Q. 「インフルエンザ脳症が心配です。ウイルスが脳に入るのを防ぐ方法は?」【小児科医が回答】

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2024年10月10日 20:51  All About

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【小児科医が解説】インフルエンザの合併症として心配されることの多い「インフルエンザ脳症」。致死率も後遺症が残るリスクも高い深刻な合併症ですが、ウイルスが脳に入って起こるわけではありません。わかりやすく解説します。

Q. インフルエンザ脳症は、ウイルスが脳に入って起こるのでしょうか?

Q. 「インフルエンザシーズンで、子どもの場合はインフルエンザ脳症などの合併症が怖いと聞きました。脳症は、ウイルスが脳に入ってしまうことで起こるのでしょうか? ウイルスが体のどこに行くかは『運』のような気がしてしまうのですが、もしウイルスが脳に回りにくくなる方法があれば、知りたいです」

A. ウイルスが脳に入るわけではありません。脳症は「免疫異常」によって起こります

まだ誤解されている方も少なくないようなのですが、「インフルエンザ脳症」は、インフルエンザウイルスそのものが脳に入り込んで起こるのではありません。インフルエンザによって「免疫異常」が引き起こされて起こります。

簡単に言うと、体内に侵入してきたウイルスに対抗しようとした免疫が「オーバーワーク」を起こし、自分自身の脳組織まで破壊してしまって起こるのが「脳症」です。

インフルエンザ脳症は主に5歳以下で発症しますが、5〜9歳の発症が多く報告された年もありますので、小学生以上でも油断はできません。

さまざまなタイプがありますが、いずれも急速に進行するのが特徴で、致死率は無治療の場合は約30%にも及びます。適切な治療を受けた際の致死率は10%以下です。どちらにしても、一度脳症を起こすと、15%程度にてんかんや発達障害などの後遺症が残ると報告されています。

ワクチンや感染対策でインフルエンザ自体を予防することが第一。そして、万一、脳症になってしまった場合は、初期の段階で適切な治療を開始することが非常に大切です。
インフルエンザ脳症になると、高熱や咳・鼻水・筋肉痛などのインフルエンザの症状に加え、脳の障害によるさまざまな症状が起こります。

・痙攣
・意識がなくなる意識障害
・おびえ、恐怖、幻覚、幻視、突然大声を出したり、うわごとを言ったり突然怒り出したりする異常行動

初期の異常言動や行動を見逃さないようにし、適切に医療につなげることが大切です。

インフルエンザのワクチンは、子どもの場合は発症予防効果は低いと言われていますが、肺炎や脳症などの合併症を防ぐ意味では効果があると報告されています。

清益 功浩プロフィール

小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院にて小児科診療に従事。論文発表・学会報告多数。診察室に留まらず多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。
(文:清益 功浩(医師))

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