「UMPCが低スペックという概念を覆したい」──テックワンが3in1PC「ONEXPLAYER X1 mini」など国内販売

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2024年06月28日 15:01  ITmedia PC USER

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実際に動作する実機が披露された

 テックワンは6月27日、国内正規代理店契約を結んでいる中国One-Netbook Technologyの新製品「ONEXPLAYER X1 mini 国内正規版」(以下、ONEXPLAYER X1 mini)および「ONEXPLAYER M1 国内正規版」(以下、ONEXPLAYER M1)の国内展開を発表した。


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 ONEXPLAYER X1 miniは8月初旬、ONEXPLAYER M1は8月下旬に発売する予定で、既に予約受け付けを開始している。価格は順に13万9800円からと、14万2310円から(いずれも税込み)。


 27日に開催された報道陣向けの発表会では、開発中ながら実際に動作する実機が複数展示された。


●3周年で6つの新製品をリリース


 One-Netbook Technologyの「ONEXPLAYER」ブランドはゲーミング系デバイスをそろえている。第1弾はWindows搭載のポータブル型PC「ONEXFLY」で、コントローラーを脱着できる初の3in1モデル「ONEXPLAYER 2」(AMD Ryzen 7 6800U版)や、その後継機種となる「ONEXPLAYER 2 Pro」、eGPU「ONEXGPU」「ONEXPLAYER X1」など、次々と意欲的な新製品を発表してきた。


 「どの製品も制作過程は大変だった」──そう語るのは、来日したONE-NETBOOK Technologyのジャック・ワンCEOだ。「立ち上げからEVT(技術検証試験)、DVT(設計検証試験)、PVT(生産検証試験)のプロセスを経る必要があるため、消費者に届けるまで、少なくとも1年の期間が必要になる」と解説する。


 もともと、日本製のポータブルカセットプレイヤーに触れたことがきっかけで「日本製品の品質の高さ、デザインの素晴らしさに感動して、日本の開発者たちに憧れ、良い製品を作り出したいと考えるようになった」と言う。「これからももっと良い製品を作りたいし、それができると信じている」と締めくくった。


●ONEXPLAYER X1 miniはUMPCの常識を覆す端末


 新製品となるONEXPLAYER X1 miniは“3in1プレミアムゲーミングタブレットPC”と表現されており、ディスプレイサイズは8.8型、CPUにはAMD Ryzen 7 8840Uを採用、脱着式コントローラーやONEXGPU(eGPU)と接続できるOCuLink端子にも対応しているのが主な特徴だ。


 テックワンの山田社長は「多くの人は、UMPC聞くと低スペックという印象を持つ。しかし、ONEXPLAYER X1 miniはノートPCとしても、ゲーミングPCとしても、タブレットPCとしても、一般的なそれら製品より優れており、その常識を覆す製品だ」と断言した。


 710gという片手で持てる重量、省電力で高いパフォーマンスを発揮するCPU、少ない発熱と省電力性、搭載バッテリーの大きさと省電力性によるバッテリーもちの良さ、搭載可能な最大メモリ容量、簡単にSSDを取り換えられる仕組みなど強みは多い。


 ディスプレイ性能にも触れておきたい。8.8型を「ゲームをプレイするのにちょうどよい」と山田社長が考える理由は「視認性が高く、軽さも追求できるから。Windows搭載ポータブルPC『Lenovo Legion Go』でも採用されているサイズだ」と説明する。


 ONEXPLAYER X1 miniのディスプレイの解像度は2560×1600ピクセルで、500ニトニトの輝度、16:10のアスペクト比、DCI-P3カバー率93%、sRGBカバー率133%、リフレッシュレート最大144Hz、フリッカーフリーとなっている。


 拡張性の高さも特徴の1つだ。USB4(USB Type-C)端子を2基、USB 3.2 Gen 2 Standard-A端子、OCuLink端子、3.5mmマイク/ヘッドフォン兼用ジャック、microSDメモリーカードスロットを搭載している。


 なお、ONEXGPUにはハブ機能もあるが、使うにはOCuLink端子だけでなくUSB4接続も必要になる。「ハブとしても使いたい人は、必ずUSB4接続をしてください」と山田社長は注意を促していた。


 ONEXPLAYER X1 miniでは新たに生体認証のWindows Helloにも対応した。Webカメラを使った顔認証の他、指紋センサー付きの電源ボタンを使った指紋認証を利用可能だ。これにより、突然のオンライン会議やゲーム配信など、オンオフ問わずさらに使い勝手が良くなった。


 オプションで、ディスプレイのカバーにもなるキーボードはマグネット内蔵の電子接点で接続する。ONEXPLAYER 2やONEXPLAYER 2 Proと比べ、剛性が増している。


 内蔵バッテリーは1万6890mAhで、オフィスアプリ利用時で最大8.5時間、ゲームプレイ時で最大6時間、動画再生では最大11時間の連続稼働を実現しているという。付属するUSB PD対応の100W急速充電器を使えば、30分で50%までバッテリーを充電できる。


 ゲーム機能設定ソフト「OneXConsole」を引き続きプリインストールするが、アップデートにより搭載する6軸ジャイロセンサーの感度やタイプを変更できるようになった。


 カバーキーボード以外のオプションとして、脱着できる専用コントローラー、コントローラーを外した状態でONEXPLAYER X1 miniをコンソールスタイルで使えるようにするコントローラーコネクター、専用ケース、ONEXGPUなどを用意する。


 ONEXPLAYER X1 miniのサイズは約210.6(幅)×129.2(奥行き)×20(高さ)mm(本体のみ)で、8月上旬の発売予定だ。予約キャンペーンとして以下の価格で注文を受け付けている。


・メモリ16GB/SSD512GBモデル→13万9800円


・メモリ16GB/SSD1TBモデル→14万6110円


・メモリ32GB/SSD1TBモデル→16万360円


・メモリ32GB/SSD2TBモデル→17万7460円


・メモリ64GB/SSD2TBモデル→21万6600円


・キーボード/液晶保護フィルム/ケースセット→1万2480円


・ONXGPUとONEXPLAYER X1 miniのセット購入で10万1700円


 その他、キャンペーン特典としてONEXPLAYER X1 mini本体購入者には専用コントローラーがプレゼントされる。


●ONEXGPUそっくりのデスクトップミニPC!?


