語学スクール市場、コロナ禍以降伸び悩み 日本人留学生の減少が影響か

0

2024年10月04日 05:21  ITmedia ビジネスオンライン

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ITmedia ビジネスオンライン

語学スクール業界の調査結果出所:写真AC)

 子どもの習いごとや海外留学に向けたスキルアップ目的などで利用する「語学スクール」が、伸び悩んでいる。帝国データバンクの調査によると、2023年度の語学スクール市場は1797億円で、ピークとなる2019年度の約9割にとどまっていることが分かった。


【画像】語学スクールの市場規模や、各社の取り組み


 2019年度の2031億円をピークに、コロナ禍で対面での教室開講が厳しくなったことや渡航の制限に伴い、需要が減少。一方で語学スクールを手がける企業は多く、講師の質・数の確保が困難であることから、参入障壁が高く、社数も頭打ちになっている。


 2023年度の損益が判明した約70社のうち「黒字」は58.2%だった。「赤字」が34.3%、「収支一杯」が7.5%で続いた。黒字企業では高スキル人材の定着による顧客増加や、オンライン授業への移行に伴う運営コストの軽減が目立った。一方、赤字企業は人件費や運営コストの高騰、同業者との競合激化による講師や顧客の確保ハードルの高まりといった状況に直面しているようだ。


 市場が伸び悩む背景には、円安や物価高による日本人留学生の減少もありそうだ。海外留学協議会によると、2023年の日本人留学生数は6万4421人で、2019年の83%にとどまっている。昨今は安価な学習アプリや無料で閲覧できるSNSが充実しており、利用者の減少に拍車をかけているようだ。


 一方で好材料もある。10月から、雇用保険による教育訓練給付金の給付率が、受講費用の最大70%から80%に引き上げとなった。またアフターコロナでは、リスキリング需要に備えた法人向けコースの開設やオンライン授業への移行など、従来の「習いごと」ではない多様なスタイルも生まれた。公的支援の手厚さと新たな付加価値によって、市場規模は2019年度並みに回復していく可能性があると帝国データバンクは分析している。



    ニュース設定