前回からの続き。オレはスバル。会社の同僚だったレイと結婚して、娘のカンナも最近生まれた。レイは自分に甘いうえに、最近ではオレへの当てつけのように毎日泣いている。正直なところ、そんな姿を見るのももううんざりだ。離婚届を用意しておけば怠ける気持ちもなくなるだろうと思っていた。母さんから電話が来たときも、同じ母親としてレイにガツンと言ってもらうつもりで、ここぞとばかりに愚痴ったのだが……母さんは激怒。一体何が母さんの逆鱗に触れたんだろう。
母さんが怒ったことが少し気にかかってはいたが、仕事をしないわけにはいかない。午後の仕事をこなし、ひと息つくためにコーヒーを飲んでいた。ちょうど先輩もその場にやって来た。レイのことを愚痴ろうとしたら、先輩は不思議なことを言った。
オレは先輩の献身的な働きにビックリしてしまった。
何も言えなくなってしまった。そしてようやく、「ひょっとして自分はやらかしてしまっていたんじゃないか」と気付いた。その日は妙に胸騒ぎがして、急いで家に帰ったが……。
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先輩の話を聞いて違和感を覚えたところだったのに……。
先輩には「妊娠してから今まで、レイが何もしない」という愚痴を話したかったのだが、先輩は「なるべく産前産後の負担を減らして労わってあげないとね」と言い出した。
そこでようやく、「レイはかなり頑張ってくれたのでは」と気づいたんだ。なんだか胸騒ぎがして、仕事を終えてから慌てて家に帰った。
しかし家はもぬけの殻。リビングにへたり込んでしまった。レイとカンナはどこに行ったんだろう……。
【第6話】へ続く。
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