強制不妊、国に賠償責任=除斥適用せず、原告全面勝訴―旧優生保護法は違憲・最高裁大法廷

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2024年07月03日 15:31  時事通信社

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旧優生保護法に基づく強制不妊手術を巡る国家賠償訴訟の上告審判決を受け、「勝訴」などと書かれた紙を掲げる原告団=3日午後、東京都千代田区
 旧優生保護法に基づき、障害などを理由に不妊手術を強制されたとして、全国の男女が国に損害賠償を求めた5件の訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は3日、同法の規定を違憲とし、国の賠償責任を認めた。不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の適用については「著しく正義・公平の理念に反し、到底容認できない」とし、実質的な原告全面勝訴とした。

 5件のうち、二審で原告が勝訴した4件で国の上告を棄却し、判決を確定。訴えを退けた仙台高裁判決については破棄して審理を同高裁に差し戻した。裁判官15人全員一致の判断。

 全国で起こされた同種訴訟への波及は必至で、国策による人権侵害の責任を改めて問う判決となった。被害者への一時金支給を定めた救済法は責任の主体が不明確で、金額の少なさなどにも批判があり、改正を求める声が高まる可能性もある。岸田文雄首相は3日、原告らと月内に面会する意向を示し、「反省とおわびの言葉を直接伝えたい」と述べた。

 最高裁が法律について違憲と判断したのは戦後13例目。

 大法廷は判決で、強制不妊手術を可能とした旧優生保護法の規定が人格の尊重の精神に著しく反し、差別的だとして、憲法13条、同14条1項に違反すると指摘。国会による同法の立法行為についても、「憲法で保障されている国民の権利を侵害することは明白だ」として、初めて国家賠償法上違法と判断した。

 除斥期間に関しては「請求権の消滅が著しく正義・公平の理念に反し、到底容認できない場合は、除斥期間の主張は許されない」との解釈を示し、判例を変更。その上で、国の主張は信義則違反、権利乱用に当たるとして除斥期間を適用しなかった。

 5件の訴訟は札幌、仙台、東京、大阪、神戸の各地裁に起こされた。一審はいずれも除斥期間を適用し、原告の請求を棄却。二審はいずれも旧法を違憲とした上で、札幌、東京、大阪の3高裁4件が除斥期間の適用を制限して国に賠償を命じた一方、仙台高裁は訴えを退けていた。 

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