Q. 大麻草が自生しているのを見つけたら、どうすればいいですか?
Q. 「大麻草は草むらなどで自生していることがあると聞きました。もし大麻草らしきものを見つけてしまった場合、どうすればいいですか? 」A. 一切触れずに、すぐに保健所に連絡してください
もし大麻草らしき植物を見つけた場合、一切触れてはいけません。すぐに保健所に連絡してください。事件性や計画性を警察が調査することもありますので、「本当に大麻かわからないから、誰かに見てもらおう」と、勝手に抜いたりしてもいけません。多くの方がご存知のように、現在の日本では、大麻の使用が法律によって規制されています。薬物としての「大麻」は、植物である「大麻草」の葉や花穂から製造されますので、大麻草を栽培することは、薬物の製造に相当する行為であり、とくに厳しく規制されています。
規模などにもよりますが、違反者には「無期懲役」が科せられることもあります。
しかし、大麻草は紀元前から日本中で自生もしくは栽培され、様々な形で有効利用されてきました。麻繊維は強靭なので、袋やロープにも使われ、吸湿・放熱性にも優れているので夏服にはぴったりです。種子は、油をとったり、そのまま食べることができます。
規制が厳しくなってからは、見つかると取り除かれるので、都市部で大麻草を見ることはほとんどなくなりましたが、もともと強い植物なので、農薬や化学肥料などを使わなくてもどんどん育つ性質があり、いまでも山林に自生していることも珍しくありません。
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自宅の庭や近所の草むらなどで、万が一大麻草らしきものを見つけたときは、最寄りの保健所にすぐ連絡しましょう。計画性や事件性がないか警察が調べることもあるので、勝手に抜いたりしてはいけません。
本物かどうか図鑑やインターネットで調べようとして、手に取るだけでも、所持したことになりますし、栽培の疑いがかかることもありますので、絶対にさわらないでください。そのままの状態で連絡するのがベストです。
なお、大麻草の他にも、「麻」とつく植物として、アマ(亜麻)、チョマ(苧麻)、黄麻(こうま)、マニラアサ(マニラ麻)、サイザルアサ(サイザル麻)がありますが、これらは葉の形などが大麻草とは全く違いますので、間違えることはないでしょう。大麻草と間違えられやすく注意したいのは、ケナフ(別名:洋麻)という植物です。
植物分類上はアオイ科フヨウ属で、アサ科ではないのですが、下の図のように、葉が大麻草に似た手のひらのような形をしているので、紛らわしいです。
しかし、区別するポイントさえ知っていれば大丈夫です。
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■参考
・『大麻大全』(武蔵野大学出版会)
阿部 和穂プロフィール
薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。(文:阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者))