大分・宇佐の親子強殺 無罪主張の被告に死刑判決 大分地裁

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2024年07月02日 15:51  毎日新聞

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山名さん親子が殺害された現場=大分県宇佐市安心院町で2021年10月22日午後3時13分、辻本知大撮影

 大分県宇佐市の住宅で2020年2月、親子2人が殺害され現金が奪われた事件で、強盗殺人などの罪に問われた佐藤翔一被告(39)=大分市=に対し、大分地裁の裁判員裁判は2日、求刑通り死刑判決を言い渡した。佐藤被告は一貫して無罪を主張したが、辛島靖崇裁判長は「関係証拠から被告が犯人だと強く推認でき、合理的な疑いを挟む余地はない」と述べた。弁護側は即日控訴した。


 殺害現場の目撃証言など直接的な証拠がない中、被告が犯人かどうかが最大の争点だった。


 判決は、位置情報などから被告が当時使っていた車が事件当時に被害者宅近くにあり、車のトランクから被告と面識のない被害者の血液成分などが採取されたことから「犯人性を強く推認させる」と指摘。現場に残る靴跡は、被告が事件2日前に購入した靴と特徴が酷似し、被告がその靴を事件2日後に捨てたこと▽借金に苦しむ被告が事件後に出所が不明な現金5万4000円を得たこと――なども犯人だと推認できる要素だとした。


 その上で「覆面姿の男らが血の付いた衣服をトランクに持ち込んだ」などとする被告の主張は「不自然、不合理で、信用できない」と退け、被告を犯人だと認定。被害者2人をはさみなどでそれぞれ40回以上刺すなどした犯行は「執拗(しつよう)かつ残酷」で「借金の利息返済のために金品を窃取しようとした動機は身勝手で酌量の余地はない。口封じのために2人を殺害し、強い非難に値する」と指弾した。前科がないことなどを踏まえても「死刑の選択はやむを得ない」と結論付けた。


 判決によると、佐藤被告は20年2月2日夜、宇佐市安心院町荘(あじむまちしょう)の農業、山名高子さん(当時79歳)方に押し入り、山名さんと長男で郵便配達員の博之さん(同51歳)を包丁やはさみなどで複数回刺して殺害し、現金約5万4000円を奪った。


 死刑判決を受け、山名さんの次男は「落ち度のない母と兄が残酷な方法で殺害された上、被告が責任逃れに終始していることからすれば、当然の判決。2人の無念さを考えると、これからも被告が真実を語り、謝罪する日まで戦い続けていきたい」とのコメントを出した。【神山恵、山口泰輝】


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  • たったそれっぽっちの金で殺されたのか…いや金額の問題ではないが。死刑は当然。問題は執行がいつになるやら…
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