バイク乗りがヤマハのイベントに潜入! なぜかe-Bikeに感心?

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2024年09月20日 12:51  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
ヤマハ発動機がバイクオーナーやファン向けの交流イベント「My Yamaha Motorcycle Day 2024」を千葉県ロングウッドステーションで開催すると聞いたので、取材に行ってきた。バイク乗りとしてはヤマハの新型モデルに興味があったのだが、会場で実際に乗ることになったのは、なぜか電動アシスト付き自転車のe-Bikeだ。しかも、乗ってみて完成度の高さに感心してしまった。


圧巻! 2,300台のバイクが集結



ヤマハ発動機販売が2018年から開催している「My Yamaha Motorcycle Day」には毎回、多くのライダーが集まって交流を深めている。今回は晴天での開催で、筆者の手元の温度計で気温は35度を超えていた。そんな暑さの中、会場には約2,300台のバイクが集結。来場者は約3,000人に達した。



会場内に設けられた「感動ホール」には新型車をはじめ、実際にまたがることができる多くのバイクが展示されていた。現場の担当者によると約27のモデルに触れることが可能で、中でも「MT-09」に多くの人が集まっているとのことだった。


MT-09については、ヤマハの新技術「Y-AMT」(クラッチやシフトペダルを廃した自動変速トランスミッション)を搭載したモデルが近く発売となることもあり、多くの来場者から注目を集めていた。MT-09とトランスミッションの展示模型の前には人だかりができていた。


別のエリアにある「創造ホール」では、オーナーを認識して起き上がり伴走するパーソナルモビリティ「モトロイド2」(motoroid 2)が展示されていた。まるで生き物のような生命感を持った乗り物で、来場者も興味津々の様子だった。


通常、二輪車はスタンドがなければ倒れてしまうが、このモトロイド2は車体を電子制御して安定化させることで、自らセンシングして不倒状態を保てる自立制御システム「AMCES」(Active Mass Center control System)を採用している。さらに、オーナーの意思をくみ取りながら状態を判断する「画像認識AI」によって、人とマシンが呼応し合う親密な関係を再現。まさに、ヤマハ渾身の1台だ。人と機械を高い次元で一体化させるというヤマハの開発思想「人機官能」が最も濃密に感じられる展示スペースとなっていた。



「体験価値ホール」と名付けられた場所では、よりディープなヤマハの世界が待ち受けていた。ここでは、実際に整備士らが使用するものと同じ工具を使い、エンジンの分解と組み立てを体験できるイベントが開催中だったのだ。


静岡県袋井市には、ヤマハのバイクや船外機、マリンディーゼルなどの純正部品をストックしている「グローバルパーツセンター」があるが、そこから集めたという旧車用の在庫部品も見ることができた。どんなに古くても直してみせるというヤマハの意気込みが感じられる展示だ。このスペースに掲げられていた「製品はつくらない、ファンをつくっている」というスローガンも印象的だった。



エンジンの分解・組み立てにしても旧車の在庫部品の展示にしても、普段はめったに触れられないものに触れられる貴重な機会だった。ヤマハのバイクを骨の髄まで味わってほしいという主催者側の気概を感じた。

バイクの祭典で電動アシスト自転車を発見! 乗ってみた



会場中央の特設コースでは、ヤマハのe-Bike(スポーツ電動アシスト自転車)ファンが集う「YPJ Fan Meeting 2024」が開催されていた。バイクのイベントになぜ自転車が?


「YPJ」とはヤマハ発動機が展開するe-Bikeのブランド名だ。高い走行性能と電動アシストを組み合わせて、これまでの電動アシスト自転車の概念を超えたまったく新しいスポーツ自転車として、街乗りに最適なモデルや本格オフロードモデルなどをラインアップしている。


すぐに試乗できると案内されたので、さっそくヘルメットとプロテクターを装着し、特設コースを走ってみること。試乗車はフラグシップモデル「YPJ-MT Pro」をチョイスした。



このモデルの特長は、低重心化や優れた足つき性に貢献する「ヤマハ Dual Twin フレーム」を採用していること。ハードな路面でも優れた走行安定性と旋回性能を実現している。また、同社比で最小、最軽量を実現したフラグシップドライブユニット「PW-X3」を採用しており、従来モデルよりも高トルクでアシスト性能も向上しているそうだ。


長めの芝生で、通常の自転車だと前にこぎ出すのもきつそうなコースだったが、試乗したYPJ-MT Proは軽い力加減ですっと動き出した。コース上の凹凸を走り抜けるときは、電動アシストがものすごく効いているというよりも、路面をしっかりとグリップしていて、自分の足の力加減で微調整できている感覚が強かった。つまり、あまり電動感がなく、自然なアシストに徹している感じだ。それでいて、軽くペダルをこいでも走り出しは滑らかで、安定していた。


なぜe-Bikeを展示?



ヤマハ発動機といえばバイクのイメージが強い。なぜ今回、e-Bikeのファンミーティングを開催したのか。担当者はこう語る。



「ヤマハ発動機は1993年に世界で初めて電動アシスト自転車『PAS』を商品化しました。この分野では先駆者であり続けたいと考えています。そのため、2015年からはロードタイプの電動アシスト自転車『YPJ-R』を発売し、クロスタイプやマウンテンバイクなど、スポーツモデルのラインアップを拡大してきました」



どんな製品を扱っているのか。



「電動アシスト自転車というと子どもの送迎や買い物などに使うイメージが強いかもしれませんが、YPJを発表してからは、より本格的なスポーツ走行、オフロード走行にも電動アシスト自転車が用いられるようになりました。毎日の通勤に適したモデルもありますし、専用のスマートフォンアプリと接続することで、自転車のバッテリー残量などを確認できるモデルもあります」


ちなみに、今回試乗したフラッグシップモデル「YPJ-MT Pro」は74.8万円。自転車の価格としてはかなり高価に感じるものの、海外製の競技用自転車では100万円を超えるものもざらにある。快適で走破性が高く、軽量コンパクトな電動アシストユニットが付いてこの値段なら、むしろ安いと言えるのかもしれない。



そのほか、特設ステージではMotoGPライダーの中野真矢氏らがトークショーを開催。ヤマハファクトリーレーシングチームによるトライアルデモイベントなども行われた。来場者は酷暑の中、タオルと飲み物を片手に各会場で大いに盛り上がっていた。


室井大和 むろいやまと 1982年栃木県生まれ。陸上自衛隊退官後に出版社の記者、編集者を務める。クルマ好きが高じて指定自動車教習所指導員として約10年間、クルマとバイクの実技指導を経験。その後、ライターとして独立。自動車メーカーのテキスト監修、バイクメーカーのSNS運用などを手掛ける。 この著者の記事一覧はこちら(室井大和)

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