“任天堂法務部”は怒らせると怖い──実際はどんな仕事をしているの? 「パルワールド」訴訟受け、Xで話題に

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2024年09月20日 17:41  ITmedia NEWS

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任天堂法務部の仕事を紹介する記事がXで話題

 最強と名高い「任天堂法務部」はどのような仕事をしているのか――任天堂法務部の仕事を紹介する記事がXで話題だ。任天堂とポケモン社は9月19日、ゲーム「Palworld/パルワールド」を開発・販売するポケットペア(東京都品川区)に訴訟を提起した。これをきっかけに、X上では任天堂がこれまで起こしてきた訴訟での立ち回りや、その勝率についてさまざまな意見が飛び交っている。


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 今回、任天堂とポケモン社はポケットペアに対して「パルワールドが複数の特許権を侵害している」とし、侵害行為の差し止めと損害賠償を求めている。任天堂は過去にも、スマホゲーム「白猫プロジェクト」を巡って、提供元のコロプラに特許権侵害訴訟を提訴。結果、コロプラが和解金33億円を任天堂に支払うことで和解していた。


 この他にも、任天堂はさまざまな裁判で勝訴や和解に持ち込むなどの事例があり、ネット上では「任天堂法務部は怒らせると怖い」という俗説が広がっている。そんな中、今回の訴訟提起をきっかけに、あるXユーザーが任天堂の法務部門の仕事を紹介した記事を話題にしたところ、その仕事の内容や姿勢に注目を集めている。


●法務部は訴訟担当ではない 実際の業務とは?


 話題になった記事は、任天堂の採用情報として公開されているもの。実際に現場で働く社員の仕事を紹介しており、法務部の仕事についても取り上げている。それによると、法務部は知財紛争・訴訟には対応しておらず、国内外の取引先との契約締結業務などを担当しているという。


 例えば、グローバル展開するゲームでは、海外各国の法律を破らないよう調整をする必要があるが、法律上必要な注意事項をそのまま表記してはゲームの面白さを損なう可能性がある。そのため法務部では、開発スタッフと海外のリーガル部門のスタッフの間に立ちながら、チェックや調整をしているという。


 実際、スマートフォン向けゲーム「どうぶつの森 ポケットキャンプ」では、スロットマシンのデザインを開発部門と相談して変更。ギャンブルに関する海外の表現規制を守りながら、開発者のアイデアを無駄にしないよう、スロットマシンでそろえる目を「777」(スリーセブン)からキャラクターの絵に変えるなど、落としどころを調整したという


 他にも、実際に知財紛争・訴訟などに関する業務を担当する知的財産部の記事も。今回の訴訟でも取り上げられた特許権に関わるグループでは、発明の権利化に関わる業務や他社が保有する特許を侵害していないかの調査などを担当。実際にゲームをプレイし、開発者も気づいていない発明を見つけ、権利化することもあるという。


 例えば、Nintendo Switchのフィットネスゲーム「リングフィット アドベンチャー」では、トレーニングウェアに着替えて実際にゲームをプレイし、特許になりそうな発明がないかを検討。実際に運動をする必要があるため体力を使い果たすこともあったが、自分自身で汗を流して、そのゲームの良さを実感するよう心掛けたという。


 結果、フィットネスゲームのモチベーションを上げる仕組みとして、従来のゲームでよくある「経験値を得て、自分の分身である主人公がレベルアップし、攻撃力などのステータスが上がる」という仕組みを組み込むことで、特許になり得るのではと提案。実際に出願したところ、このアイデアに関して特許を取得できたとしている。



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