“VRChat民”歓喜の要素が満載! HTCの新XRヘッドセット「VIVE Focus Vision」 実機に触れて見えた優位性は?

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2024年09月24日 22:31  ITmedia PC USER

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前面にパススルー用カメラを備えた「VIVE Focus Vision」

 HTC NIPPONは9月24日、新型のXRヘッドセット「VIVE Focus Vision」を日本で発表しました。18日にグローバル向けオンラインイベントでも言及していたモデルです。同社はパススルー表示用のステレオカメラを活用したMR機能が充実していることを強くアピールしています。


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 価格は個人ユーザー向けのConsumer Editionが16万9000円です。なお米国では999ドルに設定されているため割高に感じられますが、10月17日までに予約すれば7種類以上のゲームと「VIVE 有線ストリーミングキット(DisplayPort モード対応)」(2万9000円)が付属するキャンペーンも行われます。


●技術革新を続けてきたHTCが送り出す新モデル


 HTCは1997年に携帯電話をリリースして以来、08年には世界初のAndroidスマートフォン「HTC Dream/Mobile G1」を発売するなど、業界をリードしてきました。


 HTC Corporationのチャールズ・ホアン氏(副社長 兼 HTCグローバルセールス&マーケティング統括、写真左)は、「HTCのビジョンは明確だ」と話します。


 「われわれは、人間のテクノロジーとの関わり方を進めることに全力を注いできました。これから先も人とテクノロジーをつなげ、テクノロジー製品の融合が世界中のユーザーにとってシームレスな体験となることを目指します。それがVIVEREALTYと呼ばれるものになります」(ホアン氏)


 そのチャレンジの一環として開発されたのが、数多のVRコンテンツが流通しているPC VRの市場と、単体で動作するスタンドアロンのVR端末を融合させた「VIVE Focus Vision」だといいます。


●既存のプロセッサのパワーを引き出す構造に


 2016年、HTCはValve(PCゲームプラットフォームのSteam運営企業)と共同開発したVRヘッドセット「HTC Vive」を発売しました。HTC Viveのために開発されたトラッキング技術の規格「Lighthouse」は、コンシューマー向けVR機器のスタンダードとなり、現在も高精度なフルトラ(フルボディートラッキング)を求めるユーザーから評価されています。


 しかし、部屋に外部センサーを設置しなくてはならないLighthouseは、新規ユーザーが参加する際のハードルの高さにもつながっています。その点を考慮し、HTCは外部センサーを使わないインサイドアウト方式のVRヘッドセットも開発してきました。


 新しいVIVE Focus Visionもインサイドアウト方式を採用したデバイスとなっています。SoCにはQualcommの「Snapdragon XR2」を採用し、スタンドアロンのXRヘッドセットとして動作するとともに、ゲーミングPCとの連携も視野に入れたモデルです。


 とはいえ、Snapdragon XR2は最新のプロセッサではありません。HTCの製品でいうならば、2021年に発売された「VIVE Focus 3」が搭載していたものと同じです。もっと言えば、VIVE Focus VisionとVIVE Focus 3はボディー全体が非常に似ています。


 外観上の違いは、パススルー用のステレオカメラなどのセンサー類のみです。ディスプレイパネルの解像度や、フレネルレンズの採用など、基本スペックも同一です。


 VIVE Focus Visionは、VIVE Focus 3をベースにMR機能を追加したアップデート版のXRヘッドセットといえるでしょう。


●DisplayPortの広帯域性能を生かせるXRヘッドセット


 HTC NIPPONの政田雄也氏(グローバルプロダクトマーケティングマネージャー)の説明によれば、VIVE Focus Visionは従来モデルより大きな冷却ファンを採用し、全体の熱処理効率をアップさせています。これによって安定稼働が見込める他、2024年内に予定されているアップデートにより、「DisplayPortモード(有線接続モードの1つ)」による120Hzリフレッシュレートの表示も実現するといいます。


 DisplayPortモードは今回の発表会のハイライトの1つでもあります。VIVE Focus VisionをゲーミングPCに接続するには、ワイヤレスとUSBが基本となりますが、後から追加されるDisplayPortモードも大きくアピールしていました。


 というのも、片目あたり2448×2448ピクセル、両目で5Kピクセル解像度となるVIVE Focus Visionの性能を最大限引き出すには、広帯域な信号伝送システムが必要です。しかし、通常のUSBでは帯域幅が狭く、データを圧縮する必要があります。


 その問題に対するHTCの答えが、DisplayPortの映像信号を無圧縮のまま受け取れるモードの採用ということでしょう。無圧縮の映像信号を表示できるようにすることで、高解像なVR映像を楽しむことが可能となり、高度な没入感を得られるそうです。なお同モードを利用するには「VIVE 有線ストリーミングキット(DisplayPort モード対応)」(2万9000円)が必要です。


●目や表情の動き、身体を動きをXR空間に持ち込める


 もう1つのハイライトが、アイトラッキングセンサーを内蔵したことです。目の動きを検知可能なシステムで、AppleのVision Proのように視線入力をポインティングデバイスとして使うことができる他、XR空間で操るアバターにユーザーの目の動きを反映させることが可能です。


 笑顔、しかめっ面など表情の動きを捉える「VIVE Focusシリーズ用フェイシャルトラッカー」(1万4900円)も使用できます。


 ヘッドセット本体と両手のコントローラーでも、上半身の動きはVRアバターに反映できます。さらに腰や足の動きも正確に反映させたいなら、「VIVEトラッカー(Ultimate)」が必要です。3つのトラッカーと1つのワイヤレスドングルのセットで、価格は9万1900円です。


●表情も含めた全身トラッキング機材としての魅力あり


 MR機能に関しての説明もありましたが、既に10万円以下の「Meta Quest 3」や「PICO4 Ultra」で実現している機能ゆえに、正直に言えばインパクトに欠けました。発表会後のデモンストレーションでもMR機能の体験をしましたが、現行の他社製品に近しいクオリティーという印象でした。


 とはいえ、VIVE Focus Visionは業務用途も前提とされているXRデバイスです。VR施設向けに長らく機材を提供し、サポートしてきた経験を持つHTCだからこそ、周囲の景色も見通せるMRを有効活用したB2B、B2B2Cサービスやコンテンツの要となる期待感があります。


 B2C市場を見ている筆者としては、標準状態で上半身と目を、オプション機器を加えることで身体全体かつ表情まで動かせるところにVIVE Focus Visionの強みがあると見ました。


 VRChatなどのソーシャルVRで演劇の舞台を開いたり、離れた場所に住む仲間と組んだバンドのライブ演奏、ホストクラブのホストとして接客するなど、演技やロールプレイ、パフォーマンスを楽しむ人が急増している現在、メーカー純正の機器でVR活動にいそしめるメリットはあるでしょう。


 特にVRChatはこの夏の“スタンミショック”(ストリーマーのスタンミジャパンさんがVRChatをライブ/YouTubeで紹介して以来、日本人ユーザーが急増)がありましたし、これからソーシャルVRをはじめる機器としてお勧めできますね。



このニュースに関するつぶやき

  • メタクエスト3S のほうが良いって話きいたぞ。
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