35年の軌跡をたどる『CLAMP展』レポート。「絶対だいじょうぶだよ」など数々の名シーンを原画で堪能

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2024年07月05日 13:10  CINRA.NET

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Text by 今川彩香

『魔法騎士レイアース』『カードキャプターさくら』『xxxHOLiC』をはじめ、ジャンルを横断しさまざまな作品を世に送り出してきた女性4人の創作集団・CLAMP(いがらし寒月、大川七瀬、猫井、もこな)。活動35周年を記念して、その軌跡を辿る展覧会『CLAMP展』が、六本木・国立新美術館で開催されている。

本展では、1989年の商業デビュー作『聖伝-RG VEDA-』から最新作『カードキャプターさくら クリアカード編』までの23作品を網羅したカラーイラストをはじめ、漫画本編の原稿約800点が一堂に会した。そのほか、オリジナルの映像や体験型展示、描き下ろしのカラーイラストも展示。CLAMPの独自の世界観に浸れる構成となっていた。

会期は9月23日まで。展覧会をレポートする。

「CLAMP展」国立新美術館 2024年 展示風景 ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD. ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./CLAMP展製作委員会(提供写真)

本展は、CLAMPの頭文字をピックアップし、「COLOR」「LOVE」「ADVENTURE」「MAGIC」「PHRASE」、加えて「IMAGINATION」「DREAM」の7つのエリアから構成されている。

はじまりの「COLOR」では、23作品のカラーイラストが一堂に会した。カラーインクをはじめ、コピック、リテックスやパステル、デジタルツールなど多彩な画材を使っているCLAMP。ここでは、絵柄や表現技法の変遷をじっくりと見ることができる。

「CLAMP展」国立新美術館 2024年 展示風景 ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD. ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./CLAMP展製作委員会(提供写真)

2つ目のエリアは「CLAMPが描く愛」に焦点を当てた「LOVE」。このエリアでは、作品を横断しながら、愛にまつわるシーンの原画が集められた。例えば『xxxHOLiC』を展示した一角では、主人公・四月一日君尋が、次元の魔女・壱原侑子を慕って、とある決断を言葉にしたシーンに焦点が当てられていた。国立新美術館特定研究員・吉村麗は「CLAMPは多様な愛のかたちを分け隔てなく描いてきた。ぜひ好きなシーンを探してほしい」と話していた。

「CLAMP展」国立新美術館 2024年 展示風景 ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD. ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./CLAMP展製作委員会

「CLAMP展」国立新美術館 2024年 展示風景 ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD. ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./CLAMP展製作委員会

3つ目のエリアはストーリーテリングに焦点を当てた「ADVENTURE」。代表作『聖伝-RG VEDA-』『東京BABYLON』『魔法騎士マジックナイトレイアース』『X-エックス-』『カードキャプターさくら』『ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-』の6作品の漫画本編の原稿を350点以上展示。モノクロ原画を読むように展示を見ることができる。

「CLAMP展」国立新美術館 2024年 展示風景 ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD. ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./CLAMP展製作委員会

「CLAMP展」国立新美術館 2024年 展示風景 ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD. ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./CLAMP展製作委員会

例えば『カードキャプターさくら』の展示では、数々の名シーンの原画が展示されていた。主人公・木之本さくらの口癖であり本作を象徴する言葉「絶対だいじょうぶだよ」を発する場面をはじめ、クロウカードの「鏡(THE MIRROR)」とさくらの兄、桃矢がやりとりをする場面や、「光(THE LIGHT)」「闇(THE DARK)」の初登場シーン、クロウカードの守護者、月(ユエ)との「最後の審判」のシーンなどだ。アナログ原稿で、ホワイトが盛り上がっていたり、多彩なスクリーントーンを使っていたり、見どころは満載だ。

4つ目のエリアは「MAGIG」。ここでは巨大なスクリーンにCLAMP作品のキャラクターらが代わる代わる投影され、「CLAMP作品を読んだときの魔法にかけられたような体験」を表現しているのだという。

「CLAMP展」国立新美術館 2024年 展示風景 ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD. ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./CLAMP展製作委員会

その次が「PHRASE」。ここでは台詞など作品内の言葉にフォーカスし、『xxxHOLiC』本編の漫画原稿約40点が展示されている。

「CLAMP展」国立新美術館 2024年 展示風景 ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD. ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./CLAMP展製作委員会

その部屋を抜けると、CLAMP作品の言葉の数々が散りばめられた空間が現れる。「『コトバ』は生きているの そして時には ヒトの生き筋さえ縛る」「この世に偶然なんてないわ あるのは必然だけ」といった『XXXHOLiC』の格言もあるなかで、『カードキャプターさくら』の独特な擬音語「はにゃーん」「ほえええええ‼️」なども交じっているのが楽しい。

「CLAMP展」国立新美術館 2024年 展示風景 ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD. ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./CLAMP展製作委員会

「IMAGINATION」は、漫画制作にとどまらず、アニメーションや絵本、コスチュームデザインなど多岐にわたるCLAMPの活動をたどるエリア。年表とともに漫画連載の時系列を視覚的に表した壁面をはじめ、本展のために行なわれたCLAMPへのインタビューから言葉を集めてデザインしたテーブル、キャラクターデザインを務めたテレビアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』の設定画なども展示されている。

「CLAMP展」国立新美術館 2024年 展示風景 ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD. ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./CLAMP展製作委員会

「CLAMP展」国立新美術館 2024年 展示風景 ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD. ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./CLAMP展製作委員会

最後のエリアである「DREAM」には、本展のために描き下ろされたカラーイラストを展示。左に『聖伝-RG VEDA-』の阿修羅、右に『カードキャプターさくら』の木之本さくらが描かれている。CLAMPの「はじまり」から「いま」、そして未来へと続いていくという思いが込められたイラストだという。

「DREAM」エリアより描き下ろし原画「CLAMP展」国立新美術館 2024年 展示風景 ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD. ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./CLAMP展製作委員会

本展の音声ガイドを務めるのは、声優の福山潤。福山は、アニメ『xxxHOLiC』四月一日君尋役、『ANGELIC LAYER』小林虎太郎役、『コードギアス 反逆のルルーシュ』ルルーシュ・ランペルージ役など、CLAMPと縁が深い。特設ショップでは、本展のために製作された記念商品も販売されている。

グッズの一部。「CLAMP展」国立新美術館 2024年 展示風景 ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD. ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./CLAMP展製作委員会

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