電動車なのに荒ぶる12気筒! ランボルギーニ「レヴエルト」を富士で全開試乗

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2024年07月04日 12:01  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
ランボルギーニの最新モデル「レヴエルト」は搭載するバッテリーを外部から充電できるプラグインハイブリッド車(PHEV)。電動車なので、いままでのランボみたいに激しいクルマではないのかと思いきや、想像はいい意味で裏切られた。富士スピードウェイで全開試乗してきたのでレポートしたい。


まずはレヴエルトをおさらい



レヴエルト(Revuelto)はランボルギーニのフラッグシップ「アヴェンタドール」の後継モデルであり、V型12気筒エンジン+3モーターのPHEVシステムを搭載する同社初の電動化モデル。総合出力1,015PS(!)を発生するスーパースポーツ4WDモデルだ。


電動化された最新ファイティング・ブルの心臓部をちょっとおさらいしてこう。



まずフロントには、最高出力150PS/最大トルク350Nmを発生するモーター(駆動、トルクベクタリング、回生ブレーキの役目を担う)を左右に2基搭載。センタートンネル内に3.8kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、シート背後には最高出力825PS/9,250rpm、最大トルク725Nm/6,750rpmを発生する6.5Lの「L575型」V12自然吸気エンジンが収まる。その後方に150PS/150Nmのモーター(駆動、スターター、ジェネレーターの役目を担う)1基を搭載し、その下に8速DCT(デュアルクラッチ)を横向きに配置する。


クルマに詳しい方ならお分かりと思うが、クンタッチ(カウンタック)やアヴェンタドールなどでお馴染みのLPレイアウトとは180度異なる搭載方法だ。システム総合で発揮する馬力は1,015PS、パワーウエイトレシオは1.75kg/PS。0-100km/h加速2.5秒、0-200km/h加速7秒以下、最高速度は350km/hオーバーという驚異的なパフォーマンスを誇る。

朝から雨で路面はウェット! レヴエルトはどう走る?



楽しみにしていた試乗日は、朝からあいにくの雨。とりあえず、午前の部の写真を撮ろうとサーキットに到着してみると、路面はヘビーウェットの状態で、富士山から吹き降ろす風もかなり強く、厳しいコンディションだった。試乗は「ウラカンSTO」が2台のレヴエルトを従えて走行するカルガモ式。先導車が巻き上げるウォータースクリーンが強烈で、後ろのクルマは前方が全く見えないような感じだ。


試乗を終えた知り合いのジャーナリストに聞くと、水飛沫を避けて走行ラインをずらして走ってみたけれども、やっぱり前が見えなかったとのこと。ストレートでも200km/hくらいまでしかスピードを上げられなかったそうだ。


幸いにも、午後の部が始まる頃には雨も止み、路面状況はかなり回復してきた。



まずはドライバーズミーティングで、今回の試乗方法について説明を受ける。試乗はサーキットの本コースを3周×2回。レーシングドライバーが乗るウラカンSTOを先導車として、ピットスタート時のドライブモードは「チッタ」、本コース上に出てからは「ストラーダ」、ヘアピンを過ぎたあたりで「スポーツ」に入れ、最終コーナーを過ぎたストレートを前に一度車速を落とし、「スポーツ」+「パフォーマンス」モードか「コルサ」モードでハイスピード走行、最後の1周はクールダウンのため「リチャージ」モードに入れてピットに戻る、というものだ。



走行時のさまざまな指示は、先導車のドライバーから無線で伝えられる。安全のためヘルメット着用は当然(貸し出しも行われたが、筆者はマイへルメットを持参した)。試乗に供されたレヴエルトは全部で6台。1台約6,500万円というから、これだけで一目4億円。なかなかのものだ。


EVとは異なる凄みのある出来栄え



1回目に筆者が乗ったのは、先導車、オレンジのレヴエルトに続く最後尾のグレーボディ。ヘルメットを装着して乗り込む際には、太いサイドシル部分がシザースドア側に取り付けてあることと、左右のルーフ部分を少し高くしたボディ形状のおかげで、これまでのモデルのように、体を無理な姿勢に折り曲げつつ腹筋を使ってシートに収まらずに済んだ。要するに、乗り込みやすいのだ。


前方視界が良好なのはこれまで通り。MRレイアウトの美点だ。後方視界については、推して知るべしといったところ。



例の戦闘機のような形状のスタートボタンを押すと、システムが立ち上がる。いつものように、爆音で目覚めるエンジン音がないのが不思議な感じだ。



ステアリング左側の赤いモードダイヤルで「チッタ」モードに入れてパドルを引くと、眼前のメーターには「E」の文字が。先行車に続いてピットレーンを走りだすものの、モーターで静々と走っていく様子がランボらしくない。


本コースに出たところで「ストラーダ」に入れると、背後で「ブオンッ」という音ともに12気筒がやっと目覚める。1回目は先行のドライバーさんがサーキットにあまり慣れていないらしく、先導車がそれに合わせるのでスポーツ走行に入ってもそれほどスピードが上げられない。「スポーツ」モードのまま右側のEVダイヤルで「パフォーマンス」を選んで、オートマチックな高速走行を試してみた。


2回目はオレンジボディの2台目に乗り換えたので、スポーツ走行に入ると迷わずパドルシフトが使える「コルサ」モードを選択。シフトのアップ&ダウンでは、アヴェンタドールほどタイムラグがあって大袈裟なもの(シングルクラッチ式のため)ではないけれど、意外に大きなショックがガツンと伝わってきて(タイミングはとても早いのだが)いい感じ。それに伴って背後の12気筒が図太く吠えるので、これだけで嬉しくなってくる。


3速で最終コーナーを立ち上がって、ストレートで4速、5速にシフトアップしていくと、ステアリングには微振動が伝わってきて、頭がバックレストに押しつけられつつ、豪快に加速していく様が手のひらにも伝わってくる。縦方向のトラクションはまさに、1,000馬力オーバーの底力を証明している。



7速265km/hあたりではまだまだ余裕で、路面が濡れているにも関わらずタイヤがしっかりグリップしている様が把握できる。さらに8速まで上げていこうとしたところで先導車が加速をやめたので、車間が一気に詰まる。まだまだストレートが残っていたのだが、路面状況や後続車との車間が空き過ぎたことを考慮に入れてのことだろう。


一方、ヘアピン手前の100Rや、コース後半の複合コーナーが続く部分では、ボディの重さを感じる瞬間も。大きく、重く、硬いボディがグイグイとコーナーを回っていく様は、どこかGTカーっぽくもある。それをしっかりと支えるのはボディ全体の仕上がりもあるだろうし、足元を引き締めるブリヂストン「ポテンザ・スポーツ」のおかげかもしれない。



現場にいたブリヂストンのスタッフに聞くと、このタイヤはランフラットであるだけでなく、大トルクに対応して内部剛性を高めたり、変形を防ぐため溝の高さを抑えたりなどの専用設計を施してあるそうだ。ランボのお膝元であるイタリアで製造しているというのもなんだか嬉しい(MADE IN ITALYの刻印あり)。


試乗会に参加していたARTAの鈴木亜久里氏も、クルマだけでなくタイヤを含めた総合的な出来栄えの良さをしっかりとほめていたのが印象的だった。


原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)

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