「NV200バネット」にも「MYROOM」が登場! 日産お手製車中泊仕様の実力は?

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2024年10月03日 09:01  マイナビニュース

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日産自動車が商用車「NV200バネット」に車中泊仕様車「MYROOM」(マイルーム)を追加して発売する。マイルームの設定は「キャラバン」に続き2車種目だ。車中泊を想定したクルマは増え続けているが、メーカー自らが手がけたモデルにはどんな特徴があるのか。実車で確かめてみた。


キャラバンが人気で2作目の制作決定!



新型コロナウイルス感染症の流行を機に、キャンピングカーの多様化が進んでいる。これまではキャンプ場などで飲食して寝泊まりするというパターンだけだったが、コロナ禍を受けての生活様式の見直しや、増え続ける自然災害への対応として、キャンピングカーが注目されるようになっているのだ。



そんな中、これまではベース車両を供給する立場だった日産自動車が、商用車の「キャラバン」「NV200バネット」をベースとした車中泊仕様の展開を始めている。


具体的には、アクティブなアウトドア向けの「Multibed/Transporter」と癒しをもたらすインドア向けの「MYROOM」がある。これまで日産は、キャラバンに全てのタイプを、「セレナ」とNV200バネットにはMultibedを設定していた。



MYROOMは2023年10月、キャラバンの期間限定特別仕様車として初登場し、好評だったことから2024年8月下旬にはカタログモデルとしての販売が始まった。NV200バネットへの展開もキャラバンの人気を受けてのことだ。



キャラバンと比べると、NV200バネットはボディサイズがひとまわり小柄だ。キャラバンは全長4,695mm、全幅1,695mm、全高1,975mmと3方向とも5ナンバー枠ほぼ一杯であるのに対し、NV200バネットは4,400mm×1,695mm×1,860/1,870mmととりわけ短さが目立つ。


ワンボックスのキャラバンに比べると、ミニバンスタイルのNV200バネットは短いながらもノーズがあり、運転席もそれほど高くない。SUVやミニバンから乗り換えても、さほど違和感なく運転できるはずだ。



MYROOMの仕立てはキャラバンと同じ。「自分のお気に入りの部屋ごと自然の中に持ち込んでリラックスできる、 新たな車中泊のカタチ」を提案したというのが日産の説明だ。



今回は「NV200バネット MYROOM」とベース車両「NV200バネット」、「キャラバン MYROOM」を実車で比べる機会を得た。


メーカー自製ならではのクオリティ



エクステリアでまず目立つのは、キャラバンで人気を得たことから引き続いて採用されたサンドベージュ/ホワイトの2トーンカラーだ。他にブラック、ホワイト、メタリックグレーの単色も用意されるが、アウトドアらしさを重視するならこれ一択だろう。


バンパーやホイールをブラックアウトしていることも特徴だ。このあたりもキャラバンと同じ仕立てとなっている。ちなみに、日産とアライアンスを組むルノーの「カングー」では、ブラックバンパー仕様が「ツールっぽい」見た目ということで人気を博している。

外部電源入力システムも装備しているがキャラバンとは位置が違う。キャラバンは右スライドドア前に、NV200バネットは左リアコンビランプ下に付いている。



インテリアは木目調パネルとヘリンボーン柄のファブリックを使った上質な仕立てだ。メーカー製だけあって、シックなカラーコーディネートを含めたクオリティの高さが印象的だった。


後席の「2 in 1 シート」はMYROOMモデルのトピックのひとつと言える。左右2分割のシートは、フルフラットにすると背もたれだけでなく座面の傾きもない完全水平になる。さらに座面を引き起こし、背もたれを座面の位置に倒すことで対座モードにもなる。


ポイントは、前向きの移動モードと駐車中に使う対座モードで、座面と背もたれのクッションが裏返しになるところ。これにより、移動時にはほどよい硬さで乗り心地を追求し、駐車時には柔らかなソファーのような座り心地が得られる。走っているときと止まっているときで、乗る人の望みの座り心地は異なる。これを身に染みて理解している自動車メーカーならではの発想だ。この仕組み、MYROOMモデルのために新たに開発したもので、自動車業界初となる構造を持つことから特許も申請中だという。


ポータブル電源はEVのバッテリーを活用



シートの後方にある平置きベッドは「2 in 1シート」とつなげることで、長さ1,840mm、幅1,200mmのベッドが作り出せる。ひとりならゆったり、2人でもくつろげる広さだ。オプションのカーテンを取り付ければプライバシーも保てる。



一方、シートを対面モードにしたときは、平置きベッドとの間にスライドテーブルを置くことで、4〜5人が向かい合って食事などをする空間を作り出せる。逆にリアゲートを開ければ、後ろ向きで景色を楽しみながらくつろぐこともできる。



ちなみに、平置きベッド下には258mmの高さを持つ空間がある。ここには日産の電気自動車「リーフ」のリユースバッテリーを活用した「ポータブルバッテリー from LEAF」のほか、買い物かごなどを収めることが可能だ。


NV200バネットのMYROOMはキャラバンと比べると長さ方向が短くなるものの、平均的な大人が2人寝ることができるスペースを確保しているのだから車中泊仕様車としては合格と言える。多用途に使える空間の実現に「2 in 1シート」の果たす役割は大きいと感じた。



エンジンは他のNV200バネットと同じ1.6リッター自然吸気ガソリンを搭載。駆動方式は前輪駆動(2WD)のほか4WDも選べる。トランスミッションは2WDがCVT、4WDが4速ATだ。さらに2WDにはコンフォートサスペンションを採用しており、より快適な乗り心地が得られるという。価格は2WDが464.31万円、4WDが496.76万円。



なお、NV200バネットは2024年7月にマイナーチェンジを受けており、インテリジェントDA(ふらつき警報)や踏み間違い衝突防止アシストなどの運転支援技術を全車標準装備し、全車サポカーSワイド対象となった。



さらにメーターには、多彩な車両情報を表示する7インチのアドバンスドドライブアシストディスプレイを採用してもいる。



このあたりの内容を含めて、これから車中泊を体験してみようと考えるユーザーにとっては安心感と信頼感が心強いと感じた。メーカー自身が手がけたキャンピングカーは、やはりレベルが違うと思った。



森口将之 1962年東京都出身。早稲田大学教育学部を卒業後、出版社編集部を経て、1993年にフリーランス・ジャーナリストとして独立。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員を務める。著書に『これから始まる自動運転 社会はどうなる!?』『MaaS入門 まちづくりのためのスマートモビリティ戦略』など。 この著者の記事一覧はこちら(森口将之)

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