「ぬれる“スキ”を与えない傘」が大好評 2400万円集めた傘、誕生のきっかけは?

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2024年06月28日 08:21  ITmedia ビジネスオンライン

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「NURASAN」(出所:公式Webサイト)

 新商品の企画は、マーケティングや商品開発の担当者にとって常に悩みの種ではないでしょうか。解決のヒントは日常生活にこそ隠されています。「うっとうしい」「面倒くさい」という人間の根本的な感情に着目し、そこに眠る商品開発のヒントについてお伝えします。


【画像】「ぬれる“スキ”を与えない傘」実物写真(3枚)


●ぬれる“スキ”を与えない傘


 梅雨の時期、毎日のように降る雨に対して、うっとうしさや面倒くささを感じる人は多いはず。すっかり便利になった現代でそのような感情を抱くのは、そこにまだ解決していない課題が存在することを意味しています。その課題を的確に捉えることが、ヒット商品を作り出すカギです。


 例えば車に乗り降りする際、雨で体や車の中がぬれてしまうことがあります。誰しも経験したことがあると思われるこの悩みを、キャッチコピーで的確に表現することで大ヒットした商品があります。


 その名も「NURASAN」という傘です。ワンタッチで開閉するので、車のドアを閉めるギリギリまで開いておくことができる傘なのですが、「3秒乗車 濡れる“スキ”を与えない」という表現が見事にニーズを捉えています。結果、Makuakeで2400万円以上の金額を集めました。


●「ダサい」からヒントを得たポンチョ


 別の事例もご紹介します。折り畳み式のポンチョはたくさんありますが、「使いづらい」「ダサい」と感じる人も少なくありません。そこで、アパレルメーカーのスポット(岐阜市)という会社が新たなアイデアとして、ファッショナブルな持ち運びパーカーを開発しました。


 「お守りパーカー」というコピーも斬新です。「うっとうしい雨も、これがあれば乗り越えられるのではないか」と思わせる表現が、消費者の心をつかんだのではないでしょうか。


●根本的な欲求、感情にこそヒントがある


 「うっとうしい」「面倒くさい」といった感情は、人間の根本的な欲求にも関連しています。物にあふれ、インターネットでつながった便利な現代でも、そのような感情が芽生えるタイミングは多くあります。しかし、何度もそのようなシーンに遭遇すると、自然と慣れてしまうもの。


 日常生活の悩みを目ざとく見つけて言語化し、解決の手段を考えることがヒット商品を生み出す上で重要です。皆さんの日常生活の中には、どんな「うっとうしい」「面倒くさい」が存在するでしょうか。


 人間の脳の処理能力には限界があります。そのため、こうした感情にいちいち反応しないように慣れていってしまうのではないかと考えています。マーケティングや商品開発の担当者は、そういった「慣れ」と戦いながら、日常にこそヒントがあると意識して商品企画に臨むとよいかもしれません。


●著者プロフィール:松岡宏治


株式会社マクアケ プロジェクト推進本部 執行役員


1992年生まれ。2015年早稲田大学卒業後、ITベンチャー企業を経て、2016年に株式会社マクアケへジョイン。マクアケ関西支社二人目の社員として、立ち上げに参画し事業拡大に貢献。その後福岡、名古屋、広島、金沢に拠点を立ち上げ、全地方拠点の管轄を務める。現在は東京本社でプロジェクト推進本部全体の管轄をしつつ、自らも各地方へ足を運んでいる。過去、国内メーカーのプロジェクトを中心に2000件以上のプロジェクトを担当。


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