イトーヨーカ堂の供給網は全国に1万社超、相次ぐ店舗閉鎖による影響は

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2024年10月17日 17:31  ITmedia ビジネスオンライン

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イトーヨーカ堂の供給網は全国に1万社超、相次ぐ店舗閉鎖による影響は

 帝国データバンク(東京都港区)は、総合スーパー「イトーヨーカ堂」を頂点とするサプライチェーン(供給網)について、保有する商流圏データをもとに調査・分析を行った。


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 イトーヨーカ堂向けに生鮮品を供給する企業やテナント出店などで取引があるサプライチェーン企業の総数は、7月時点で国内に1万485社もあることが判明し、派生する売上高(取引高)は1兆7706億円と、同社の年間売上高である8149億円(2024年2月期)の約2.2倍の規模に上った。


 一方で、5年前の2019年(取引社数1万559社、取引高1兆9333億円)と比較すると、取引社数は0.7%(74社)の減少であったものの、取引高は8.4%(1627億円)も減少。地方を中心にイトーヨーカ堂店舗の閉鎖が続くなかで供給網は維持されたものの、売り上げ規模は大きく縮小した。


●業種別にみると?


 供給網を構成する企業を業種別にみると、最多は配送業務などを担う「一般貨物自動車運送」(872社)だった。店舗間配送のほか、イトーヨーカ堂向けに物品を供給する企業間輸送などの業務が多いことが要因で、2位だった「他の食料・飲料卸(バター、水産練り製品など)」(377社)と比較し2倍以上の差があった。


 イトーヨーカ堂と直接取引を行う企業(Tier1)をみると、「野菜卸」(65社)が最も多く、次いで「他の食料・飲料卸」(64社)、「生鮮魚介卸」(48社)と、生鮮食品を中心とした商社が多かった。また同社の特徴として祖業の衣料品に強みがあったことから、「婦人・子供服卸」(54社)などのアパレル産業も上位に入った。


●都道府県別にみると?


 都道府県別では、取引社数で最多だったのは「東京都」で2526社、取引高は1兆1314億円にのぼった。「埼玉県」(670社、557億円)、「神奈川県」(520社、491億円)、「千葉県」(406社、276億円)を合わせた首都圏エリアで見ると、取引社数ベースで約4割、取引高では約7割を占め、イトーヨーカ堂の供給網は首都圏に本社を置く企業を中心に構成されていた。


 5年前(2019年)と比べると、取引社数で「減少」した都道府県が28、「増加」した都道府県が16だった。取引社数の減少が最も大きかったのは「北海道」で、583社と10.3%(67社)減少した。北海道では札幌都市圏を含めた全店舗の閉鎖が決定していて、閉鎖対象の店舗へ商品配送を行っていた企業の供給網で、影響が及ぶ可能性がうかがえる。店舗網が東日本に比べて少ない近畿以西では、取引企業数が100社未満のエリアが多く、5年前に比べて減少となった県が多かった。


 イトーヨーカ堂を展開するセブン&アイ・ホールディングスは、カナダのアリマンタシォン・クシュタール社(Alimentation Couche-Tard)から買収提案を受けたことを受け、企業価値向上策としてイトーヨーカ堂を含めた食品スーパーや外食、専門店事業など、主力となるコンビニエンスストア以外の非中核事業を整理する方針を明らかにした。既に、運営するGMS(総合スーパー)型店舗は首都圏を中心に集約し、2026年までに国内33店舗を閉鎖する構造改革を進めている。


 帝国データバンクは「同社の事業再編が、ヨーカ堂向けに生鮮魚介や青果の供給を担う中小企業に広く影響を及ぼす可能性があり、動向に注視が必要となる」とコメントしている。



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