若年層で支持を集める「国民民主党」支持層が離れていった「自民党」 有権者の投票行動を分析【衆院選2024】

2

2024年10月28日 00:40  TBS NEWS DIG

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

TBS NEWS DIG

TBS NEWS DIG

JX通信社とTBSで実施した独自のアンケートをもとに今回の衆院選における有権者の投票行動を分析したところ、年代によって投票先に変化がみられることが分かりました。JX通信・米重克洋さんの解説です。

【写真を見る】若年層で支持を集める「国民民主党」支持層が離れていった「自民党」 有権者の投票行動を分析【衆院選2024】

「国民民主党」は現役世代の支持を獲得

JX通信社・米重克洋さん:
全国の有権者を対象に投票1週間前にインターネットで調査をしたところ、20〜40代の「国民民主党」に対する比例投票の意向が非常に高いことがわかりました。

野党第一党である「立憲民主党」を上回り、さらに若い世代から比較的、支持が強い「維新の会」も上回っています。

一方、「立憲民主党」の支持層は50代以上が多く、特に70代以上の割合が非常に高くなっています。

「自民党」や他の政党については、年齢層による支持の構造にばらつきが少ないものの、「自民党」は全体として若干減り、「立憲民主党」は小選挙区を中心に大きく伸ばしていくと思います。

今回、「国民民主党」が議席を大きく伸ばす見込みです。その原動力が20〜40代、50代の現役世代の支持にあることがわかりました。

TBS政治担当 石塚博久 解説委員:
国民民主党は若い人に非常に受けているということですね。玉木雄一郎代表が「賃金を上げる、手取りを増やす」というキャッチフレーズを全面展開しています。玉木代表はネットも好きで、それもうまくいったということですね。

篠原梨菜 キャスター:
一般的に若年層の投票率が低いといわれていますが、その中で国民民主党の支持が比較的高いのがこの若年層です。これが情勢につながっているという見方はできますか?

JX通信社・米重さん:
間違いなく若い世代での支持獲得が「国民民主党」の比例投票先、支持獲得に繋がっていると思います。世代別の投票率でいうと、前回の総選挙で20代は60代の半分強ぐらいしか投票に行きませんでした。

これはかなり低いのですが、まとまったこの支持のボリュームを獲得していくと「国民民主党」は、比例代表を中心に議席を獲得していくことができる。

ただ今回は小選挙区で候補者をあまり擁立できなかったので、今後は小選挙区でもっと立てることが増えてきた時に、他の野党と本格的に競合していくこともゆくゆくはあり得るかもしれません。

篠原キャスター:
「立憲民主党」は年代が上がっていくほど占める割合が大きいようです。

石塚解説委員:
世代が高い方は自民党を支持するだろうと思ったのですが、今回は「立憲民主党」を支持する方が多く、意外でしたね。やはり裏金問題などに怒りを感じているのでしょう。

JX通信社・米重さん:
政治とカネについては政治意識の高い高齢層、特に男性有権者に対して非常に嫌気されていることが様々なデータからわかっています。やはりその部分が「立憲」が、「自民」を上回る結果に繋がっていると思います。

「自民党」支持層が“自民党に入れるのをためらう”

篠原キャスター:
支持政党別の比例投票先では、各党、支持固め自体はそれぞれできているようですが…

JX通信社・米重さん:
「自民党」支持層が比例投票先で自民党に入れるのは当たり前だと思うのですが、今回は結構な数の票が他党にこぼれています。このこぼれた票が他党を伸ばすことになっています。  

つまり「自民党」支持層が“自民党に入れるのをためらう”ということが、今回の選挙戦を大きく象徴している部分ではないでしょうか。

無党派層において今回一番大きい支持を得たのは「立憲民主党」です。これは他の調査でも全く同じような傾向が出ています。

無党派層は既存政党を支持する選択肢を持たない人たちですが、今回あえてどの政党に投票しようかというときに、野党第一党である「立憲民主党」に投票したということが読み取れるわけです。

今回、無党派層は大挙して「立憲民主党」や野党を支持しましたが、「国民民主党」も「維新の会」を上回る支持を無党派から調達しました。まさに全体として「自民党」の苦戦に繋がっていることがわかります。

篠原キャスター:
無党派の中で「自民党」の占める割合が少ないですし、また「自民党」支持層の中で他党に票を入れた人もいる。他党に流れた票の数は少ないように見えるかもしれませんが、非常に大きな影響があるのですね。

JX通信社・米重さん:
おっしゃる通りです。「自民党」の支持率は例えば「維新の会」や「国民民主党」と比べると何倍もあるわけですから、単純にその絶対値をそれぞれ置いたとき、かなりのボリュームになりますよね。

しかも「自民党」の支持層のボリューム自体が以前よりは減っているのです。時系列世論調査をみると、自民党総裁選によるブースト効果で一時的に政党支持率が引き上がったのですが、その後、選挙戦の議論を通じて支持率がじわじわと下がるというのが10月の傾向としてありました。

支持が減った上に、さらに残っている支持層も「自民党」に対する忠誠心が薄く、比例投票においても自民党が苦戦を強いられていることに繋がったと思います。

石塚解説委員:
「自民党」支持層が比例投票先で「立憲民主党」に入れている人もいます。野田さんが「立憲」の代表になったからでしょうか。

JX通信社・米重さん:
そのような側面もあると思います。よく「与党にお灸をすえたい」という人がいますが、まさに“お灸票”なのでしょう。

石塚解説委員:
自民党支持層は「比例は公明党」といわれているのに、票が少ないですね。

JX通信社・米重さん:
そうですね。小選挙区で「公明党」が立ったときに、「自民党」が応援のために「自民党」支持層をまとめようとするのですが、5〜6割と歩留まり悪い。

かつ「公明党」に応援してもらった「自民党」の小選挙区候補はその恩返しとして「比例は公明党」と言っていました。

特に情勢が厳しい自民党の小選挙区候補は一生懸命「比例は公明党、比例は公明党」と言っていましたが、選挙が弱い人がいくら呼びかけたところで元々、歩留まりが悪い「自民」支持層が行くわけがないですよね。

なかなか片務的というか、「公明党」の方が自公連立に対して得票という意味ではかなり貢献している部分が大きいと思います。

篠原キャスター:
東京7区、丸川珠代さんが落選確実になりました。

JX通信社・米重さん:
丸川さんは「自民党」支持層を十分に固められず、また「公明党」の支持層も半分くらいしか支持を得られませんでした。無党派層にいたっては「立憲民主党」の松尾明弘さんに大きく水を開けられました。

やはり「自民」・「公明」の与党候補が選挙区で勝利しようとしたら、最低限、「自民党」支持層と「公明党」支持層はしっかりグリップしないといけません。

その上で無党派層で相手よりも多く票を取ることができれば、全体としてはかなりリードすることができるのですが…しかも丸川さんは今回、参議院から衆議院に鞍替えしての出馬でしたのであまり地域に根付いていなかったこともあるでしょう。

このニュースに関するつぶやき

  • 大企業を好む日本人という印象。野球に例えると巨人と反巨人だった昭和中期の「巨人vs阪神」。その他球団やパリーグを観る人は地元かマニアしかいなかった時代と同じ構図に感じた。
    • イイネ!0
    • コメント 1件

つぶやき一覧へ(2件)

前日のランキングへ

ニュース設定