「くるまにポピー♪」で一世風靡 昭和の自動車用芳香剤が、令和の今も売れている! 守り続けたレトロデザインに脚光

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2024年09月28日 09:40  まいどなニュース

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くるまにポピー♪ ©テレビ大阪

昭和に大ヒットした自動車用芳香剤「グレイスメイトポピー」。その独特なフォルムとキャッチーなCMソング「くるまにポピー♪」で広く知られていますが、実は今でも販売されていることをご存じでしょうか。しかも令和の現在も売り上げは拡大しているといいます。そこには創業者から引き継がれた商品を守り続けてきた信念がありました。昭和・平成・令和と3つの時代を生き抜いた商品の、波瀾万丈なストーリーに迫ります。

【動画】「くるまにポピー♪」その昭和・平成・令和の激動ヒット史

未知なる芳香剤の開発に挑戦

「グレイスメイトポピー」を作っているのは、大阪・豊中市にある化学メーカー・ダイヤケミカルです。3代目となる渡辺健文(たけふみ)社長(46)は、同商品についてこう語ります。

「ポピーは私の祖父で、ダイヤケミカル創業者の渡辺武雄が作った商品になります。昭和の時は大ヒットしまして、平成に入って少し売れなくなった時期もあったのですが、また令和になってじわじわブームがきているという『山あり谷あり』の商品なんです」

ポピーが誕生したのは、マイカーブームに列島が沸いた昭和50年代のこと。もともと同社はスプレータイプの芳香剤を販売していましたが、香りが短い時間しか残らないことが難点でした。初代社長は、車内で香りが「長続きする未知なる芳香剤」の開発を思いつきます。

香料会社のアドバイスも受けながら、液体に差した芯から香料を揮発させるという画期的なアイデアを得ましたが、アルコール・水・香料と、異なる性質の液体を調合することは困難を極めました。開発にかかった期間はなんと2年。ようやく理想とする芳香剤が完成しました。

また、ポピーといえば、あの独特なガラス瓶の形状が特色です。「大事なマイカーに乗せるものだから、高級感が必要」と考えた初代社長が、アイデアを求めて訪れたのは化粧品販売店。そこで香水のガラス瓶に目を付けます。「これやったらインテリアの一部になるはずや」。最終的には車内に置いた時の倒れにくさなどもふまえ、クリームの瓶をモチーフにデザインされたといいます。

こうして誕生した「グレイスメイトポピー」。1978年6月に発売開始されると、大変な売れ行きに。現社長は、「ものすごく売れすぎて、工場でも生産が追いつかず、お客さんが工場に取りに来たという話は聞いたことがあります」と振り返ります。なお、印象の強い商品名の「ポピー」については、「パピプペポが耳に残りやすいことから、初代社長が考えた」ものなのだそうです。

伝説のキャッチフレーズは…

大人気を博していたグレイスメイトポピーですが、ある人物が出演したCMのおかげで、誰もが知る商品になります。

発売から3年たった1981年、2代目の忠雄社長は、CMをつくることを決意します。出演者に選んだのは関西を代表する漫才コンビとして名高い、オール阪神・巨人の2人。

「当初は広告代理店の方から、関東のタレントで打診されましたが、当時の会長が『どうせなら長く付き合える方と』と、阪神・巨人さんを起用したと聞きました」と現社長。「今でもお付き合いがあって、たまに会社に来てもらったりしています」とのこと。

また、関西の人ならだれもが聞いたことがある「くるまにポピー♪」というフレーズは、なんとCMに出演したオール阪神巨人によるアドリブから誕生したものだそう。CMの最後でポピーを置いたおもちゃの自動車に乗るオール阪神さん。「ただおもちゃに乗っているだけやと、物足りへんなぁ」という思いから、アドリブで歌い上げたフレーズが注目を集めることになりました。

