キッザニア東京で自作PC体験! マウスコンピューターの「パソコン工場」パビリオンに潜入してきた

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2024年06月28日 10:01  ITmedia PC USER

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キッザニア東京に「パソコン工場」パビリオンが加わった

 マウスコンピューターが6月26日、「キッザニア東京」(東京都江東区)にPCの組み立てを体験できる「パソコン工場」パビリオンをオープンした。ちなみに、2021年7月に「キッザニア甲子園」(兵庫県西宮市)にも同パビリオンをオープンしており、今回が2つめとなる。


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 同社が子どもたちにPC組み立てを体験させる目的は何なのか。なぜこのタイミングでキッザニア東京にオープンしたのか。オープニングセレモニーと子どもたちによるパビリオン体験取材のため、キッザニア東京に足を運んだ。


●子どもたちの子どもたちによる子どもたちのためのパビリオン


 オープニングセレモニーは、子どもたちの権利を守るシンボルとしてのキッザニアキャラクター「ウルバノ」「ビータ」「バッチェ」と、スタッフ2人によるダンスで始まった。MCはキッザニア東京で活動するこども議会の議員「くらげ」さんと「ラスク」さんの2人だ。


 「1993年に受注生産に特化したパソコンメーカーとして誕生して、パソコンが世の中のITインフラを支える重要なツールになると確信し、仕事や暮らしのパートナーとして安心して使える製品とサービスを届けているんだ」と、2人はマウスコンピューターについて紹介する。


 そして、6月20日にマウスコンピューターの新社長に就任したばかりの同社代表取締役社長 軣秀樹氏を紹介した。


 軣社長は「MCのお二人に十分紹介してもらったので簡単に説明します」と場を和ませてから、「人とPCをつなげることに創業以来取り組んでいます。徹底して国内で組み立て生産をしていることから、子どもたちにも物作りを体験してもらいたいと考えていました」と説明した。


 「毎年夏休みに合わせ、飯山工場で『親子パソコン組み立て教室』を開催していますが、完成したときの参加者皆さんの喜びの表情が素晴らしい。それでキッザニアを運営するKCJ GROUPに声をかけ、2021年にキッザニア甲子園にパソコン工場パビリオンをオープンしました」と述べ、「パソコン工場パビリオンを体験した子どもたちが、完成したPCに電源を入れたときに顔を輝かせるのを見て、この体験をもっと広めたいと考えていたところ、キッザニア東京でもご縁をいただきオープンすることができました」と、軣社長は説明する。


 KCJ GROUP 代表取締役社長 圓谷道成氏は、「キッザニアは生きる力を育む場所です。パソコン工場パビリオンでの体験を通してパソコンについて学び、パソコンを好きになってもらいたいですね」とあいさつした。


 その後、こども議会第18期議員の「かい」さんと「ガーネット」さんがキッザニア東京オリジナルのマウスコンピューター用ユニフォームを着用して登場。軣社長と圓谷社長からオーダーシートを受け取ってPCの組み立てをステージ上で行った。


 組み立てが終わると、次は起動式だ。「組み立てたPCの電源を入れ、ステージ両脇にあるディスプレイの画面に映像が表示されたら成功です」とMC。両社長が再度登壇し、子どもたちと一緒に「3、2、1」のカウントダウンで電源ボタンを押し、ディスプレイが点灯したところでセレモニーは閉幕した。


●部品のピックアップも本格的


 続いて、子どもたちによるパソコン工場パビリオンでのPC組み立て体験を見ていこう。


 パビリオン内部は、さながら小さな精密機械工場のような清潔さで、手前には8つの作業台、奥には部品棚が並ぶ。今回体験するキッザニアン(キッザニアを体験する子どもたちのこと)は3人だ。構成は小学5年生が2人、6年生が1人となる。


 まずはPCについての説明だ。PCで何ができるのか、何でできているのかについてレクチャーを受け、それぞれオーダーシートを受け取って部品をピッキングし、用意されたPCケースに順番に部品を取り付けていく。


 部品のピッキングは、マウスコンピューターの工場で実際に使っているのと同じ手順で行う。オーダーシートにあるバーコードを部品棚の上にあるバーコードリーダーで読み取り、ランプの付いた箇所の部品を集めてトレーに載せる。部品をピックしたら、忘れずにランプを押して消す。全ての部品をピックしてランプを消すと、電子ブザーが鳴り、部品がそろったことをシステムが知らせてくれる。


 部品のピッキングが終わったら、いよいよ組み立てだ。オーダーシートを見える場所にマグネットで貼り付けて、スタッフの指示に従って順番に組み立てていく。


 口頭で説明を受けるだけでなく、目の前のディスプレイにもPCケースのどこに取り付けるかが表示される。向きなどは説明されるものの、どの程度の力加減で押せば良いのかなどは、それぞれが判断することになる。これは大人でも緊張しそうだ。


