サッカー日本代表のチャンピオンズリーグ出場選手をチェック チームに不可欠だった守田英正、南野拓実

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2024年10月04日 11:40  webスポルティーバ

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 チャンピオンズリーグ(CL)リーグフェーズ第2節。日本人では以下の7人がその舞台に立った。

 南野拓実(モナコ)、守田英正(スポルティング)、前田大然、古橋亨梧、旗手怜央(セルティック)、上田綺世(フェイエノールト)、チェイス・アンリ(シュトゥットガルト)。先発しフルタイム出場したのは南野、守田、前田。先発途中交代が古橋、上田。交代出場が旗手とチェイス・アンリとなる。

 最も活躍した選手をひとり挙げるならば守田だろう。

 PSVとのアウェー戦に、守田はいつものように3−4−3のセンターハーフ的な守備的MFとして臨んだ。ヨーロッパリーグを含め、これまで守田が戦ってきた欧州カップ戦のなかで、この日の出来は一番だったかもしれない。

 身体がよく動き、キレていた。視野も広く確保されていた。ゲームメーカー然とした創造性に富むパスを3本決め、そのうちの1本は決定的なラストパスとなった。パスを受けたエドゥアルド・クアレスマ(U−21ポルトガル代表)がGKと1対1になりながら、こともあろうに転倒。守田はアシストを逃したが、90分を通して、マン・オブ・ザ・マッチに選びたくなるほど貢献度の高いプレーでアウェーでの引き分け(1−1)に貢献した。

 南野拓実が臨んだ一戦もアウェー戦。相手は、第1節のバイエルン戦でCL初出場にして初ゴールを決めた荻原拓也のいるディナモ・ザグレブだ。残念ながら出番が回ってこなかった荻原とは対照的に、南野は最後までピッチに立ち、終盤、際どいヘディングシュートも放っている。相手にゴールライン上でクリアされ、得点をマークすることはできなかったが、モナコというチームのなかに、南野がきれいに収まっていることをあらためて証明する一戦となった(結果は2−2)。

 先発は1トップ下だが、戦術的交代を経てセンターハーフに回る――という使われ方からも、欠かせない選手であることがうかがえる。特段、目を引くプレーを見せているわけではない。むしろ地味なくらいだが、馴染んでいる。監督や周囲との相性のよさを思わずにはいられない。

【遠藤が置かれている状況は?】

 南野の前所属チームはリバプールだ。モナコにやってきたのは2シーズン前。リバプールでまったく出番がなくなっていたわけではない。置かれている状況は、現在の遠藤航のほうが悪い。

 今季のプレミア全6試合で、遠藤が出場した試合はブレントフォード戦1試合。それも後半のアディショナルタイムに投入された、事実上、時間稼ぎ交代である。CLでも同様で、リーグフェーズ第1節のミラン戦で出場したのは、後半のアディショナルタイムだった。

 CL第2節ボローニャ戦は出番なし。アルネ・スロット新監督との相性の悪さはより顕在化している。その就任を機に、リバプールは4−3−3から4−2−3−1へと布陣が変わり、結果、遠藤が得意にするアンカーというポジションは消滅した。4−2−3−1の「2」には、遠藤よりライアン・フラーフェンベルフ(オランダ代表)のほうが適任との考え方が、チーム内に常識としてすっかり浸透している。

 森保一日本代表監督は、この件について楽観的だ。昨日の日本代表メンバー発表会見の席上で「(遠藤は)世界選抜のような選手たちと毎日、練習でしのぎを削っているのだから......」と述べている。だが、この状況が長引けば、そうは言っていられなくなる。

 なにより遠藤本人が辛くなるだろう。出場が叶いそうな試合が国内のカップ戦程度という現状に堪えられなくなるはずだ。31歳という年齢もある。のんびりしている時間はない。代表のキャプテンでもある。モナコに居場所を見つけた南野を見ていると、遠藤も1日も早く水が合う場所へ行くべきだと願いたくなる。

 ドルトムント戦に臨んだセルティックの前田は、前半9分に同点弾を頭で決めるなど、ある時までいい意味で彼らしさを全開にプレーした。圧倒的な速さで相手とボールを追いかけ、マイボールに転じても深々とした技巧的な切り返しから縦突破を敢行。成長の跡をうかがわせた。

 ところが、1−2とされたあとの前半29分だった。ドルトムントFWカリム・アデイェミ(ドイツ代表)とのボールの競り合いにあっさり敗れ、追加点を許す原因を作る。

 それ以上に目を覆いたくなったのは前半42分、同じくアデイェミに4点目のゴールを奪われたシーンだ。自陣のペナルティエリア付近でドリブルをアデイェミに再びかっさわられ、そのまま左足のゴールを許している。

 軽率、淡泊、注意力不足。前田の残念な失策で、セルティックは点差を広げられ、終わってみれば1−7という大敗を喫した。野球的に言うならば、1本塁打を放ちながら、ふたつ大失策をやらかした格好だ。スピードを売りにするサッカー選手にありがちな課題が、前田のプレーには凝縮されていた。

【代表に選ばれてしかるべきチェイス・アンリ】

 古橋は1−7というスコアの前に沈黙。そもそもボールが来なかった。後半の頭から出場した旗手も、大敗のなかに埋没した。

 ジローナ戦に臨んだフェイエノールトの上田は、不動のセンターフォワード、サンティアゴ・ヒメネス(メキシコ代表)が故障のため、スタメンのお鉢が回ってきた。だが後半31分、交代でベンチに退くまでの76分間に、前線でボールに触れた回数は10回に届かなかった。相手ゴール前でプレーしたのは2度。1度目はシュートを打たずに折り返し、2度目はゴールをキチンとコントロールしていれば、シュートに持ち込めたはずのチャンスボールを、マーカーに引っかけられ奪われてしまった。

 前半36分には、CL初ゴールを決めるチャンスが巡ってきた。PKキッカーを任されたのだ。だが、ジローナのGKパウロ・ガッサニーガにセーブされる。蹴ったコースが甘すぎた。

 日本代表でもそうであるように、上田はボールに触れる機会が少ない。よく言えば「待ちのストライカー」だ。周囲と能動的に関わるのが得意ではないことは、鹿島時代アントラーズ時代から感じられたが、それでは周囲との間で相乗効果が生まれない。もう少しチームの先頭に立つ姿勢を見せないと、ヒメネスのケガが回復すれば、ベンチ要員に戻るだろう。

 スパルタ・プラハとのアウェー戦に臨んだシュツットガルトのチェイス・アンリは、後半17分から右のサイドバックとして出場した。得点のチャンスが到来したのはその3分後。ショートコーナからゴール前でシュートチャンスを迎えた。右足で放ったキックは相手にブロックされ、ゴールをわずかに外れたが、188センチというスケールの大きさを感じさせるシーンだった。

 そのほかの動きも前節のレアル・マドリード戦同様に上々で、日本代表に選ばれてしかるべき選手だという思いを強く抱かせた。

 CLに出場してそれなりに活躍した選手は、できるだけ早く代表チームに呼んでみる。CLのステイタスが飛躍的に上昇したいま、それは慣例化されるべきではないか。第2節を終えたリーグフェーズを見て、筆者はあらためてそう考える。

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