CMの効果は絶大で、1992年には「グレイスメイトポピー」シリーズの累計販売個数が7000万個を突破するほどに。しかし、ブームの終焉はすぐそこまで来ていたのです。 

バブル崩壊、ミニバンブームで逆風

その後、日本経済はバブルが崩壊。芳香剤も低価格の商が流行しますが、ポピーが低迷した理由はそれだけではありませんでした。折しもミニバンブームで、車のダッシュボードの形状が変化。車内から物理的にポピーを置けるスペースがなくなっていました。また販売から15年以上たち、「ポピーはおじさんのもの」というイメージが定着。若者たちから嫌われる風潮が出ていました。

「ポピーのデザインを変えませんか」…。そんな提案が社内でも出ていたそうですが、2代目社長は決して変更を許さなかったそう。

「こぼれにくいようにした瓶の口や芯の形状など、ポピーの考え抜かれた構造を崩したくなかった。祖父が時間をかけて作ったものを変えたくないという思いも引き継いだのだと思う」と現社長は語ります。しかし、復調の兆しは海外からやってきたのです。

ブームは海外から

1979年から海外でも販売していたポピー。しかし中国・インド製の偽物が本物の約半値で売られるなど、シェアを奪われるも手を打てずにいました。

しかし、2014年に本物の商品のクオリティに感動した、オランダの代理店と契約。地道に偽物を市場から排除し、本物が認知されるようになった結果、ヨーロッパの長距離トラックドライバーたちの間でポピーが大ヒットすることになります。

ヨーロッパは陸路での輸送が多く、長距離ドライバーが車内で過ごす時間が長いことから、大きな需要があったのです。代理店がヨーロッパ限定の販促物として、ポピーを光らせる専用台座を作り、夜はライトアップできるようにした施策も注目を集めるなど、売上が増加。ヨーロッパの液体芳香剤(運搬商用車部門)でシェア90%を記録し、この取り組みは国内でも話題になりました。

昭和レトロブームが思わぬ追い風!

海外のブームに乗って、日本でももう一度ポピーを復活させようと、同社は新商品を開発します。2018年に発売された「エアーポピー」。ポピーのデザインをそのまま小さくして、車のエアコンの吹き出し口の前に取り付けられるようにしました。ところが、この小型ポピーはまったく売れず、1年で製造が終了してしまいます。

しかし、2020年前後、純喫茶に女性が集まったり、昭和系テーマパークがオープンするなど「昭和レトロブーム」が到来。販売終了していた小型ポピーも注目を集めるようになり、2022年ごろにはフリマアプリで高額転売されている現象も確認されたそう。

これは…と倉庫に眠る大量の在庫をネット販売したところ即完売。これを受けて、小型のエアーポピーも再販することに。3カ月かけて全体のフォルムや瓶の質感を忠実に再現、よりオリジナルに近いミニチュア版ポピーをつくりあげました。また2023年4月にはポピーのカプセルトイも発売しました。

デザインを変えないという信念を大切にしながら、時代に合わせて変化しながら今なお愛されているポピー。その成功の裏には、創業者から現社長へと受け継がれてきた「時代に流されない強さ」があったのかもしれません。

ピンチを乗り越えるヒントを「心の支えになるものを持つ」と述べる現社長。「ポピーは私たちとずっと一緒にいてくれた、そのおかげで私たちも困難を乗り越えることができました」と語っています。これからの行楽シーズン前に「くるまにポピー♪」してみませんか?

番組情報

〇番組名
日経スペシャル もしものマネー道もしマネ
〇内容
『もしもの時』に備えるマネー道!マネー活用バラエティ!
〇放送日時
テレビ大阪 第1〜3日曜日 午後2時放送!放送終了後はYouTubeチャンネル、TVerで無料見逃し配信中

(まいどなニュース/クラブTVO編集部)

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このニュースに関するつぶやき

  • 芳香剤載ってる車乗ると酔うんだよなあ、、
    • イイネ!7
    • コメント 1件

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