 組み立てたPCをディスプレイと接続する作業は、時間の関係でスタッフが行ったが、電源を入れてBIOS画面が表示されると組み立て体験したキッザニアンたちは笑顔を見せて思わず手を叩いていた。1から10までではないものの、自分で手を加えたものが形になるのは、子どもであっても喜ばしい経験になることだろう。


 体験を終えたキッザニアンたちに(大人たちが取り囲んで)話を聞くことができた。


── 体験を終えてどうでしたか。


キッザニアン:学校で使っているパソコンが、こんな風に作られているんだということを知ることができて良かったです。


キッザニアン:細部まで説明しないのがここのやり方なので、自分で工夫するのが少し難しかったです。


── 今回は短縮された体験でしたが、フルバージョンで再チャレンジしたいと思いますか。


キッザニアン:はい、ぜひ!


●子どもたちが安心して自作PC体験をできる工夫も


 ちなみに、今回はメディアを呼んでの取材ということもあり、通常30分の工程を15分に短縮したバージョンだった。省略されたのは以下の内容だ。


・タブレットとの違いについて学ぶこと


・グラフィックスカードの有無によるスペックの違いを映像で確認すること


・ピッキング方法やパーツの持ち方についての説明


・組み立てるためにケーブルを一旦全てケースから出すこと


・PCを液晶ディスプレイに接続すること


・PCの出荷を見送ること


 このキッザニア東京で組み立てるのは、ゲーミングデスクトップPCだ。“ゲーミング”といえば、動作中にピカピカとLEDが光るというイメージが確立されているといっても過言ではない。完成したPCの電源をいれると、ディスプレイに映像が表示されるだけでなく、PC内部のLEDも透明なケース側面からよく見える。これにより達成感は増すだろう。


 ここで気になったことがある。今回体験したキッザニアンたちは小学5年生と6年生で、手先も器用に使える年齢であったが、キッザニアでは3歳から各パビリオンを体験できる。PCを構成する部品は精密機器で繊細に扱う必要がある。故意ではなくとも、子どもたちが雑に扱うこともあり得る。どのような対策を施しているのだろうか。


 「基板部分はアクリルでカバーしています」と担当者。「CPUもこのように加工して手をけがしないように、ベタベタ触っても問題ないように工夫しています」と実物を見せてくれた。


●「4万人の感動をさらに拡大させたい」


 2021年のキッザニア甲子園から3年たった2024年に、キッザニア東京にパソコン工場パビリオンをオープンしたのはなぜか、キッザニアに出展することにどのような意図があるのか、両パビリオンの違いは? などについて軣社長と圓谷社長から話を聞いた。


 「キッザニア甲子園はコロナ禍の最中ではあったが、多くの方に体験していただきました。体験後の子どもたちの顔を見ると、みんなうれしそうな顔をしている。これはもっと広めたいなと感じたのが2店目を考えるきっかけになりました」と軣社長。どれほど「多くの方」だったかについては、圓谷社長が「延べ4万人」と教えてくれた。


 「もっと多くの人に体験してもらえるよう、甲子園では1回6席だったところ東京では8席に、甲子園でのフィードバックを得たことや、機材が新しくなったことなどから組み立てる部品を簡素化してプログラムを30分に短縮できた。甲子園以上に速いペースで多くの方々に物作りを体験してもらえるのではないかと期待しています」(軣社長)


 実は軣社長がマウスコンピューターの社長に就任したのはわずか1週間前のことだ。このようなイベントへの登壇は今回が初となる。


 これまで開発畑一筋でやってきたところ、初のイベントが「子ども×物作り」というところで、何か感じるところはあるのだろうか。


 「子どもたちに物作りを体験してもらうことで、将来にできること、できる幅が増えて未知の世界を切り開けるようになります。子どもの潜在能力を引き出すことができるかもしれません。研究心、探究心を深めるきっかけ作りになり得るイベントが最初であることをうれしく思っています」と軣社長は期待を込めて語った。


 また、開発畑だったからこその発言も飛び出した。


 「今、GIGAスクール構想で1人1台端末が実現していますが、子どもたちは想定外の使い方をすることがあり、PCが故障してしまうこともあると聞いています。ただ、そのフィードバックのおかげで、我々も壊れにくい次の製品開発へとつなげられるのです。パソコン工場パビリオンでは、子どもたちが(使う側ではなく作る側として)PCの部品に触れ、組み立てるという作業を行うことで新しい発想や、やってみた感想を聞くことができます。それらは今後の製品開発へとつなげるものになるので、貴重なものと捉えています」と軣社長は指摘した。


 人とPCをつなぐさまざまな施策を打ってきたマウスコンピューター。キッザニア東京のパソコン工場パビリオンで、多くの子どもたちに体験してもらい、フィードバックを得ることで、さらにPCと人との距離を縮めていけるのではないかと感じた。


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