「ジャパンモビリティーショー2024」(JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024)が開幕した。日産自動車は「モビリティの未来が、今ここに。」をテーマに、子供の車内置き去り防止機能を追加した子守り支援ロボット「INTELLIGENT PUPPET イルヨ」、企業・自治体向けのエネルギーマネジメントサービス「ニッサンエナジーシェア」、日産の車両データを活用してビジネスの効率化を行う法人向けサービス「Nissan Biz Connect API」を紹介してスタートアップ企業との共創を図るとともに、最新の電気自動車(BEV)「アリア B9 e-4ORCE」を展示している。
○イルヨってどんなロボット?
「イルヨ」は日産が赤ちゃん本舗と共同開発した子守り支援ロボット。先ごろ、子供の車内置き去り防止機能「マダイルヨ」が追加となった。
「イルヨ」はチャイルドシートの横に置く「イルヨ」と運転席横のドリンクホルダーに設置する「ベビーイルヨ」を1セットで使用する。パパやママが1人で、チャイルドシートに子供を座らせて走る(1歳半までは後ろ向きが義務)いわゆる“ワンオペドライブ”の状態のとき、ベビーイルヨに「ここにいるよ」とか「いないいないバァ」と話しかけると、イルヨが手を振ったり、いないいないバァの動きをしたりして子供をあやしてくれる仕組みだ。子供が寝るとベビーイルヨも目を閉じるので、運転席にいながら子供の状態を知ることができる。
2024年9月に発表となったのがイルヨの追加機能「マダイルヨ」だ。
同機能は、後部座席のチャイルドシートに設置した「イルヨ」と保護者のスマートフォンを無線で接続し、その電波の強弱から距離を推定して、保護者が(子供を乗せたままの)クルマから離れていないかを検知するという仕組み。「イルヨ」の表情認識カメラで車内に子供が残されているかどうかを認識し、子供を残して保護者がある一定の距離以上クルマから離れた場合には、スマートフォンにアラートを出し続ける。
ブースで話を聞いた日産 日本マーケティング本部 ブランド&メディア戦略部の水野里映氏によると、例えば保育園へのお迎えの際、急に会社からトラブルの電話がかかってくるなどして慌ててしまい、意図しない子供の置き去りをしそうになったことがある人の割合は5人に1人にのぼるという調査データがあるとのこと。マダイルヨのようなシステムが必要とされる理由だ。
イルヨは高さ30cmほどで重さはだいたい1kg以内、ベビーイルヨは高さ15cmほどでカップホルダーに収まるサイズ。設置に関しては、ドライバーの目線がベビーイルヨに向きすぎないようにしたり、ルームミラーに映らないような位置にイルヨを置いたりする必要があって、意外に制約が多いのだとか。ユーザーに「いくらだったら買いますか」とアンケートを取ると、「1万円〜3万円だったら考えてもいい」という声が多かったという。
イルヨは現時点で商品化されていない。今回のモビリティショーでは「制作してくれるオモチャ会社などを見つけたい」(日産自らが作るとかなり高額になってしまうらしい)とのことだった。このところ、悲惨な子供の置き去り事故が何度もニュースになっているので、ぜひ製品化してほしいところだ。
原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)