【ドラフト2024】山本昌が上位候補の左腕7人を徹底解説 将来の侍ジャパンのエース候補の逸材も

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2024年10月23日 10:01  webスポルティーバ

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山本昌スカウティングレポート2024ドラフト直前〜左投手編

 ドラフト会議を直前に控え、アマチュア野球にも興味津々の山本昌(元中日)が"レジェンド解説"を敢行。前回分析した「夏の甲子園を沸かせた好投手」に続き、今回は「ドラフト上位候補」の好投手を徹底アナライズ。レジェンドのお眼鏡にかなう逸材はいたのか? まずは左投手編の7人からお届けしよう。

金丸夢斗(関西大/177cm・77kg/左投左打)

誰もが絶賛するドラフトの目玉ですが、私も今年のナンバーワン左腕だと感じます。とくにすばらしいのは、腕の振り。3月に侍ジャパントップチームに招集された時は、凄まじいキレのストレートを投げていました。あのボールをプロでもキープできれば、すぐに10勝できるはずです。変化球でも変わらず腕が振れているし、ラインをしっかり出せているのでコントロールもいい。プロの狭いストライクゾーンでも、すぐに順応しそうです。上背はさほどありませんが、それも気にならないくらいの実力です。ここ数年のなかでも突出した投手なので、プロで即戦力になるでしょう。心配なのは故障だけ。今春は腰を痛めたと聞きましたが、プロで長いシーズンを戦える体をつくりあげてほしいですね。将来的には侍ジャパンのエースクラスになれる逸材です。

佐藤柳之介(富士大/179cm・86kg/左投左打)

縦に大きく変化するカーブが特徴的で、プロでも先発として長いイニングを投げられそうな投手ですね。体重移動時に右肩が先に上がって、コンパクトなテイクバックから体を縦に使う投球フォーム。球速は常時140キロ台前半でも、カーブなど変化球とのコンビネーションで勝負できそうです。将来的には東克樹くん(DeNA)のような投手になれたら、理想的ですね。気になるのは体重移動の距離が短く、上下動が激しいところ。体のブレが起きやすいため、コントロールの乱れにつながる恐れがあります。コントロールをさらに磨くためにも、ブレを軽減させたいところです。

徳山一翔(環太平洋大/177cm・87kg/左投左打)

軸足一本で立つ姿がきれいで、バランスのとれたフォームだと感じます。投球練習時よりも実際に打者が打席に立ったほうが力感が出て、ボールの勢いがありました。高校時代は控えだったそうですし、大学生とはいえまだ大きな伸びしろを感じます。ストレートにしても変化球にしても、キレ・精度を高める余地は残っています。技術的に気になるのは、トップで肩甲骨が開ききる前に投げているように見えるところ。トップに入る寸前に一瞬、間(ま)をつくれるようになると、腕の振りがさらによくなりそうです。

吉鶴翔瑛(法政大/175cm・79kg/左投左打)

彼のお父さん(吉鶴憲治/前ソフトバンク三軍バッテリーコーチ)とは、現役時代に何度もバッテリーを組ませてもらいました。そんな縁もあるので、ぜひ頑張ってもらいたいですね。技術的にはいかにも投手らしい体型と、ストレートの球威が目を惹きました。ストレートは腕の振りが鋭いだけでなく、角度もついている点が長所です。さすがは木更津総合高、法政大と名門でもまれてきただけのことはあります。プロでも十分に通用するストレートでしょう。あとはプロの強打者から空振りを奪える球種をマスターできるか。ツーシームなど小さく動く球種は十分にあるので、変化量の大きな決め球を習得したいところです。

宮原駿介(東海大静岡キャンパス/175cm・82kg/左投左打)

地方大学でも力のある投手がいるのだなと実感します。どっしりとした下半身で、打者に対して胸をなかなか見せずにしっかりとラインをつくって投げられる。とくに左打者は球の出どころが見づらく、脅威に感じるはずです。プロではリリーフでいい味を出しそうなムードがあり、森浦大輔くん(広島)のような成功イメージが湧いてきます。今後は左打者から空振りを奪えるだけの変化球の質を求めていきたいところ。たとえばスライダーをバットにかすらせないほどの精度に高められれば、プロの首脳陣も起用しやすくなるはずです。

吉田聖弥(西濃運輸/176cm・77kg/左投左打)

社会人の投手ですが高卒4年目と若く、まだ成長の余地を残している好素材です。軸足でしっかりと立てるフォームで、ブレーキの効いたチェンジアップを投げられるのが印象的です。テイクバックからリリースまでの振り幅が大きく、縦の幅をうまく使えています。ストレートの走りも悪くないのですが、トップに入る直前にひと間(ま)つくれるようになると、もっとボールが走るようになるはずです。一連の動作のなかで、一瞬そうした時間をつくれるかがカギになるでしょう。

伊原陵人(NTT西日本/170cm・75kg/左投左打)

この投手はプロでも即戦力として期待できそうです。体は小さくても馬力があって、腕の振りの強さが目を惹きます。これだけ腕が振れると、スライダーやツーシームの変化量が小さくても効果的に使えるはず。たとえちょっとの変化や球速差であっても、打者の錯覚を誘えるからです。体に力があり、バランスもよく、器用さもある。これだけ実戦的な能力があれば、ショートイニングならプロでもっとも早く結果を残せるかもしれません。それくらいの実力者です。

右投手編>>山本昌が上位候補の右投手6人を最終チェック


山本昌(やまもと・まさ)/1965年8月11日、神奈川県生まれ。84年に日大藤沢高からドラフト5位で中日に入団。5年目のアメリカ留学を機に才能が開花。シーズン途中に帰国するとすぐに一軍に定着し無傷の5連勝でリーグ優勝に貢献。その後はチームのエースに成長し、3度の最多勝に輝く。94年に投手最高の栄誉である沢村賞を受賞。2006年、史上最年長41歳でのノーヒットノーランも達成し、以降も数々の歴代最年長記録を樹立。08年 通算200勝を歴代最年長の42歳で達成。 15年に史上初の50歳での登板を最後に惜しまれつつも現役を引退。引退後は、野球解説者・スポーツコメンテーターとして活動する傍ら、自らの経験を基に講演会の講師としても活躍中。また、現役時代からの趣味であるラジコンなど、さまざまな特技と持ち前の明るいキャラクターを生かし活躍中。2022年野球殿堂入りを達成

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