女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「恋愛」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2019年7月11日 記事は取材時の状況)
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あなたは自分の家に気軽に人を呼ぶタイプでしょうか? 自室を見せるのは、自分の中身をさらけ出すのと同じ。それが原因で引かれてしまうのは悲しいですね。
交際している女性の部屋にドン引きしたと言う、ふたりの男性の言い分を聞いてみると…。
◆交際2ヶ月の彼女の部屋に初めて行った
山口正博さん(仮名・30歳・衣料メーカー勤務)は、彼女のE美さん(25歳・ネイリスト)とまだ付き合い始めて2ヶ月目です。
「E美とは友人の紹介で知り合って、山本美月似の見た目があまりに好みだったので…すぐに『付き合って下さい』と告白しちゃいましたね(笑)」
それから、食事デートを繰り返してようやくお付き合いをする事になり…。
「僕の部屋にひんぱんに来るようになったのですが、まだE美の部屋には行った事が無かったので…先日、初めて行ってみたんですよ」
閑静な住宅街にある白いマンションに住むE美さんの部屋に、ついに足を踏み入れた正博さん。
「ピンクが基調の、綺麗に整理整頓された部屋で、いかにも女の子って感じでテンション上がりました」
そして彼女がお風呂に入っているのを、正博さんがワクワクしながら待っていると…。
◆クローゼットの中の漫画雑誌のエグさに引いた
「なんかクローゼットの中からガサッて音がした気がして、つい開けてしまったんですよ…」
するとクローゼットから大量のレディコミがズザーッと雪崩(なだれ)のように部屋中に広がりました。
「え、E美ってこういう雑誌を買うタイプなんだ?と驚きつつ、パラパラめくってみたら…なんか内容のエグさに引いてしまって」
ヒロインがDVのような洗脳で相手に支配されてしまったり、不倫で溜まったストレスのはけ口に我が子を虐待したりと…とても読んでいて楽しい気分になるような内容ではなかったと語る正博さん。
「僕、レディコミってもっと…退屈な主婦が年下のイケメンに誘われてドキッ!みたいな内容だと思い込んでいたんですよ。てっきり、そういう漫画を読んで、現実逃避というか夢を見て楽しんでいるんだと思っていたのに、実際は全然違いましたね」
すべてのレディコミがそのような内容ではないと思いますが…たまたま正博さんが手にとった雑誌にはハードなお話が載っていたようです。
そして、E美さんがそんな内容の雑誌を楽しみに読んでいるのかと思うと、急激に恋心が冷めてしまった正博さんは…。
◆黙って帰った後、連絡を断った
「レディコミの海と化した部屋からそっと出て鍵をかけると、郵便受けに鍵を返して自宅に帰りました。E美がくれた合鍵は結局その1回しか使いませんでした」
レディコミが好きでも何も悪くないと思いますが…E美さんの見た目が好みですぐ告白しただけあって、勝手なイメージだけがふくらんでいたのかもしれませんね。
その後、部屋の様子から状況を察したE美さんから何度も「あれは違うの。私の親友が漫画家で、レディコミで描いていて…」という内容のLINEが届きましたが、正博さんはどうしても返信する気になれず無視し続けているそうです。
人の部屋のクローゼットを勝手に開けたり、別れ話もしないで連絡を断つ正博さん。レディコミ読者であることに比べて、そっちの方がなかなかハードだと思う向きもあるのではないでしょうか。
続いては、抜き打ちで彼女の部屋に行った男性の話です。
◆付き合っている彼女が急に家に来なくなった
米田裕二さん(仮名・32歳・デザイン事務所勤務)は料理が趣味で、数ヶ月に一度ホームパーティーを開いては友人を招き、手料理を振る舞っていました。
「そのパーティーに僕の後輩が、N子(26歳・ショップ店員)をつれて来たのが出会いで…僕の作ったロールキャベツを『美味しい、美味しい!』と5個も食べる姿を見て一発で好きになりました」
ほどなく2人はお付き合いを始め、しばらく米田さんの家にN子さんが入り浸っていたのですが…。
「急に“体調を崩した”と言ってN子が来なくなったんですよ。心配して『お見舞いに行くよ』と言うと、スゴい勢いで断られるし…僕、不安になっちゃって」
まだN子さんの家に行った事がなかった米田さんは、以前彼女が自室に置いて行った、行きつけの歯医者の改装工事のお知らせのハガキに書かれた住所を見ながら、抜き打ちで家を訪ねてみる事にしました。
「もしかしたら、他に男がいるのかも…とビクビクしながら呼び鈴を鳴らすと、N子が現れたのですが…」
◆殺風景な部屋でダイエットにはげむ彼女
なんだか以前よりぽっちゃりしたN子さんに驚く米田さん。彼女は「なんで急に来たりするの?」とちょっとイライラしながらも、部屋に入れてくれたそう。
「するとN子の部屋の殺風景さにまず驚きましたね…うっすい布団と、部屋の隅に洋服が積んであって、あとカラーボックスとノートパソコンがあるぐらいで…洗濯機も冷蔵庫も電子レンジも無いんですよ」
話を聞くとN子さんは、米田さんの家で美味しい料理を食べ過ぎてしまい5kgも太ってしまったんだそう。
「実はN子、普段ひとりでいる時はほとんど食事をとらないって言うんですよ。でも誰かといる時はめちゃくちゃ食べて『私、すっごく食べるけど太らないんです〜』というふうに周りにアピールしていたらしいんですよね…」
元の体重に戻すために、何もない自室でダイエットに励んでいたというN子さんの話を聞いているうちに、どんどん不安な気持ちになってしまった米田さん。
「いくらダイエットのためと言っても、冷蔵庫もお皿も無い部屋で、何も食べないでガマンするなんて…極端過ぎますよね? 今後、もし一緒に暮らしたり…子供が出来たりしたらどうする気なんだろう? と、つい考えてしまって…」
それからN子さんとの仲はギクシャクしてしまい、自然消滅してしまったんだとか。
「なんか普通に冷蔵庫ぐらい持っていて欲しいし、バランス良く食事を摂って、運動しながらダイエットできる女性がいいなと思ってしまって…あれ、僕って心狭いですかね?」
<文&イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop