※本稿は『HUNTER×HUNTER』最新話までの内容を含みます。ネタバレにご注意ください。
『HUNTER×HUNTER』では現在、暗黒大陸に向かう巨大輸送船を舞台とした「王位継承編」が描かれている最中。そこではさまざまな人物の思惑が絡み合い、謎が謎を呼ぶ展開が続いているが、とくに注目を浴びているのが「11人いる!事件」だ。今回は現在提示されている情報をまとめつつ、その真犯人をあらためて予想してみたい。
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この事件が起きたのは、第359話以降のこと。第14王子ワブルの護衛を務めるクラピカの周辺で、次々と奇妙な殺人事件が起きていく。重要なのは第369話と第370話で描かれた第2の事件で、クラピカが開いた念能力講習会において何者かが「11人いる!」(サイレントマジョリティー)という能力を発動し、参加者の1人であるバリゲンを抹殺した。
「11人いる!」は座敷人形(黒ぼっこ)と呪唇白蛇(ツチボッコ)をセットで発動し、標的の血液を吸い尽くす能力のようだが、暗殺者自身のモノローグによって“射程”の限界があることが明かされている。そのため犯人は講習会に参加した16人のうちの誰か……というのが基本的な前提だ。
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そこで容疑者としてよく名前が挙がっていたのが、第5王妃・スィンコスィンコの所属兵・ムシャホ。なぜ怪しまれているかというと、彼と同じスィンコスィンコ王妃の所属兵が、他にも念能力を使用した暗殺事件を起こしているからだ。それが第368話にて第12王子・モモゼを暗殺したタフディーという人物で、後に判明したことだが「幽体離脱」(ザタッチ)という分身術を使う念能力者だった。
また、ムシャホは講習会に参加した際、モノローグで第8王子・サレサレの警護を厄介払いされたとこぼしつつ、「他の者には任せられない最重要任務である事は事実!」と息巻いていた。
継承戦が始まって早々にモモゼを暗殺させたことからも分かるように、スィンコスィンコ王妃は性急に事を進めようとしていたので、この時点でムシャホに対して暗殺任務を下していたとしてもおかしくはなさそうだ。その場合、任務の内容は「不可解な事件を起こすことで念能力講習会を妨害する」ことにあったのかもしれない。
だがスィンコスィンコ王妃がバックについていたサレサレは、第382話の時点で脱落してしまった。「11人いる!」による犯行がある時点からピタッと止まっているのは、サレサレの脱落によってもう暗躍する意味がなくなったからだと推測できるだろう。
ただ、ムシャホ犯人説にはとある問題点があることも指摘されている。
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新たに有力な容疑者として浮上してきたのは……
そもそもの前提から説明すると、「11人いる!事件」の犯人探しにおいて、重要なカギを握っているのがヒュリコフだ。
ヒュリコフは類まれなる観察眼をもつ念能力者で、他人が念を使うことができるかどうかを見抜ける特殊技能をもつ。そして念能力講習会においては、念を「使えないフリ」している人間が4人潜んでいることを見抜き、その中の1人が暗殺者だと推理していた。
この4人の内の1人は、第10王子・カチョウの従事者・ロベリーだが、彼女は国王軍に拘束された。また第9王子・ハルケンブルグの私設兵であるユヒライとシェジュールは、念獣に「刻印」を捺されたことで、気づかない間に念を使えるようになっていた“無自覚”な能力者なので、容疑者から除外される。そこでヒュリコフは、“最後の1人”こそが事件の犯人だと推測するのだった。
そしてムシャホ犯人説は、この最後の隠れ念能力者がムシャホであるという前提に基づいている。
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しかし10月7日発売の『週刊少年ジャンプ』45号に掲載された第401話にて、衝撃の事実が判明。最後の隠れ念能力者が、第5王子・ツベッパの私設兵であるロンギだと判明したのだ。さらに「11人いる!」とは別の能力を持っていることがわかり、容疑者からほぼ外れることとなった。
こうなると、ヒュリコフによる「隠れ念能力者の最後の1人が犯人」という推理は崩れ去り、ムシャホ犯人説も否定されてしまうように思われる。ムシャホが念能力者ではないことが確定してしまうからだ。もしこれを否定してムシャホを疑い続けるなら、「ヒュリコフは念能力の有無を完璧に見抜ける」という前提自体がフェイクだったと考えるしかないだろう。
だが、こうした前提と矛盾しない形で犯人当てを続行することもできる。その可能性こそが、シェジュール犯人説だ。
シェジュールはハルケンブルグの念獣に影響を受けた“無自覚”の念能力者なので、犯人から除外されていたが、これがブラフだとすればどうだろうか。つまり実は元々能力者であり、それを隠すために念獣の影響で覚醒したフリをした……というわけだ。
しかもシェジュールに関しては、クラピカに説明を受ける前から「念獣」と明確に認識していた節があり、無知を装っていた人物だという疑いがある。犯人と断定できる根拠が揃っているわけではないが、有力な容疑者と言っていいのではないだろうか。
本格ミステリ小説並みに複雑な頭脳戦に発展している「11人いる!事件」。真相に迫るためにも、次なる手がかりが明かされる回を心待ちにしたい。
(文=キットゥン希美)
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