【NBA】河村勇輝デビュー、高校恩師「運を引き寄せる選手」 ごみ拾い通学で徳を積む

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2024年10月26日 12:15  日刊スポーツ

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ロケッツ戦に出場したグリズリーズ河村勇輝(AP)

<米バスケットボールNBA:ロケッツ128−108グリズリーズ>◇25日(日本時間26日)◇米テキサス州ヒューストン◇トヨタ・センター



グリズリーズとツーウエー契約を結ぶ河村勇輝(23)がNBAデビューを果たした。最高峰リーグ公式戦のコートに立つのは日本選手4人目で、Bリーグ出身の日本勢では初めて。チームの開幕2戦目となるロケッツ戦に途中出場。記念すべき1アシストも記録した。


◇  ◇  ◇


とんとん拍子でツーウエー契約をつかんだ河村が、開幕第2戦で早くもデビューを飾った。当初、渡米1年目は下部Gリーグでのプレーが既定路線とみられていた。しかしプレシーズンゲーム(オープン戦)での内容が高く評価され、ツーウエー契約締結に至った。


河村の恩師、福岡第一高の井手口孝監督は、「河村は運を引き寄せる選手」とほほ笑む。パリ五輪出場を目指すために河村が東海大を中退したあと、日本代表の指揮官としてトム・ホーバス監督が就任。高校バスケの名将は、「あのタイミングでトムさんが代表監督になったことは大きい。河村のような小柄な選手を起用することにためらいのない指導者」とうなずく。


昨夏のW杯が自国開催だったことも、めぐり合わせの良さのひとつ。井手口監督は「日本でやったからこそ、あの盛り上がりにつながった。もちろん彼のプレー技術の高さもあるけれど、大声援が後押しになった部分はあるのでは」と分析。W杯で五輪切符を獲得し、そしてパリ五輪で活躍を見せたことで、NBAへの道がさらに開けた。


渡米後も運が重なった。元MVPデリック・ローズが9月下旬に引退したことで、今月15日にスコッティ・ピッペンが本契約昇格。上限3人と定められたツーウエー枠に空きができ、4日後に契約成立となった。開幕直前にはグリズリーズにけが人が相次ぎ、5選手が開幕戦を欠場することに。その影響もあって開幕戦からベンチ入りを果たすと、直後の試合で出場機会が早速回ってきた。


運も実力のうち。その運をつかめるのは、日頃から徳を積んできたからこそか。高校時代の河村は寮から校門への約5分、バスケ部のマネジャーとともにごみ拾いをしながら通学した。井手口監督は「いつもそういうことをやっていたから、やっぱり運を拾えるんでしょうね」と目を細める。


ツーウエー契約が決まったとき、日本時間午前3時ごろに恩師の元へLINEが届いた。「『直接話したいことがあります』とメッセージがあって。そのあと電話口に契約の報告をしてくれました」。ツーウエー契約を結んだことを驚きと喜びで受け止めた井手口監督だが、「まだスタートラインに立ったところ。そのことは本人もわかっている」。1歩ずつ、着実に前に進んでいく教え子の姿を、温かい目で見守り続ける。【奥岡幹浩】

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