カフェや美容室にも「小さな書店」 トーハンが開業支援サービス開始、「無書店自治体」の解決目指す

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2024年10月18日 13:31  ITmedia ビジネスオンライン

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トーハン、小規模書店向けサービス「HONYAL」開始(出所:ニュースリリース)

 出版取次大手のトーハンは10月17日、書籍の取引を少額から行えるようにすることで小型書店の開業をサポートするサービス「HONYAL」(ホンヤル)を開始すると発表した。書籍販売への新規参入を促し、全国的な書店の減少といった課題の解決を目指すとしている。


【画像】お店の一角に本棚を設置して開業可能に?「小さな書店」のイメージはこちらから(計3枚)


●流通の簡略化で実現


 HONYALでは雑誌の取り扱いは行わず、配送頻度は原則週1回とする。また、書籍の返品は15%までの受け入れとする。書籍の流通フローを簡略化することで、従来は口座開設に至らなかった少額の取引に対応できるようにした。従来と同様、国内出版社3000社以上からの商品調達を取り次ぐ。


 契約先との月商は30万〜100万円を想定する。小型書店の開業のほか、カフェなどの飲食店やヘアサロンといった他業種の店舗や、公共施設・一般企業との連携も視野に入れる。


●「やりたい人」のニーズはあるが……


 出版文化産業振興財団(JPIC)の調査によると、2024年8月末日の時点で全国の自治体の27.9%(482自治体)は書店が1店舗もない「無書店」状態に。ゼロまたは1店だけの自治体を含めると47.7%に上り、経済産業省も書店減少対策に乗り出している。


 一方でトーハンは、近年「独立系」と称される比較的小規模な書店が、SNSやメディアを通して存在感を増していることに着目。同社の調査によれば、2024年10月現在、全国で341店舗が営業中とみられている。


 こうした独立系書店は店主の個性や選書のセンスが魅力とされているものの、取次との取引がない(あるいは取引開始に至らなかった)ケースも多いと考えられる。トーハンは「本屋をやりたい人」が潜在的には多くいると考え、少額でも取引の継続が可能なビジネスモデルづくりに着手した。


●連帯保証人など不要に


 HONYALでは新規参入のハードルを下げるため、開業時の連帯保証人や取引保証金は原則不要とする。また、一般的な書店では開業時に一括払いとなる初期在庫費用についても、分割払いの相談を受け付けるという。


 トーハンは10月17日からWebサイトを通じてサービスの概要を公開。開業の相談を随時受け付けるとしている。



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