声優有志の会「NOMORE無断生成AI」の公式X(旧Twitter)とYouTube、TikTokアカウントが2024年10月15日に始動した。「私たちがやった覚えのない朗読や歌、そして声そのものが、ネット上に公開され、時に販売されています」という意思が、公開された動画を通じて発信されている。動画には声優・中尾隆聖や山寺宏一、梶裕貴、浪川大輔、福山潤らの姿が確認できる。
「NOMORE無断生成AI」公式SNSアカウントに投稿された動画「NOMORE無断生成AI【第0弾】」では、『ドラゴンボール』フリーザ役や『それいけ!アンパンマン』ばいきんまん役などで知られる声優・中尾隆聖が登場。本動画では「私たち声優の気持ちを聞いてください」というメッセージで締めくくられた。
YouTubeの動画概要欄には、「私たちがやった覚えのない朗読や歌、そして声そのものが、ネット上に公開され、時に販売されています」から始まる意思が綴られている。続けて「私たちの声は商売道具であり、人生そのものであり、共に成長してきた大切な自分自身の一部」と記し、生成AIについて「みんなで技術の使い方を考えていきたい」と呼びかけている。
動画の最後では、山寺宏一、梶裕貴、浪川大輔、福山潤、中田譲治、朴璐美など、総勢25名の声優が映し出された。本動画には中尾隆聖を含む、計26名の声優が出演していることになる。
なお今回投稿された動画は「第0弾」というタイトルになっており、本編は近日公開予定とのことだ。
声優とAIの関係といえば、最近では声優事務所青二プロダクション(青二プロ)がAI音声プラットフォームを手掛けるCoeFontと、パートナーシップを締結。AI音声技術を活用したグローバル戦略を展開すると発表している。
野沢雅子や銀河万丈ら、青二プロ所属声優の音声データから多言語化したAI音声を作成し、海外における音声アシスタントなどのプラットフォーム向けに提供していく。
本件では声優たちの魅力的な音声データを用い、CoeFontのAI音声技術で英語や中国語をはじめとした多言語化への対応が行われる。この多言語化対応がなされた高品質なAI音声を、主に音声アシスタント(例:Amazon Alexa、Google アシスタント)、ロボット・音声ナビゲーション搭載製品(例:Pepper、医療機器)などへの提供・提案を進めていく。
なお、両社の協業によるAI音声は、アニメーション、外国語映画の吹き替えなど「演技」の領域に関わるものには提供されない。あくまで、「演技」領域を除いた多言語化したAI音声を作成し、AI音声技術と声優の活動領域の棲み分けを適切に行うとしている。
また『進撃の巨人』エレン・イェーガー役などで知られる梶裕貴は、声優活動20周年を記念する音声AIプロジェクト「そよぎフラクタル」を始動。梶の声で自由に喋らせることができる、音声合成ソフト「CeVIO AI 梵そよぎ トークボイス」が開発されている。
自身のトークボイスの販売にあたり、梶はAIとの向き合い方について「AIという技術自体に善悪はない。あくまで、それを使用する人間側のモラルにかかっている」としたうえで、「だからこそ、あえて私の声を持つ『梵そよぎ』を解禁することで、"正しい音声AIの在り方"を証明できるのではないかと考えたのです。今回の決断が、あらゆるクリエイティビティの幅を広げ、新しいエンターテインメントの開拓に繋がることを祈っています」などのコメントを寄せていた。
このたび始動した声優有志の会「NOMORE無断生成AI」について、詳細は公式X(旧Twitter)とYouTubeチャンネル、TikTokアカウントを確認してほしい。