 その他、Intel版として1月に発売した10.95型ディスプレイ搭載の「ONEXPLAYER X1」に、AMD版を追加することも発表された。こちらは7月発売予定で、搭載するCPUはAMD Ryzen 7 8840Uとなる。


 10.95型ディスプレイの解像度は2560×1600ピクセルで、16:10のアスペクト比、540ニトの輝度、最大120Hzのリフレッシュレート、sRGBカバー率138%、フリッカーフリーのディスプレイを搭載している。サイズは約252(幅)×163(奥行き)×13(高さ)mmで、重さは約780g(いずれも本体のみ)となっている。


 コントローラーはONEXPLAYER X1 miniと共通で脱着式となっている。電子接点で接続するカバーキーボードにはバックライトを搭載し、17.5mmキーピッチのフルキー(英語配列)でノートPCとしても利用しやすい。


 また、ONEXGPUそっくりのデスクトップミニPC「ONEXPLAYER M1」も発表された。ボディーはONEXGPUのものを流用したという。


 CPUはIntel Core Ultra 9 185Hを搭載しており、「現状、最も高性能なCPUを搭載している」(山田社長)。NPUを内蔵しているので、AI PCとしての利用も可能だ。


 「デスクトップPCの多くは大きなボディーが特徴的だ。それは冷却のためという側面もあるが、ONEXPLAYER M1では小型ボディーでありながらアルミニウムフィン、ダブル純銅ヒートパイプ、アクティブ大型ファンなどを備えており、小型でも高い放熱性能を持つ」と山田社長。「コンパクトでも高いパフォーマンスで稼働し続ける」と説明する。


 ターボボタンを搭載しており、パフォーマンス設定を40W/60Wで切り替えられるのも特徴だ。ONEXGPUと接続するためのOCuLink端子の他、USB4(USB Type-C)端子×2基、USB 3.2 Gen 2 Standard-A端子、USB 2.0 Standard-A端子、HDMI出力×2基、DisplayPort出力端子、microSDメモリーカードスロット、LANポート、3.5mmマイク兼用イヤフォンジャックを搭載し、拡張性が高い。


 メモリ32GB/SSD1TBモデルとメモリ32GB/SSD2TBモデルを用意し、先行予約キャンペーンとしてそれぞれ14万2310円と15万5610円で注文を受け付ける。ONEXPLAYER M1と同時予約に限り、ONEXGPUが10万1700円になる特典が適用される。こちらは8月末に発売予定だ。


●作りの良さを感じさせる実機(開発機)


 開発機ではあるが、実際に動作する実機が展示されていたので細部を見ていこう。


ONEXPLAYER X1 mini


 まずはONEXPLAYER X1 miniだ。コントローラーを外し、専用カバーキーボードを取り付けた姿は、さながらSurfaceのようだ。


 コントローラーコネクターを使うことで、コントローラーは取り外した状態でも使用できる。なお、コントローラーコネクターと本体は2.4GHzワイヤレスで接続し、接続にはUSBドングルが必要だ。また、2.4GHzワイヤレスで接続可能なコントローラーであれば、プレイステーション4/5やXbox向けでも使える。ワンCEOによれば「最大8台のコントローラーを接続できる」という。大人数でゲームプレイしたい、手になじむコントローラーを使いたいといったニーズにマッチするだろう。


 ONEXPLAYER X1 miniの端子は上部と下部にそれぞれ搭載している。


ONEXPLAYER X1 AMD版


 続いてAMD版のONEXPLAYER X1だ。こちらはディスプレイサイズが10.95型ということもあり、UMPCというよりモバイルPCのサイズ感となっている。


 10.95型のONEXPLAYER X1にはIntel版とAMD版が用意されるものの、8.8型のONEXPLAYER X1 miniについてはIntel版への言及がなかった。これは「8.8型はゲーム利用が大半を占めるであろうことを想定しているから」(同社)とのことだ。


 ONEXPLAYER X1を引き続き見てみよう。こちらは縦にサイズがあることもあり、左右側面にも端子を搭載する。


 ONEXPLAYER X1がONEXPLAYERブランドの他の3in1PCと異なるのは、キックスタンドを内蔵していないことだ。立たせるために専用ブラケットを使用する。


ONEXPLAYER M1


 説明を受けるまでONEXGPUだと信じて疑わなかったのが、同じボディーを使ったデスクトップミニPCのONEXPLAYER M1だ。


 なお、ONEXPLAYER M1もONEXPLAYERブランド専用コントローラーの他、各社のコントローラーを使える。発表会後の会場でプレイステーション用コントローラーを使ってゲームプレイしていた山田社長は「やっぱり、使い慣れたものがいいですよね」と本音を漏らしていた。


 ONEXPLAYER X1 miniもONEXPLAYER M1も魅力的な製品だが、ワンCEOによれば、「もっと良い製品を作りたい」とのことなので、今後、どのような端末が出てくるのか、今から楽しみだ。


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