2024年「毎日ファッション大賞」の表彰式開催 大賞は三原康裕

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2024年10月23日 19:41  Fashionsnap.com

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左から:三宅正彦、三原康裕、村田晴信

Image by: FASHIONSNAP
 2024年度「第42回毎日ファッション大賞」の表彰式が10月23日の今日、大手町三井ホールで開催された。大賞は「メゾン ミハラヤスヒロ(Maison MIHARA YASUHIRO)」を手掛ける三原康裕、新⼈賞・資生堂奨励賞は「ハルノブムラタ(HARUNOBUMURATA)」の村田晴信、鯨岡阿美子賞は、日本ファッション・ウィーク推進機構(以下、JFWO)前理事長の三宅正彦が受賞。受賞者たちには賞状のほかに、吉岡徳仁作のトロフィーが贈られた。

 大賞を受賞した三原は、1972年長崎県生まれ。多摩美術大学芸術学部デザイン学科テキスタイル専攻在学中に独学で靴作りを始め、1996年に自身のレーベル「ミハラヤスヒロ(MIHARA YASUHIRO)」を立ち上げた。2005年にミラノファッションウィークに初参加。2016年秋冬シーズンからは「ミハラヤスヒロ」を継承しつつ、メインラインとして「メゾン ミハラヤスヒロ」をスタートし、2020年春夏からウェアのコレクションラインを「メゾン ミハラヤスヒロ」に統一して展開している。
 今回の選考では、長年幅広いクリエイションを継続し、グローバルに支持を得ていること、ファッションにとどまらない文化活動にも力を入れ、後進の育成にも奮励する姿勢が多くのデザイナーの目標となっていることを受けて大賞に選ばれた。これまでも度々受賞の打診を受けながらも固辞してきたという三原だったが、まもなくブランドが30周年を迎えるに伴い、周囲の関係者や友人、家族に感謝を伝える機会になるだろうと考え賞を受けたという。
 三原は「素晴らしい賞を頂き嬉しく思います。30年もブランドをやっていると色々なことがあるもので、今ではヨーロッパでショーを発表できています。正直、僕は当たり前のことをやってきただけで、大それたことはしていません。受賞に至った“実績”はうちのスタッフやいつも支えてくださっている方々のおかげであって、僕の功績ではないと思っています。今日は、そういった皆さんに感謝の気持ちを伝えたい一心で来ました。僕はただファッションが好きで、その前にアートが好き。それだけでここまでやってきました。あっという間の30年間でしたが、これからもよろしくお願いします」とコメント。「最後に、若い頃は格好をつけて『新人賞なんていらないよ』といった態度をとってきたので、嫌われているんだろうなと思っていましたが、そうでもなかったのかもしれないなと今日表彰式に来て思うことができました。色々な意味で感謝の気持ちでいっぱいです」と茶目っ気たっぷりにコメントを締めくくった。

 新人賞・資生堂奨励賞を贈られた村田は、エスモード東京校を卒業し、PR会社に務めた後にイタリアのマランゴーニ学院に入学。イタリアファッション協会Camera Nazionale della moda italianaが主催するコンペティション「Next Generation」にアジア人として初めて選出され、同協会の後援のもと、2012年秋冬シーズンにハルノブムラタの前身となるコレクションをミラノファッションウィークで発表した。「ジョン リッチモンド(John Richmond)」でデザインを手掛けた後、2015年春夏シーズンから2018年春夏シーズンまで「ジル・サンダー(JIL SANDER)」のデザインチームに所属し、ルーシー&ルーク・メイヤー夫妻のチームにも参加した経験を持つ。
 現在では様々なセレクトショップでも高い人気を誇り、業界内外に多くのファンを持つハルノブムラタ。日本発の「ラグジュアリーエレガンス」をけん引していく存在として、今後さらに活躍の場を広げていくことが期待されているデザイナーとして受賞に至った。同賞が「どうしても取りたい賞だった」という村田は、「このような素晴らしい賞をいただけたことに感動しています。ハルノブムラタというブランドを立ち上げてから約5年が経ちましたが、今その形がひとつ実を結んだと感じています。ハルノブムラタは、“ジャパニーズラグジュアリーの確立”を目的として、些細な動きに宿る日本人の美意識を捉えることを目指しています。でも、同時にとてもパーソナルなブランドでもあるんです。私の祖母がとてもおしゃれな方だったんですが、そうした祖母の本当の美しい姿、おしゃれな姿、美意識を取り入れたいと思いブランドを立ち上げました。一方、私自身がデザイナーとしてのキャリアをスタートしたイタリアでは、職人に対する技術への敬意や素材に対する愛情、装うことに対する愛といったものを理念として学びました。ハルノブムラタでは、日本の美意識とイタリアで学んできた理念をミックスして新しい形のラグジュアリーブランドとして発信していきたいと考えています。この賞をきっかけに、グローバルへもっと拡大していきたい。ブランドを支えてくれる多くのサプライヤー、工場、チーム、友人たちとともに、日本を代表するラグジュアリーブランドを目指していきます」と意気込みを語った。

 村田は授賞式後に行われたプレゼンテーションで、これまでに発表したショーの“ベスト版”とも位置付けるランウェイショーを披露。「ブランドを運営していく上で最も大きな原動力になっているのは、子どもの頃に見た憧れです」と村田。ファーストルックには20歳の頃に制作した、現在のクリエイションの礎とも言える1着をセレクトし、音楽は学生時代に見たクラシカルなファッションショーの楽曲をイメージして表現したという。

 鯨岡阿美子賞を受賞した三宅は、1935年大阪府出身。関西学院大卒。サンエー・インターナショナル社長やTSIのホールディングス会長を歴任し、2011年にJFWOの理事長に就任した。2024年に退任し、現在は名誉顧問を務める。ファッションウィーク東京の実施に長年にわたって尽力したこと、デザイナーのクリエイションを理解し、多くのデザイナーを世界に輩出してきた功績が評価された。三宅は「素晴らしい賞を頂きまして、心から御礼申し上げます。東京のファッションウィークはおかげさまで順調にデザイナーたちを応援できております。今年の6月に私は理事長を退任いたしました。しかし、これからもJFWOを応援していきたい、新しいことをやっていきたいと考えております」とコメントした。

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