花王、高価格シャンプー市場のシェア奪取へ 次なる一手のヒントは「完全栄養食」

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2024年10月03日 18:01  ITmedia ビジネスオンライン

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THE ANSWER(発表会で編集部撮影)

 花王は10月3日、シャンプー・トリートメントの新ブランド「THE ANSWER(ジアンサー)」を発表した。市販シャンプー市場では現在、販売価格が1400円以上の高価格帯商品が人気を集めている。2015年頃から新興企業が手掛ける「BOTANIST」「アンドハニー」「エイトザタラソ」といったブランドが台頭し、市場を拡大してきた。


【画像】花王の新しい高価格シャンプー(全3枚)


 こうした中、花王は4月に同社初となる高価格シャンプー「melt(メルト)」を発売。新興企業に後れをとる同市場で立て続けに新ブランド投入し、追い上げを図る。


 THE ANSWERには、花王が定める美しい髪に欠かせない5つの成分を配合。中でもラノリン脂肪酸とセラミドαを約12倍(同社品比)配合しつつ、泡立ちのよさやすすぎ時のなめらかさといった、シャンプーの基本性能を両立した。開発担当の野原聡氏(同社ヘルス&ビューティーケア事業部門 ヘアケア第1事業部 ブランドマネジャー)は「完全栄養食のようなシャンプー」と説明する。


 シャンプーは、肌に塗る美容液のようなテクスチャー(質感)が特徴だ。従来のように泡立ててから使うのではなく、髪全体に塗り広げてから泡立てる「塗り洗い」という使い方を推奨している。トリートメントは髪のダメージ原因に合わせて3タイプを用意した。


 想定価格はシャンプー、トリートメントともに1760円。10月上旬から順次、ロフトとハンズ、@cosme shopping(EC)にて先行販売し、11月からウエルシアグループと同社の公式オンラインショップでも展開予定だ。


●高価格シャンプー開発のために変えたこと


 シャンプーやトリートメントなどインバスヘアケア市場において、同社のシェアは右肩下がりとなっていた。低迷するヘアケア事業を成長させるため、2月から変革に着手。変革の1つが高価格シャンプー市場への参入だった。


 先行する新興企業に追い付くべく、同社は4月にメルトを発売。発売から約1カ月の出荷本数が計画比の9倍という大ヒットを記録した。これまではマツキヨココカラのみで販売していたが、10月からツルハドラッグも追加し、配荷店舗を倍以上に拡大する。


 高価格シャンプーの開発において、同社は部門ごとのリレー形式ではなく、マーケティング、研究などの各担当者がチームとなって開発する体制を採用している。この体制にすることで商品開発にかかる時間を大幅に短縮でき、短期間での新ブランド立ち上げが可能になったという。


 また、ブランド設計の方法も変更した。「これまで弊社が展開してきたシャンプーは機能性やスペックでブランドをポジショニングしてきた。しかし、高価格シャンプーでは『かわいい』『いい香り』といった感情的な要素が重要であり、それに合わせたブランド設計を採用している」(野原氏)。ヘアケアブランドのフォーメーションを人の感情に基づいて再編し、それぞれの感情にあった商品展開を進めている。


 同社は高価格シャンプーを含めたインバスヘアケア商品の売上伸長率を、2027年までに143%(対2023年比)にすることを目指している。2025年には高価格シャンプー市場に第3弾の商品を投入する予定である他、既存ブランドのリニューアルも進めている。野原氏は「インバスヘアケア市場で頭一つ抜けたい」と意気込んだ。



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