二酸化炭素濃度などを手軽に可視化! Apple HomeKitにも対応した空気品質チェッカーを試す

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2024年10月22日 15:11  ITmedia PC USER

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「Qingping Air Monitor Lite」。Amazonでの実売価格は6990円だ

 「Qingping Air Monitor Lite」は、CO2に加え、温度/湿度/PM2.5/PM10などを測定して表示してくれる空気品質チェッカーだ。AppleのHomeKitに対応しており、測定データをiPhoneから参照したり、それらをトリガーに別の家電製品の運転も行えたりする。実機を購入したのでレビューをお届けする。


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●多機能な空気品質チェッカー


 本製品は光学式のCO2チェッカーだ。多くのCO2チェッカーは、CO2の他に、温度や湿度を測定できるのが一般的だが、本製品はさらにPM2.5やPM10の測定にも対応するなど多機能なことが売りとなる。


 ボディーは小さな箱状で、正面のディスプレイに各測定値が表示される。天面には表示項目を切り替えるためのタッチ式のスライドバーがある。背面には電源ボタンがあることを除けば、極めてシンプルな外観だ。


 電源はUSB Type-Cで、背面にポートが用意されている。ケーブルは本体側がUSB Type-C、電源側がUSB Standard-Aで、汎用(はんよう)品を用いているため、長さが足りなければ自前のケーブルに交換することもできる。


●バッテリーを内蔵しているので利用場所の変更も楽に行える


 HomeKitと連携させずに本製品を単体で使う場合は、セットアップの作業は不要で、電源を入れればすぐに使えるようになる。測定値は1つの項目につき1画面ずつ表示され、本体の上部にあるバーをスワイプすることでPM2.5→PM10→CO2→温度→湿度と切り替わる仕組みだ。これらの項目の切り替えは手動で、自動的に切り替えることはできない。


 筆者のようにCO2の測定をメインに使っている場合は、画面を固定しておけるので好都合なのだが、1つの画面に1つの項目しか表示されず、スワイプしなくては切り替わってくれないというのは、不便に感じる人もいるかもしれない。一定時間ごとに項目が切り替わる機能や、複数項目をまとめて一画面に表示できるモードも欲しいところだ。


 これらの中でも参照頻度が高いであろうCO2は、1000ppm以下が緑色、2000ppmまでは黄色、それを超えると赤といった、一般的な色表示のルールに準拠する形で、画面上のバーの色が切り替わる。画面がまぶしすぎることもなく、また遠くからの視認性も十分だ。なおPM2.5やPM10などの他の項目についても、同様にステータスが色で表示される。


 実際に使ってみて「おやっ?」と思ったのは、ケーブルを抜いても数時間は駆動することだ。多くのCO2チェッカーはバッテリーを内蔵していないために、ケーブルを抜いた段階で過去のデータが消えてしまい、次にケーブルをつないだ時に改めて測定し直しになるが、本製品はそうではない。仕様を見る限り、容量2000mAhのバッテリーを内蔵しているとのことだ。


 そのため、いったん設置した場所から別の場所へと移動させたり、あるいは配線をやり直したりするのも容易だ。また測定は5秒ごとに行われるので、30秒や1分単位でしか値が更新されない他社製品と比べて、常に最新の値が表示されるのは利点に挙げられる。


●HomeKitと連携させればiPhoneなどでも利用可能に


 さて本製品はHomeKitとの連携により、iPhoneのホームアプリ上で測定値を表示できる。ホームアプリで「アクセサリの追加」を実行すると本製品が検出されるので、それを選択し、本体底面に貼られている8桁のコードを入力すればよい。検出がうまくいかなければ、本製品の上部のボタンを8秒間押してリセットをかけることで、再検出が行える。


 セットアップが完了すると、iPhoneのホームアプリで、本製品によって測定した値が表示されるようになる。表示されるのは、温度/湿度/二酸化炭素/空気質で、PM2.5およびPM10は、両者がまとまって空気質という1つの項目で表示される。


 それぞれの値を元に、アクションを設定することもできる。例えば二酸化炭素回りであれば、スマートプラグと連携させておいた換気扇を二酸化炭素濃度が上がればオンにする、といったことができる。もっとも実際に使ってみた限りでは、二酸化炭素濃度が上がった時にスマホに飛んでくる通知の方が、機能的にありがたいと感じた。


 なお試した限りでは、これらの値をダッシュボード的に表示することはできないようだ。ダッシュボード的に一覧で表示したいのであれば、HomeKitではなく、本製品の専用アプリをインストールした方がよい。


 こちらであれば各測定値を一覧表示できるのに加え、履歴についても取得可能だ。さらにCO2測定のキャリブレーションも行える。ただしアプリは日本語化されておらず、英語もしくは中国語での表示になるので、ハードルは若干高い。


●他にない製品だがスコアの信頼性はいまひとつ?


 以上のように、5種類の空気品質を手軽に測定でき、かつHomeKitとの連携にも対応した製品なのだが、やや気になるのが、各測定値があまり正確ではないと感じられることだ。


 例えばCO2濃度の場合、市販のNDIR方式の製品と比べると、おおよそ50〜120ppmほど低い値が表示される。2つの製品を同じ環境でキャリブレーションした上で再度テストを行ってみたが、特にこの傾向は変わらなかった。


 これらは本来の値よりも低く表示されるというだけで、荒唐無稽な値を表示しているというわけではないので、一定のバッファーを見積もっておけば普通に使えるのだが、メーカー間/製品間のズレで片付けるにはやや差が大きく、信頼性という点ではいまひとつだ。


 温度湿度についても、CO2濃度ほどではないものの、多少のズレはあるように感じられる。そこを許容できるかどうかが、1つのポイントになるだろう。


 筆者の場合、セットアップにあたって目立ったトラブルは見られず、その後もスムーズに使えているが、Amazonのレビューを見ると、セットアップの過程でうまくいかずギブアップしている人は少なからず見受けられる。現行のファームウェアでは問題点の多くは解消されているようだが、そもそもHomeKit自体が決して分かりやすいとはいえず、それに加えて本製品自体かなりの癖があるのが原因のようだ。


 それゆえ万人に勧められる製品とは言えないのだが、とはいえ他にない製品ということで、うまくいった時の恩恵は大きい。発売直後は1万円台後半だった価格も半額近くにまで下がっているので、ダメモトくらいのつもりでチャレンジしてみるというのが、本製品との正しい向き合い方と言ってよいかもしれない。



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