「子どもが欲しい」と夫婦生活を強要する妻、残業や接待中にも「早く帰ってきて」 限界の夫は離婚できる?

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2024年09月23日 08:10  弁護士ドットコム

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「妻と離婚したい」


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そう考える男性の理由はさまざまですが、中には「妻からのDV」を受けている男性もいます。弁護士ドットコムにも、子どもが欲しい妻から夫婦関係を強要されているという男性から相談が寄せられています。



相談によると、男性は年上の女性と結婚しました。妻は妊娠を強く希望しており、排卵日には夫婦生活を持つように求められ、男性が仕事で遅くなると、残業中でも重要な接待中でも早く帰ってくるよう、何十回も電話してきたり、メールを送ってきたりするそうです。もし、応じられないと「死ね」とメールが送られてくるといいます。



男性が応じられなかった日の翌朝も、「まだ間に合うから」と夫婦生活を強要され、拒否すると「家から出ていけ」と閉め出されたこともあったそうです。



男性は離婚したいという希望を持っていますが、離婚に際して、慰謝料を請求することは可能でしょうか。離婚問題に詳しい林奈緒子弁護士に聞きました。



●性的DVやモラハラは男女問わず認められる

——夫から妻への夫婦生活の強要は「性的DV」と認められるようになってきましたが、妻から夫への夫婦生活を強要も、同じように「性的DV」として認められるのでしょうか。



認められます。男女の別を問わず、性的DVは成立します。



——また、妻が夫に対して、「死ね」などとメールを送ったり、夫を家から追い出すことはモラハラに当たりますか。



あたります。モラハラ、モラルハラスメントは、言葉や態度、身振りやLINE・メール等により、攻撃対象となる人の人格や尊厳を傷つけ、精神的に追い込むことを言うと考えられます。



モラハラは夫が妻から受けるものというイメージがあるかもしれませんが、加害者が妻、被害者が夫の場合も少なくありません。当事務所にも、妻からのモラハラを受けている夫の側からのご相談も多く寄せられています。



妻が夫に対し、「死ね」などというメールを送ることは、夫に対する人格的な攻撃となりますし、夫を家から追い出すことは夫に妻に対する不安や畏怖心を抱かせる行為であり、やはりモラハラにあたると考えられます。



モラハラをする配偶者は、男女を問わず、言葉や態度で配偶者を支配しようとし、支配下にある配偶者からの反抗を許しません。「死ね」と攻撃したり、家から追い出すというのはモラハラの典型的な行為であり、そこに男女の別はありません。



●モラハラを我慢せず、身を守って

——夫はこうした妻の行動を理由に、離婚することは可能でしょうか。また、慰謝料請求もできますか。



離婚することが可能です。その程度によって、離婚慰謝料の請求原因にもなると考えられます。離婚慰謝料については100万円前後から300万円程度となることが多いと考えられますが、婚姻期間の長短、慰謝料を請求する事情、暴力の有無等、いろいろな事情を考慮して決まるため、ケースにより異なってきます。



モラハラを受ける配偶者はついつい、モラハラをする配偶者の改善に期待し、限界まで我慢をしてしまいがちです。別居をするなどしてご自身の身を守ることはとても大事なことです。離婚を考えたい場合、離婚に詳しい弁護士であれば、豊富な経験から具体的なアドバイスをもらえると思います。まずは弁護士に相談されるとよいでしょう。




【取材協力弁護士】
林 奈緒子(はやし・なおこ)弁護士
早稲田大学政治経済学部・政治学科卒業。通信会社、損害保険会社勤務を経て早稲田大学法科大学院を卒業し、弁護士登録。大手弁護士法人、法律事務所勤務等を経て、2018年、東京都港区赤坂にて開業。多数の離婚・国際離婚、相続、不動産、交通事故事件を取り扱っている。趣味はキャンプ、スキー(始めたばかり)。2児の母。離婚・男女問題の相談実績1000件以上。初回の相談から解決に至るまで、親身に寄り添い、私が一貫してサポートしています。離婚特設ページ( https://www.hayashinaoko-lawoffice.com/lp-divorce/ )
事務所名:林奈緒子法律事務所
事務所URL:https://www.hayashinaoko-lawoffice.com/



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