【ドラフト2024】巨人は常勝を目指すなら「ポスト菅野智之」よりもアマ球界ナンバーワン遊撃手だ!

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2024年10月23日 18:02  webスポルティーバ

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チーム事情から見るドラフト戦略2024〜巨人編

 プロ野球の一大イベント、ドラフト会議が10月24日に開催される。各球団すでに指名選手をリストアップし、最終段階に入っていると思うが、チームの現状と将来を鑑み、今回のドラフトで本当に獲得すべき選手は誰なのか? 阿部慎之助新監督のもと、4年ぶりにセ・リーグを制した巨人。次なる目標である日本一に向け、巨人が獲得すべき選手とは?

【1位はアマ球界ナンバーワン遊撃手⁉︎】

 クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでDeNAに敗れ、日本シリーズ進出を逃した巨人だが、阿部慎之助新監督のもと4年ぶりにペナントレースを制した戦いは見事だった。

 シーズン序盤から阪神、広島らと首位争いを繰り広げ、最後の最後で抜け出せたのは、12球団ナンバーワンのチーム防御率2.49を叩き出した投手陣の奮闘があったからだろう。

 プロ12年目、35歳にして再覚醒を遂げた菅野智之が15勝3敗、防御率1.67と絶対的エースの働きでチームの精神的支柱となり、勝ち星は昨年と同じでも防御率1.95と安定感を増した戸郷翔征、そして2年連続2ケタ勝利を挙げた山?伊織。そこに5年目の快速左腕・井上温大が8勝5敗、防御率2.76と台頭し、先発陣の層は厚みを増した。

 またカイル・ケラー、アルベルト・バルドナード、高梨雄平、船迫大雅の中継ぎ陣も、試合の流れを変えずに終盤につなぎ、守護神・大勢が右足の故障を克服して29セーブ、防御率0.88という圧巻の成績を挙げた。"盤石"という言葉が、大袈裟ではないほどの充実ぶりである。

 と、そんな時「菅野智之、メジャー挑戦!」のニュースに驚いた。ならば、今年のドラフトは"即戦力投手"なのか......。

 4、5球団の競合が予想される金丸夢斗(神港橘→関西大/投手/177センチ・77キロ/左投左打)に、将来のエースを期待するのなら、基礎体力を鍛える時間が1年ほしいが、投手の一番手であることに変わりはない。

 ただ現状を見渡せば、昨年のドラフト組の台頭に期待するほうが現実的ではないか。1位の西舘勇陽が1年目の今季、中継ぎでキャリアを積んで先発転向へのステップづくりを済ませ、5位の又木鉄平はファームの先発で安定した投球を繰り返し、2位の左腕・森田駿哉も故障から復帰する予定だ。

 かつての常勝・巨人らしく、2連覇、3連覇を目指すのならば、補強ポイントはほかにある。

 その筆頭として宗山塁(広陵→明治大/遊撃手/175センチ・80キロ/右投左打)を挙げたら、「えっ??」と驚く人もいるだろう。

 今季、巨人のショートは2年目の門脇誠がほぼフル出場の頑張りを見せた。129試合に出場して打率.243ながら、出塁率は3割をクリア。心身の負担が大きなポジションで、2年目にしてこの成績はほんとに頭が下がるが、守備力にやや安定性を欠いた(14失策、守備率.969)。

 スーパープレーはなくても、打ちとった打球はすべてアウトにしてくれるショート。プロの投手たちが一様に求める"遊撃手の理想像"。近いのは、宗山のほうか。

 門脇のアクションスピードと鉄砲肩はプロでも一級品だ。外野で広いエリアを駆け回る仕事のほうに適性を感じる。個人的には、「1番・センター」でさらに活躍できる選手と見ている。

【伸びしろ満載の未完の大器たち】

 昨年の支配下ドラフトで、1位の西舘以外は4人全員、社会人から即戦力狙いで指名。チーム構成上、今年は20歳前後の選手を獲りたい。ファームに3、4年後に戦力になり得る将来性豊かな投手が少なく、今回のドラフトでしっかり補強しておきたい。

