激増する進化型“オレオレ詐欺”のまさかの手口「宮崎県警から電話が」

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2024年10月25日 11:01  web女性自身

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いわゆる“オレオレ詐欺”に代表される特殊詐欺。その被害は年々増加。警視庁によると、令和6年8月現在の特殊詐欺の認知件数は、約1万2300件、被害額は約350億円(前年同比+28.9%)にのぼっている。被害は、東京・大阪など大都市圏に集中している。



10月初旬、都内在住の本誌記者の携帯にも、こんな電話が入った。



「警視庁ですが、○○さんですか? 先日、“特殊詐欺”の犯人グループが宮崎県で逮捕されました。そのアジトから、あなた名義のキャッシュカードが見つかりました」



平日の午前8時過ぎ。発信は、+80から始まる海外(台湾)からだ。いかにも怪しい。



警視庁を名乗る相手は、「○○銀行の口座をお持ちですね。○○支店で、口座番号の下4桁は○○○○ですか?」と尋ねてきた。



たしかに記者は、該当の銀行に口座を持っている。しかし、支店名も口座番号もちがう。それを先方に伝えると、こうたたみかけてきた。



「やはりそうですか。犯人のアジトから偽造キャッシュカードが100枚以上見つかっていて、特殊詐欺の振込先に指定されていたんです。被害者から○○さん宛てに被害届が出ているので、電話での調査にご協力くださいますか?」



つまり、記者が犯人でないことは理解しているものの、被害届が出ている以上、調査しなければならないということ。



とっさに、「えん罪に巻き込まれるのでは」という不安がよぎった。



「やはり、警察に説明しておく必要がある」と思い、不覚にも「(電話聴取に協力しても)いいですよ」と返答してしまったのだ。



すると犯人は、改めて「私は警視庁刑事部組織犯罪捜査2課の○○です」と名前を名乗り、「このまま宮崎県警に電話をつなぐので、一人になれる場所に移動してください」と指示してきた。



なぜ、一人になれる場所でないといけないのか。



ここで、「怪しい」と、ハッとわれに返った記者は、「いまから仕事なので」と告げて電話を切り、すぐ公開されている警視庁の電話番号にかけて、事の顛末を説明した。



すると、「それは詐欺です。10月に入り、同様の詐欺電話が多発しています。そのままやりとりを続けていると、『示談金を支払ってください』と言われ、振り込みを指示されます」と警告を受けたのだ。



危うく騙されるところだった。



同じ時期、本誌編集部の別のスタッフにも、「宮崎県警」を騙る不審な電話がかかっていた。



また、18日にも静岡県沼津市に住む女性が警視庁捜査2課を名乗のる電話があり、35万円をだまし取られたという報道があった。



被害にあったのは30代女性で、「特殊詐欺グループの犯人を逮捕したら、あなた名義のキャッシュカードを持っていた。



「あなたの口座に6000万円が入っていた。犯人はあなたを仲間だと言ってる。あなたの口座に入っている1万円札を確認したい」



などと言われ、女性はコンビニエンスストアのATMなどから、指定された口座に現金35万円を振り込んだという。



「警察を名乗る詐欺被害のご相談は、ここ数カ月で増えています。被害金額は、ひとりあたり数十万円から数百万円。多い場合は1千万円を超えることもあります」



そう明かすのは、詐欺の手口に詳しい弁護士の今井健仁さん。



こうした特殊詐欺の手口は多様で、年々進化しているという。



「いわゆる親族を装って、お金を騙し取る“オレオレ詐欺”は、かなり減っています。



『まさか騙すことはないだろう』と誰もが信じてしまう、警察や弁護士などを名乗る“新手のオレオレ詐欺”が増えているんです」



最近、急増している「サポート詐欺」にも要注意だ。俳優の要潤(43)も今年9月、サポート詐欺にあったとXで告白して話題になった。



「パソコンでネット検索していると、突然、警告音とともに〈ウイルスに感染しました。サポートセンターに連絡してください〉などというニセ画面が表示されます。



マイクロソフトなど有名企業の名が表示されることもあり、つい信じて電話をしてしまうのです」(今井さん、以下同)



電話をかけたら最後。



「このままではウイルスに侵されて個人情報を盗まれる、パソコンのデータが消去されてしまう、などと危機感を煽られ、犯人の言うままにパソコンを遠隔操作できるソフトをダウンロードさせられたり、口座情報などを入力させられたりして、いつの間にかお金が引き落とされています」



一度、騙されるとカモにされ、徹底的に騙し取られることも。



「ニセの保険会社から、『サイバー保険に入ったほうがいい』と言われたり、公的機関を名乗る人物から、『ウイルスが別の方に感染したから示談金が必要』などと電話がかかってきて、言われるまま振り込んでいるうちに、被害総額が増えていきます」



騙されないためには、パソコンに警告が出ても絶対に電話をしないこと。警察や役所、大企業などを名乗った場合でも、すぐ信用せず、いったん電話を切って公開されている窓口に確認をとるとよい。





■“新発売”に飛びつく人は騙されやすい



続いて、主婦も狙われやすい「タスク・副業詐欺」にも要注意。



指定されたサイトに“いいね”を押すだけで収入が得られる、といった副業に応募すると、「時間内にタスク(作業)が終わっていない」などと言われ、違約金として金銭を騙し取られるケースが多発しているという。



「最初のうちは、少額の報酬が支払われることがあるので信用してしまいます。そのうち、『5万円のシステムを購入すれば月に100万円稼げるようになる』などと言われ、被害が何百万円に及ぶことも」



犯人は、つねに会話の中で、相手がどれくらいお金を持っているか探っている。「行ける」と踏めば、徹底的に搾り取るという。



ほかにも、恋愛感情に付け込む「ロマンス詐欺」や、有名人を装って誘い込む「投資詐欺」、架空の未納料金を請求される「架空請求詐欺」などの被害も後を絶たない。自分がどういった詐欺に騙されやすいか確認しよう。



また、「コンビニで、思わず“新発売”に飛びついてしまう人は騙されやすい」と警鐘を鳴らすのは、社会心理学が専門の西田公昭さん(立正大学大学院教授)。



「詐欺師は、人の不安や欲望といった感情をあおり、冷静さを失わせて金銭を騙し取ります。



つまり、感情をコントロールするのが苦手な方が引っかかりやすい。日ごろから、いったん立ち止まって冷静に考えるクセをつけることをおすすめします」



次々と発生する新手の詐欺に騙されないためには、その手口を知り、冷静に対応することが重要だ。

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