札幌山の手が初出場初優勝で都大路切符 強豪バスケ部員が助っ人で区間3位の活躍/全道高校駅伝

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2024年10月20日 20:34  日刊スポーツ

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女子で初出場初優勝した札幌山の手のアンカー渡辺は左手を挙げて笑顔でゴール(撮影・中島洋尚)

<全道高校駅伝>◇20日◇滝川西高校前スタート・ゴール特設コース(男子7区間42・195キロ、女子5区間21・095キロ)



女子の札幌山の手(宇都宮桃奈、石川蘭、ニヴァ・チェプテンゲニー、山下瑠花、渡辺栞弓)が、大会史上初の初出場初優勝(第1回をのぞく)を達成した。2区の石川と3区のケニア人留学生チェプテンゲニーが区間賞、バスケットボール部の4区・山下も区間3位の激走。1時間11分23秒のタイムで、2位旭川龍谷の9連覇を阻止した。男子も札幌山の手が2時間5分14秒で優勝。2002年(平14)の室蘭大谷(現北海道大谷室蘭)以来のアベック優勝となった。男女とも2位まで2校が、12月22日の全国大会(京都)に出場する。


   ◇   ◇   ◇


最後は差を詰められていたが、足音は聞こえなかった。レース前の梶山一樹監督(53)の「かわいらしい顔でゴールしろよ」というアドバイス通り、めいいっぱい笑顔を弾けさせ、1年生の渡辺がゴールテープを切った。「みんなの思いをつないだタスキを、1位で持ってこれたことがうれしかった」と晴れやかな表情で言った。


今年3月までの2年間は、3年生の石川が唯一の女子部員だった。全国中学800メートル優勝を引っ提げ、「男子と一緒に練習して強くなりたい」と入学したが、今季も含めて3年連続で春先に故障。調子の上がる駅伝シーズンは一緒に出場するチームメートがいなかった。「思うように結果も出せなくて、かなりつらかった」と涙をこぼした。


中学時代の石川に憧れ、札幌山の手を選んだ宇都宮と渡辺、ケニアからの留学生チェプテンゲニーが今春入学。女子駅伝部が発足し、出場可能な5人まで残り1人に迫った。今大会1カ月前、梶山監督が全国制覇の経験もある強豪バスケットボール部に「選手を貸してほしい」声をかけると2つ返事で「OK」。山下やU−17日本代表の高橋優希(2年)らが週1度練習に参加し、この日を迎えた。


1区宇都宮が18秒差の2位で2区につなぐと、石川は1キロ過ぎで前を走る札幌創成を逆転。チェプテンゲニーが後続をさらに引き離し、助っ人山下が区間3位の走りで渡辺にタスキを預けた。山下は「(バスケットボール部の)上島コーチに『区間賞を取って来い』って言われていたので、怒られそう」と苦笑いした。


12月の全国にも4人+バスケットボール部で臨む。22日が都大路で23日がウインター杯開幕だけに厳しい日程になる可能性もあるが、山下は「両方とも出ます」。石川主将は「このメンバーで全国3位入賞」と目を輝かせた。【中島洋尚】

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