ドンキ、サンダルのように履けるスニーカーが好調 ほとんど「革靴」なスニーカーは絶好調 「悩みを解決する靴」を開発した背景

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2024年09月28日 06:21  ITmedia ビジネスオンライン

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どんなスニーカーなのか

 ドン・キホーテが2023年11月に発売した、サンダルのように立ったまま履けるスニーカー「Spash(スパッシュ)」シリーズが好調だ。売り上げが計画比160%で推移しており、2024年8月末にはリニューアルをしてさらに快適性を向上させた。競合商品も存在する中で、どういった点を工夫したのか。商品を企画したパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の月足義広氏に話を聞いた。


【画像】サンダルのように履けるスニーカー5つのこだわりポイント、スニーカーの全体像、ほとんど革靴なスニーカー、汚れにくいスニーカー(計14枚)


 スパッシュは、「誰かの悩みを解決する靴」をコンセプトに開発した商品だ。「膝や腰がつらい」「子どもから目が離せない」「荷物で手がふさがっている」といった状況でも、手を使わずに履けるようにした。履く際に屈む必要がないのもポイントだ。


 リニューアルに当たっては、いくつかの点で履きやすさを向上させている。


 例えば、かかとの部分を特許形状のV字カップにしたり、柔らかで滑りのいいクッションを採用することで、足がスムーズに靴の中に入るようにした。


 濡れたコンクリートの床などで滑りやすいといった課題に対応するため、靴底素材にラバーを練り込んだ。月足氏は「本当はゴム底にしたかったのですが、そうすると価格が高くなってしまいます。価格維持のため、ラバーを練り込むという手法に挑戦しました」と説明する。スパッシュの価格は4399円だが、競合商品に負けないよう、価格とクオリティーのバランスにこだわったという。


 履き心地を快適にするため、履き口にクッション性のある生地を採用。ホールド感も向上させた。また、足の甲を覆うシュータンが、履くときに巻き込まれないように角度も調整した。


 腰の痛みを抱えている人に配慮し、インソールも柔らかくしている。クッション性が高いほうが、足の負担が少ないためだ。


 スパッシュには、「コートタイプ(スニーカー)」と「ニットタイプ(スリッポン)」の2種類を用意。スニーカータイプは、靴ひもがゴムになっており、ひもを結ばずに履けるようになっている。ゴムの伸縮性のおかげで、足にフィットしやすいという特徴もある。


 どんなシーンでも使いやすいように、全体的にカジュアルなデザインとした。サイズは25、26、27、28センチを用意している。


●客層を広げる狙い


 なぜ、ドンキはスパッシュを開発したのか。月足氏は「靴売り場で店員が、お客さまから『靴ベラを貸してほしい』と声をかけられることがよくあります(もちろん、店には靴ベラを常備している)。靴ベラが不要な靴をつくれないだろうかと考えたことがきっかけです」と説明する。


 これまでドンキでは若者向けの靴を主に開発してきたが、客層を広げたいという狙いもあった。ニューファミリー層や中高年層に、手を使わずに履ける靴のニーズは高いと考えたという。


 2023年11月発売のスパッシュを購入した属性を分析すると、「40代男性」が最も多く「30代男性」「20代男性」「50代男性」が続く。この結果について月足氏は「年齢を重ねるとさまざまな体の部分に不調が出てきます。『楽』に履きたいという潜在的なニーズを掘り起こせたのではないでしょうか」と分析する。


 靴の軽さも支持されたポイントのようだ。月足氏によると、一般的なビジネスシューズは400〜500グラム、軽量スニーカーは250〜300グラムだが、スパッシュのスニーカータイプは約200グラムだ(いずれも片足の重量)。


●男性向けに特化して価格を維持


 2023年11月に発売したスパッシュは23〜28センチのサイズを用意していたが、リニューアル時には25〜28センチに絞り込んだ。23〜24センチは主に女性向けだったが、男性向けに特化した。女性向けが思ったほど伸びなかったので、アイテム数を絞り込み、コスト削減を図った。


 リニューアルした商品は2024年9月1日以降に店頭販売を開始したが、初速は好調だという。レディースサイズがなくなったにもかかわらず、シリーズ全体の売り上げは伸びているのだとか。女性向けを泣く泣く諦めたものの、それを補って余りある成果が出ている。


●機能性のある靴の売り上げが好調


 スパッシュに限らず、ドンキでは機能性の高い靴の売り上げが好調だ。


 2023年11月に発売した「スニーカー心地のラクすぎビジネスシューズ」は、既存の革靴に対する「痛い」「固い」「重くて疲れる」「靴擦れする」といった不満の解消を目指した商品だが、累計の売り上げは計画比400%超で推移している。


 また、汚れがつきにくく、汚れても落としやすい特徴のある「汚れに強い黒白スニーカー」も同120%と好調だ。


 いずれも、既存の靴に対する不満を解消するような機能性を備えつつ、競合との価格競争力を意識した商品だ。月足氏は、これらの商品に対して寄せられているさまざまな不満の声を踏まえ、改良に取り組んでいる最中だ。


 ドンキの機能性を意識した靴は、引き続き好調を維持できるか。



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