 今季8勝を挙げて大躍進した井上温大の高校の後輩にあたる清水大暉(前橋商/投手/193センチ・92キロ/右投右打)は、スケールの大きい本格派右腕だ。長身から投げ下ろす145キロ前後のストレートもすばらしいが、縦のスライダー、鋭く落ちるフォークも兼備して、外れ1位もある大器だ。

 大学生なら、まだまだ伸びしろ満載の岡本駿(徳島・城南→甲南大/投手/185センチ・82キロ/右投左打)に期待してみるもの手だ。高校時代は大型遊撃手、キャッチボールでの"生きた球質"を見込まれて、大学から投手に転向。しなやかな腕の振りから、140キロ後半の速球は強烈だ。スライダー、フォークとの緩急も身につけるなど、投球センスのよさも光る。

 また、大学4年になってメキメキ頭角を現してきた山城航太郎(福岡大大濠→法政大/投手/183センチ・84キロ/右投右打)も、未知の魅力いっぱいの本格派右腕だ。4年前、福岡に山下舜平大(現・オリックス)の全力投球を受けに行った日、同じグラウンドで懸命に練習していたのが山城だった。

「法政に行って、ピッチャーになって、舜平大みたいに速球で勝負できるピッチャーになるんで! アイツには負けますが......」

 そう笑顔で話してくれた山城。

 法政大ではリリーフを務めて、150キロを超すストレートにスライダー、フォークと縦の変化で三振を奪いにくる。高校時代は強打の野手として力を発揮していただけに、投手としての"肩"は若い。スタミナもあり、ゆくゆくは先発の可能性も秘める。

 山城と同じ東京六大学リーグにはもうひとり、将来の大器が潜む。

 浅利太門(興国→明治大/投手/186センチ・89キロ/右投右打)は、しなやかで豪快な腕の振りが魅力。すでに150キロ前後の球速帯を持ち、低めに決まる速球は学生では手が出ない。あとは変化球のコントロール。実戦力を身につけたい。そのためにはあと1、2年、時間をかけたい。それだけ価値のある逸材だ。

【将来に向けて高校生内野手を育成】

 過去4年間のドラフトで、支配下指名した高校生内野手は中山礼都(2000年ドラフト3位)のみ。2022年の育成ドラフトで指名された強肩の中田歩夢と、強打の相澤白虎がファームで頭角を現わしつつあるが、常勝を掲げるにはそれだけでは心もとない。

 宇野真仁朗(早稲田実業/遊撃手/178センチ・81キロ/右投右打)は、締め切りの10日前になって、ようやくプロ志望届を提出した。早稲田大進学とプロ野球......迷いに迷った末の決断だったのだろう。

 高校通算64本塁打のうち3分の1ほどを木製バットで放ち、大一番での勝負強さ、レフト前ヒットで深めに守っていた外野手を見て二塁打にしてしまう快足と状況判断。場合によっては上位指名もあるかもしれない。

 もし宇野が獲れなければ、石見颯真(愛工大名電/遊撃手/176センチ・76キロ/右投左打)、田中陽翔(健大高崎/遊撃手/181センチ・82キロ/右投左打)と、打てて守れる遊撃手がいる。

 昨年、石見はライトで超軽快な守備を見せていたが、今年は遊撃手として力を発揮。動きのスピードに加え、柔らかなグラブさばき、握り替えの正確さ、スローイングの感覚......プロでショートを守れる技量を持っている。

 一方の田中は、この夏の甲子園でのプレーを見て「野球がうまくなったなぁ」と驚いた選手だ。とくにフィールディングに余裕が出て、ショートというポジションを支配している感じが漂っている。打つほうでも、変化球でタイミングを崩されても咄嗟のバットコントロールでヒットにしてしまうなど、急成長中の選手である。

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