに答えてほしいです。
トラウデン直美さん:
ソフィーさんは、「世代で区切るわけではなく、対話によって色々なことをクリアしていきたい」と強く願っていました。
世代が上の人や、意見が違う人とも、「どうしてそう考えるのか」ということを理解するために対話を大切にしているそうです。
その上で、「私たちが住んでいる素晴らしい場所をより良いものにするために、どう協力できるかを考える必要があって、敵ではない」と話していたのが印象的でした。
「政治はワクワクするものであるべきだ」とも話していました。未来によりポジティブなビジョンを持つためにも、ワクワクするというイメージを多くの人に持ってほしいということです。
真山さん:
すぐに「世代間ギャップ」と言われますが、実は若い人と上の世代の人はコミュニケーションをとったことがないのかもしれません。
20代から「これはどうしたらいいのか」とよく質問されるので、「積極的だね」というと、「誰も教えてくれない」ということでした。発言を一歩でも間違えると、「セクハラ」「パワハラ」と言われるので、大人は若い人に近づかなくなったように思います。
若者は「こういう時どうだったのか」と聞きたいのに、相手がいないというのは不幸なことです。世代を超えて、コミュニケーションをとってほしいです。
小川キャスター:
“対立”ではなくコミュニケーションをということですね。
NEWS DIGアプリでは『若者の投票率』について「みんなの声」を募集しました。
Q.都知事選 若者の投票率を上げるには?
「選挙についての教育」…27.0%
「投票所の増設」…13.7%
「ネット投票」…49.9%
「被選挙権の引き下げ」…4.0%
「その他・わからない」…5.5%
※6月26日午後11時24分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは27日午前8時で終了しました
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<プロフィール>
トラウデン直美さん
慶応大学法学部卒
環境問題やSDGsについて積極的に発信
真山仁さん
小説家 「ハゲタカ」「ロッキード」など 最新著書に「疑う力」