2024年6月8日に開催された銀座コインオークション『第118回 入札誌「銀座」』から、現在も使われている5円玉をピックアップします。
昭和25年、楷書体の5円玉です。「フデ五(筆五)」とも呼ばれる楷書体の5円玉は、1949年から1958年にかけて発行されました。古い5円玉のタイプですが、探せば今でも見つかることでしょう。
今回のオークションの逸品は、この5円玉の穴がかなーりずれているものです。
現行の5円玉が4万倍の「22万円」に! そのカラクリは?
今回高値が付いた5円玉は、本来真ん中にあるはずの穴がかなりずれています。いわゆる「穴ズレエラー」と呼ばれるもので、どれぐらいずれているかによって価格も変わります。
|
|
オークション結果は、落札価格が19万5000円。手数料込みで22万7175円となりました。5円玉が4万倍に化けたのです。
この5円玉の状態は「美品」。未使用評価であればさらに高額となったことでしょう。逆に言えば、これまで使われた可能性がある5円玉ともいえます。使用感のあるコインでも、エラーであれば高値が付く可能性があるということです。
正直ここまでずれた5円玉を探すのは相当難しいといえますが、お釣りの中にちょっとずれた5円玉や50円玉が見つかるなんていうことはもしかしたらあるかもしれません。
また、昔貯めていた貯金箱の中に眠っている小銭などからも発見できる可能性があります。一方、製造技術が向上している昨今に発行された貨幣ではまずこうした大きなエラーを見つけることは難しいです。
|
|
小銭を眺める習慣を身につけよう
今回は、穴ズレエラーコインのオークション結果をもとに解説を行ってきました。私たちが普段使っているコインというのが面白いですよね。流通していたコインということは、みなさんの財布の中に入る可能性もあったコインともいえます。普段使うコインの中で、少し変だな、何か違うといったものがあれば保管しておきましょう。
偽造硬貨ではない限り、エラーコインの可能性があります。実は世の中には穴ズレ以外にもいろいろな種類のエラーコインが発見されています。ぜひ日頃のお楽しみとして小銭を眺める習慣を身につけてみましょう。
運次第で、高値が付くエラーコインが見つかるかもしれません。
|
|
・第118回入札誌「銀座」Lot番号:451 5円黄銅貨 昭和25年 穴ズレエラー(銀座コインオークション)
伊藤 亮太プロフィール
慶應義塾大学大学院商学研究科修了。一般社団法人資産運用総合研究所代表理事。ファイナンシャルプランナーとして、家計・保険等の相談、執筆、講演、大学講師を主軸に活動。大学院時代の専門は社会保障で、経済・金融に関する解説も得意。コイン収集マニアの一面も。(文:伊藤 亮太(株式・ファイナンシャルプランナーガイド))