前回当選時は日本株が急上昇! 今年最大の大相場が来る!? 今から仕込んでおきたい、もしトランプが再選したら「もしトラ株」

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2024年07月05日 07:00  週プレNEWS

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前回(2016年)はトランプ氏の当選をほとんどの人が予想していなかったからか、開票結果が出たのと同時に株式市場や為替相場が大荒れとなった。今回はどうなる?

11月に米国大統領選挙が控えているが、これは米国経済、ひいては日本経済の先行きを占う一大イベントだ。さて、ここでシミュレーションをしよう。もしトランプが再選したら、どんな会社の株価が上がるのか!? 大儲けのタネを探しに、経済のプロに見立てを語ってもらった!

【表】今から仕込むべき「もしトラ」株10選

* * *

■トランプ再選で日本経済はどうなる?

11月5日に控えた米国大統領選挙の関心が早くも高まっている。6月時点の米大手メディアによる世論調査ではトランプの支持率が50%、バイデンの支持率が49%と拮抗しているが、投資的な観点から見たポイントはただひとつ。ドナルド・トランプ復活が実現するかどうかだ。

というのも、トランプの前任期中を振り返ると、当選が確定した翌日の2016年11月10日からの2ヵ月で、日経平均はほぼ一直線に約11%上昇。その後も勢いは衰えず、当選から約1年2ヵ月後の2018年年始に、日経平均は26年ぶりに2万3000円を突破したからだ。

ところで、現時点では株式市場はまだトランプ再選を織り込んでいない。となれば、先回りして株を仕込んでおけばひと儲けできるのでは!?

まずはトランプ再選が経済に及ぼす影響について、ストラテジストとして世界経済や金融市場の分析を行なう香月太郎氏に解説してもらった。

「過去の発言などを踏まえると、まず中国に対して、再度関税引き上げなどの強硬路線を取るだろうと考えています。現状でも知的財産権や半導体の分野で中国に対する締めつけを強めていますが、それがより極端な形になる可能性があるでしょう。

この『対中封じ込め』は、周辺国に対する影響も大きいです。なぜなら、米国という巨大な需要国が中国との貿易を大幅に縮小することで、その需要がインドや台湾、そして何より日本に流れるかもしれないからです」

ということは、「もしトラ」で日本の経済も大復活を遂げるってこと?

「残念ながら、そういうわけにもいきません。国内製造業の仕事は増えると思うのですが、その一方で現在の円安基調が変わる見込みがあるからです。結果、需要は増える割に儲けは大して増えないでしょう。

その理由として、米国内の製造業、具体的にはデトロイトの自動車産業がトランプの大きな支持基盤になっていることがあります。

つまり、トヨタを儲けさせる円安は彼にとって許せないということになる。今、日本の製造業を潤している円安が円高方向に修正されていくとすれば、必ずしも日本の製造業にはプラスばかりではないということになります」

製造業は日本の株価に最も影響を与える業界。そこにダメージが及ぶとしたら、日経平均株価にも大きく響くだろう。

「特に打撃が大きそうなのは自動車関連。あとグローバル展開している商社も良くないでしょう。

一方で、バイデン大統領が行なっている大手ITサービスに対するプライバシー情報などの規制が、トランプ復活で緩和されるという期待があります。これが現実化すれば、日本の半導体関連企業には追い風になるのは間違いありません」

■イチ押しは建設株と銀行株

続いてお話を伺ったのは、54年のキャリアを持つ株式アナリスト・平野憲一氏。

「大前提として、歴史的に株式市場は民主党より共和党を好みます。そしてトランプの政策は非常にシンプルで、国内では金融緩和と減税で景気上昇を図る、典型的な共和党の大統領像に当てはまります。

対外的には強気で同盟国には負担要求、それ以外の国には軍事費の増加を通して圧力をかけていくでしょう。これが日本の株式市場に与える影響もまた明快で、前回のトランプ政権で起こったことを思い出せばいいのです」

2017年からの4年間、総じて為替市場では円高が進んだ。これを受けて、国内では輸出株が売られた半面、内需株(国内での需要に応じて売り上げを立てる企業の株。代表的な業種は建設、不動産、鉄道、通信など)が買われたと平野氏は振り返る。輸出株が絶好調だった直近5年ほどのトレンドが覆ることになるわけだ。

そこで、現状すでに業績が良く、かつ株主還元にも積極的な上場企業の中から、トランプ再選によって大いに値を上げそうな銘柄を平野氏に厳選してもらった。

「内需株の中でも、特に建設関連は有望です。地震や台風などの災害が続き、国土強靱化は投資テーマとしても重要性が増していますし、そこに輸出株からの資金シフトが加わるからです。その筆頭格がスーパーゼネコンの一角を占める大林組で、増配による株主還元を意欲的に進めています」

同社は1株当たりの配当を、2023年3月期の42円から本年3月期は一挙に75円に引き上げた。今期も80円とさらなるアップを予定しており、安定増配を見込んだ買いが今後も続くと平野氏はみている。業績も増益基調への復帰が見込まれており、信頼性は高い。

「建設では奥村組も面白い存在です。同社の魅力はなんといっても利回り5%に迫る高配当。さらに、最近注目されている指標のDOE(自己資本配当率。株主資本に対してどのくらい配当金を支払っているかを示す指標)2%超えを株主に対して公言しているのにも注目です」

DOE目標を公言する上場企業はまだ一部にとどまっている。同社はその達成を通じて、株主に対して着実に利益還元を続けていくと投資家に宣言しているのだ。実際に同社には建物の免震技術やトンネル施工技術という確かな強みがあり、この10年で1株当たりの配当額を約4倍に成長させてきた。

建設以外に、内需の盛り上がりで恩恵を受ける業種はないだろうか?

「国内で建設や設備投資などの需要が盛り上がれば、当然多くの企業がお金を借りて事業を拡大します。そこで出番が来るのが銀行。三大金融グループのうち、特に三井住友フィナンシャルグループには投資するうまみが大きいと思います」(平野氏)

TポイントとVポイントの統合で勢いに乗る三井住友カードを擁し、SBIグループとの業務提携や海外展開も活発化している。そして前出の2社と同様に、株主還元に積極的なのもうれしい。

最後に、個別株ではないが、香月氏からはこんな耳寄り情報が。

「実は現在、金の価格が上昇しています。多くの国の中央銀行が資産として持っていた米国債を手放して、続々と金を購入しているからです。

これは万が一、米国と対立して経済制裁でドルの決済を停止されたら......という不測の事態を懸念してのことです。トランプが再選すればこの動きはますます加速し、金価格はいっそう上昇するでしょう。

金は株式と値動きがまったく異なるので、運用資産の10〜20%程度を金価格に連動する投資信託に投資しておくといいかもしれませんね」

再選する可能性は現状五分五分だが、今回紹介した銘柄は「もしトラ」が実現しなくても投資妙味は十分ある。仕込んでおけば、大統領選をまた違った視点で楽しめるかも?

取材・文/日野秀規 写真/共同通信社

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