(左から)紅林徹也さん、笹川友里
紅林さんは1985年に日立製作所に入社。公共分野のSE・情報事業の企画に携わり、その後グループ会社の役員を歴任。2015年には日立製作所より内閣府に出向し、Society 5.0の策定に従事。2023年に大林組に入社し、常務執行役員 DX本部長に就任しました。
◆建設技術のレベルが高い日本の“課題点”とは?
建設業界におけるDXがどんどん進んでいくなか、日本屈指の総合建設会社(スーパーゼネコン)である大林組でDX本部長を務める紅林さんに、笹川が「今後の建設業のあり方や求められることの“変化”については、どのように考えていますか?」と質問すると、「なかなか難しいテーマですが、少なくとも国内の建設業におけるデマンド(需要)って安定的ではあるけれども、大きく伸びていくとは正直思いにくいです」と紅林さん。
その理由として、過去の公共工事で建設した橋や高速道路、建築物などは、経年によって修理や修繕が必要になったり、劣化の度合いによっては建て替えなければならないケースもあるため、「建設のニーズはこれからもずっとあるので、デマンドとして保証されてはいるんです。しかし、今後さらに大きくなるかというと、大きくはならないんですね。“成長”という言葉には、どうしても量的な拡大がついて回る側面があるので、今後の建設業の成長を考えると、おそらくグローバル化、海外事業に取り組んでいくことは避けて通れないだろうと予想しています」と語ります。
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◆大林組が目指すDXの理想像とは?
続いて、大林組が目指す“DXの理想像”について伺うと、「それが一番難しい問題で、なおかつ私が希求しなければいけない問題」としつつ、ポイントとして“時間軸を正しく見積もること”を挙げます。
「世の中でよく言われているDXのイメージは、どちらかというと『ビジネスライフサイクルが短くて、ものすごくスピードが速いビジネス領域』の話なんです。一方で、建設業は(建設業法があるため)規制業種でビジネスライフサイクルは長く、デマンドもある程度保証されている。焦る必要はありません。このスピード感を理解して進めないと、無駄な投資が増えてしまうと思います」と推測。
さらに、「(建設業界における)“教科書的なDX”のなかには、実は着手できていない部分もあるので、足元からしっかり対策、対応を固める必要がありますが、それらは事業それぞれのビジネスモデルやビジネススタイルの変化に合わせて“どれぐらいのスピード感で実行すればいいのか”“デジタル活用という視点の前に業務そのものの適切な見直しを行う”といったように対応方法を見極めることも必要です」と言及します。
◆デジタル化が進むと私たちの生活はどう変化する?
最後に、笹川が「デジタル化が進むと、私たちの生活や働き方にどんな変化があると思いますか?」と問うと、紅林さんは2つのポイントを挙げます。
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そして、2つ目のポイントとして“感性”を挙げ、今の時代は「モノが飽和してきている。モノからコトへと変わり、人がコトを楽しむようになっているじゃないですか。その変化はやっぱり大きいと思います。例えば、スマートシティ(ICT 等の新技術や官民各種のデータの有効活用した各種分野のマネジメントを通じて、人々により良いサービスや生活の質を提供する都市または地域)とか、いろいろな新しいデザインにチャレンジするのは、どちらかというと、そっちに近いですよね」と話していました。
次回10月5日(土)の放送は、東京ガス株式会社 常務執行役員・CDOの菅沢伸浩(すげさわ・のぶひろ)さんをゲストに迎えてお届けします。東京ガスのDXについてなど、貴重な話が聴けるかも!?
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9月28日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年10月6日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00〜20:30
パーソナリティ:笹川友里
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