エディオンがZ世代向けに“ビジュ”(見た目のかわいさ、デザイン性)にこだわった家電に力を入れている。今夏にはオーブントースターやミキサーなど調理家電3商品を発売し、売れ行きはまずまずのようだ。同社がZ世代向けの家電に注力する背景には、家電量販店業界が直面する課題があった。
同社の池田幸弘氏(商品開発部 部長)によると、家電量販店業界において若年層の顧客比率が低いことが課題になっているという。特に、エディオンで調理家電を購入した人を年代別に見ると、約半数を50〜70代が占める結果に。20代は7.9%、30代も8.6%にとどまっている。
家電量販店に代わり、若年層の家電購入先として台頭しているのが、無印良品やフランフランといった生活雑貨店だ。特に若い女性層をターゲットに、生活雑貨店がデザイン性の高いオリジナル家電を販売し、顧客を奪っている。
こうした現状は販売実績からも分かる。エディオングループにおけるホットプレート販売実績(1〜9月)を見ると、大手家電メーカーに比べて、インテリア雑貨メーカーは20代の構成比が高い。「将来のメイン購入者層になるZ世代を取り込むため、当社のPB『イーアングル』からZ世代向けの家電ブランドであるカラーデザインシリーズを立ち上げました」(池田氏)
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カラーデザインシリーズを立ち上げるに当たり、木村健吾氏(商品開発部 アシスタントマネージャー)はZ世代の消費行動を分析。機能や性能以上に、誰かに“共有したくなる”カラーバリエーションやデザインが購入のきっかけになることが分かった。さらに、こうして選ばれた商品は購入後の満足度が高いという。
「『映え』などに代わりZ世代がよく使う言葉に『ビジュ』というものがあります。これはvisual(ビジュアル)の略称で見た目を意味します」(木村氏)。ビジュという言葉をきっかけに、製品単体の見た目に加え、置くだけで部屋のインテリアをオシャレにするような家電=ビジュ家電を展開すれば、生活雑貨店に流れるZ世代を取り込めると考えた。
●くすみカラーを採用、シンプルな機能で展開
カラーデザインシリーズの第1弾として今夏に発売したのが、調理家電だ。オーブントースター(標準価格5480円)、グリル鍋(同5480円)、ミキサー(同4680円)の3商品を用意した。若年層に人気のくすみカラーであるモカホワイト、ティール、ピンクベージュの3色展開で、ポイントとしてゴールドを配色している。デザインも丸みがあり、かわいらしい印象に仕上げた。
機能は、日々の調理に十分対応するだけのシンプルなものに絞り込んだ。調理メニューの選択や電源のオンオフなど、直感的に使えるようにしている。
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発売後、売れ行きは好調に推移。購入者層を年代別に見ると、調理家電全体では20代が6.3%だったのに対し、カラーデザインシリーズは20代が13.1%となり、想定ターゲットのZ世代を取り込めていることが分かる。
10月下旬からは、暖房器具のカーボンヒーター(同6980円)とセラミックヒーター(同7980円)を投入する。季節商品ということもあるが、もともと暖房器具はモノクロが多いため、そこにカラーデザインシリーズが入り込む余地があると判断したという。
カラーデザインシリーズは今後も商品拡充を予定しており、新商品も開発中だという。現在はエディオングループのみでの展開だが、他の小売店などへの販路も模索中だ。ビジュがいいエディオンの家電は、Z世代のニーズを獲得できるか。
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