【伊東浩司】パリ五輪陸上は400mリレー、1600mリレーでメダルは十分可能 鍵握る選手は

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2024年07月03日 04:45  日刊スポーツ

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甲南大の伊東浩司監督(2024年2月22日撮影)

陸上のパリ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権が6月30日に終了した。男子100メートルは、決勝で10秒13(向かい風0・2メートル)をマークした坂井隆一郎(26=大阪ガス)が連覇したが、雨の悪条件もあって記録は伸びなかった。すでにパリ切符を手にしているサニブラウン・ハキームを除く同種目の代表残り2枠は、世界ランキングをもとに近日中に発表される見通し。そのメンバーをもとに編成される男子400メートルリレーにも注目が集まるが、日本はメダルを獲得できるのか? そして鍵を握る選手は? 男子100メートルで10秒00の元日本記録保持者、伊東浩司氏(54)が、リレーの展望を語った。【取材・構成=益田一弘】


   ◇   ◇   ◇


男子400メートルリレーで、日本は16年リオデジャネイロ五輪銀以来、8年ぶりのメダルを獲得できるか−。伊東氏は十分可能と判断する。メンバー選考にもよるが、現時点で坂井−柳田−上山−サニブラウンを基本形に、組み合わせを探す見立てだ。


伊東氏 日本選手権上位のメンバーを見ると適材適所でメンバーを組める。普段通りに日本のバトンをつなげば、しっかりメダル圏内の争いはできる布陣だ。


21年東京五輪から世界大会のメダルラインは37秒7〜8台と大きな変化はない。


伊東氏 日本は誰が出ても、37秒6〜8台でしっかり収まる。今は柳田という大きな核もできた。エースとして2走を任せることができる。(100メートル3位だった)日本選手権は地面から反発をもらって推進力に変える感覚が少しずれたかもしれないが、サニブラウンの次に、10秒0台を安定して出せる選手。ここ1、2年で、かなり経験も積んでいる。


2走は(1)バトンを受ける(2)バトンを渡す、と2つの動作がある。さらに、バトンの受け渡しゾーンが2回あるため走る距離も長く、各国が有力選手を配置するエース区間だ。


伊東氏 日本は1走、2走で先行して、強豪国にプレッシャーをかけたい。バトンのミスを誘っていくのが重要。1走と2走柳田がしっかり役割を果たせば、メダルは見えるだろう。


パリ内定のサニブラウン不在の中、日本選手権は坂井が10秒13で連覇。0秒01差で2位東田、3位柳田がひしめく混戦だった。


伊東氏 五輪トライアルにしては条件が悪く、かわいそうな面もあった。ただすべてのタイムを見ると世界の100メートルとちょっと距離が空き始めた。一時は9秒台が出て、ぐっと縮まってきたことがあったが。


ただリレーは走力がすべてを決めるわけではない。日本伝統のバトンがある。


伊東氏 ライバルは米国、カナダ、英国あたり。そこをどう崩していくか。


日本の得意パターンは、先行逃げ切り。パリで日本が再び世界を驚かせる。


○…伊東氏は、1600メートルリレーにも期待した。22年世界選手権では4位とメダルに肉薄。自己ベスト44秒77の拳太郎と、同44秒88の風雅の「ダブル佐藤」、同45秒04の中島佑気ジョセフがいる。伊東氏は「いいメンツで、走順のオーダーは首脳陣の腕の見せどころ。走力だけ見れば、400メートルリレーよりもメダルのチャンスが広がっていく」。自身も96年アトランタ五輪で同リレーを走って5位入賞。「私の頃は、安定して走れる人とスピードがある人の存在が強みだった。だがそれは44秒台の選手がいない時代。今は他国と互角に近いところで走れる。完全にステージが上がっている」。400メートルとのダブルメダルも期待できる状況だ。


◆伊東浩司(いとう・こうじ)1970年(昭45)1月29日、神戸市生まれ。報徳学園高−東海大−富士通。98年に10秒00の日本記録樹立。17年に桐生祥秀が9秒98を出すまで、19年間日本記録を保持。五輪は96年アトランタ、00年シドニーと2大会連続出場。現在は甲南大で教授を務める。

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