大流行 マイコプラズマ肺炎、東京の患者数 高水準で推移 “検査キット不足”も懸念、風邪と診断のケースも…【Nスタ解説】

0

2024年10月10日 22:27  TBS NEWS DIG

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

TBS NEWS DIG

TBS NEWS DIG

子どもに多くみられ、咳が長引く「マイコプラズマ肺炎」。患者数が、東京都で過去最多を更新した先週と同じ水準で推移しています。

【グラフでみる】マイコプラズマ肺炎の報告数

大流行 マイコプラズマ肺炎 “検査キット不足”も懸念

井上貴博キャスター:
マイコプラズマ肺炎は全体で見ると軽症者が多いですが、一部重症化するリスクがあり、風邪と見分けがつかないので厄介とも言われています。

東京でのマイコプラズマ肺炎の報告数ですが、9月30日〜10月6日で2.88人と過去最多を更新した先週と同じ水準で推移しています。4年に一度流行が来るので、「オリンピック・パラリンピックの年に流行る」とも言われています。

また、今回はコロナ禍を経て免疫が下がっているからこれだけ増えたという意見もあります。

いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長は、「検査キット不足で、入荷を待っている状態。このまま感染が拡大すると、底をつくのは時間の問題」と話しています。

検査キットがなくなった場合は▼症状で診断するか、▼レントゲンで判断するということです。

SNSでは…

「マイコプラズマなどの感染症らしいけど、検査キットが品切れで確定は出来ず」
「息子がマイコプラズマ肺炎の疑いに。みなし陽性でお薬もらいました」
「検査キット切れてたため、レントゲンで見てもらうと肺が白かった」

ホラン千秋キャスター:
新型コロナウイルスのときもそうでしたが、風邪に似ていたり軽症だったりすると、なかなか見分けがつかなかったり、検査キットが足りなくなってくるのではないかなどの問題もあります。呼吸器系の感染症は、風邪と見分けることが非常に難しいのでしょうか。

東京歯科大学 市川総合病院 呼吸器内科部長 寺嶋毅さん:
新型コロナウイルスもインフルエンザもそうですが、軽い症状の人もいます。そういった人は喉が痛い、鼻水、軽い咳という症状だけのため、特に初期の頃は鑑別が難しいです。それぞれに検査キットを用いることで我々は助かりますが、検査キットを使えないと適切な治療をうまく届けられないということにも繋がります。

ホランキャスター:
みなし陽性のような形で薬を渡していくことが効果的なのでしょうか。ただ、続けていくと今度は薬が足りなくなってしまうこともあるかもしれません。どういうことがここから予想されるのでしょうか。

寺嶋毅さん:
流行状況や周囲の状況で、“この感染症だろう”と推測できることがあります。マイコプラズマの場合はマクロライド系という抗菌薬を使うことが多いのですが、感染していない人に出すと、腸内細菌のバランスが崩れたり副作用が起きる場合があります。必要な患者に薬を処方しようと思ったときに在庫がない場合もあるため、きちんと診断ができて届けるべき人に届けることが理想的かと思います。

ホランキャスター:
コロナウイルスのときに聞いた医療機関の状況で言うと、今後ますます増えていってしまった場合、現場もマイコプラズマ肺炎の患者も、感染疑いの方々も大変ですね。

スポーツ心理学者(博士)田中ウルヴェ京さん:
届けるべき人に届けることが大きなポイントです。私たちは、パニックにならない・しっかり様子を見る・症状が軽い方は家で休むことが大切です。高齢者や子どもなどに届ける薬が不足することなく、あることが大事です。

井上キャスター:
新型コロナウイルスでリスクが高い人は明確に子どもや高齢者だとわかっていますが、マイコプラズマ肺炎における重症化リスクが高い方はどのように受け止めるべきですか。

寺嶋毅さん:
未就学児や小中学生が多く感染しますが、重症化する人は高齢者の方が多いです。

井上キャスター:
子どもから一気に広がっていくという事例があり、学級閉鎖なども起きています。岡山市立富山中学校では新型コロナウイルス感染症とみられる症状が40人に見られ、10月8日〜10日まで学級閉鎖となりました。

また、季節性インフルエンザでも学級閉鎖が起きています。

▼神奈川・相模原市 「内郷小学校」
10月8日〜11日 学級閉鎖

▼三重・四日市市 「四郷小学校」
10月1日〜2日 学級閉鎖

▼広島市 「広島桜が丘高等学校」
10月1日〜4日 学級閉鎖

インフルエンザと同時感染も

井上キャスター:
マイコプラズマ肺炎と同時感染した場合はどうなるのでしょうか。寺嶋さんによると「マイコプラズマ肺炎の症状に他の感染症の症状が追加されることが多い」とのことです。マイコプラズマ肺炎の主な症状として、38℃以上の発熱や乾いた咳があげられます。これにインフルエンザの症状(39℃以上の発熱・喉の痛み・鼻水・関節痛)がプラスされるという感覚です。

ホランキャスター:
咳が長引くということですが、症状が出て体調を崩し、最終的に治るまでどれほどの期間がかかりうるものですか。

寺嶋毅さん:
熱は数日でおさまることが多いですが、咳は頑固で1か月、あるいはそれ以上ということもあります。

ホランキャスター:
症状としては治っているものの、咳が長引いてしまうとマスクをしなければいけません。近くで咳をしていると“嫌だな”と思う方もいらっしゃるので、申し訳ない思いを持ちながら生活しないといけない患者も大変だと思います。

田中ウルヴェ京さん:
乾いた咳が長引くと、仕事場で迷惑がかかってしまい申し訳ない気持ちになります。薬で抑える以外の方法はあるのでしょうか。

寺嶋毅さん:
抗菌薬で治療する時期もあります。夜に咳き込んでしまい眠れない、一旦咳込むとなかなか止まらないといった症状があり、体力も消耗します。せき止めも漢方の種類や、効き目の強さも様々なので、症状に応じて対処すると良いと思います。

ホランキャスター:
誰かにうつしてしまう可能性がある期間は何日ぐらいなのでしょうか。

寺嶋毅さん:
症状が出始める1週間ぐらい前から、咳が続いている4週間ぐらいまでです。

==========
<プロフィール>
寺嶋 毅さん
東京歯科大学 市川総合病院 呼吸器内科部長
日本感染症学会専門医

田中ウルヴェ 京さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト 慶應義塾大学特任准教授
こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰

    ランキングライフスタイル

    前日のランキングへ

    ニュース設定