池松壮亮「最後まで迷いながら」『ぼくのお日さま』サンセバスチャン国際映画祭全回満席に

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2024年09月27日 22:31  cinemacafe.net

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第72回サンセバスチャン国際映画祭『ぼくのお日さま』(C)2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINÉMAS
「第72回サンセバスチャン国際映画祭」ザバルテギ・タバカレラ部門で招待された『ぼくのお日さま』監督の奥山大史と池松壮亮が現地入りし、9月21日(現地時間)に上映された。

現在スペイン北東部の都市サンセバスチャンで開催中の同映画祭。本作の上映はタバカレラセンターで行われ、満席の会場に、『僕はイエス様が嫌い』以来、実に6年ぶりの同映画祭参加となる奥山監督、フィギュアスケートを練習する少女のコーチ荒川役の池松が、上映前の挨拶と上映後のQ&Aに登壇。

奥山監督と池松が登場すると、割れんばかりの大きな拍手が沸き起こり、奥山監督は「サンセバスチャン映画祭は僕にとって、とても大切な場所です。初監督作『僕はイエス様が嫌い』をニューディレクターズ部門で上映して頂き、そこから大きく人生が変わりました。この映画が撮れたのも、サンセバスチャン映画祭のおかげです。大切に作った映画と共に、こうして戻って来れたこと、心の底から嬉しく思います」と挨拶。池松も「ずっと来たかったサンセバスチャン映画祭に来ることができたことをとても嬉しく思います。そして今日こうしてこの場でみなさまに、ご覧頂けることを光栄に思います。温かくて余韻の深い映画になっています。楽しんでください。グラシアス」とスペイン語を交えた。

上映中は、登場人物たちの繊細な心の動きや美しい情景に引き込まれ、その真剣な眼差しからは一瞬たりともシーンを逃すまいという思いが伝わった。物語がクライマックスに進むにつれ、場内には緊張感が漂う一方、確かな感動が観客の心に深く染み渡っていくのが感じられた。

その後のQ&Aでは、多くの質問が飛び交い、「この映画に出てくる日本の景色は、自分が知っている日本の景色ではなくて驚いた。景色はどのように選びましたか?選ぶ際に海外の観客を意識することはありますか?」という質問には、「もし京都の花見小路や東京のスクランブル交差点などを日本の景色として認識されていたら、確かに真新しくみえる日本の景色なのかもしれません。ただ、海外の方々にまだ馴染みの無い日本の景色を撮ろう、といった作為はありませんでした」と監督が話し、「スケートが滑れる凍結湖を探すと北海道にいきつき、そこから物語の世界観に合う景色を北海道各地から見つけ出し、転々と撮影をしていくことで、一つの架空の街を浮かび上がらせることを目指しました。結果としてそれが新鮮に見えたならとても嬉しいです」と回答。

役へのアプローチについて質問されると、「スケート技術が必要な役でしたので、半年かけて特訓しました。タクヤもさくらも奥山監督も、スケート経験があってスイスイ滑れるので、たくさん足を引っ張りました(笑)また、大人としてどういう態度で未来と対峙できるのか、役柄はありますが、この2人と向き合うということに最後まで迷いながら取り組むことを目指しました」と池松は笑いを交えながらも真摯に答え、会場も沸かせた。

本作は期間中、舞台挨拶がある回のほか、3回の上映があり、いずれも満席、上映後には拍手が起きる絶賛の嵐となった。

『ぼくのお日さま』は全国にて公開中。




(シネマカフェ編集部)

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