給与から天引きされるものは社会保険料と税金
給料を支給されても、実際に銀行口座に振り込まれている金額が少ないと驚くことも多いのではないでしょうか。お給料から強制的に控除(天引き)されるのは、社会保険料と税金(所得税、住民税)。これらがどのように決まるか、そして月収20万円だと手取りはいくらくらいになるのでしょうか?月収20万円:社会保険料は約2万9500円
給与から強制的に引かれる社会保険料は、厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料。そして、40歳を過ぎると介護保険料が加わります。それぞれ、給与を元にした「標準報酬月額」に保険料率をかけたものが控除額となります。社会保険料の保険料率をそれぞれみてみましょう。
いずれも、令和6年度の個人負担分を考えます(社会保険料は労使で負担しているため、会社も負担しています)。
厚生年金の保険料率は9.15%。健康保険の保険料率は加入している健康保険によって異なりますが、協会けんぽ(東京都)の場合、4.99%。雇用保険の保険料率は一般の事業の場合、0.6%となっています。また、40歳以上で負担する介護保険の保険料率は0.8%(令和6年度の場合)。
これらを合計すると、40歳までは14.74%、40歳以上になると15.54%となります。月収20万円(40歳まで)で単純に計算すると、2万9480円ということになります(正確には厚生年金と健康保険は、4〜6月の給与を元にした標準報酬月額から算出します)。
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税金(所得税)は扶養親族なしで、3700円
次に、税金のうちの所得税をみてみましょう。所得税はその年の所得に対して納める税金です。毎月の給与からは、源泉徴収税として天引きされ、年末に精算されます(年末調整)。この給与からの源泉徴収税は、収入と扶養親族の数によって決まります。月収20万円で上記のように社会保険料2万9500円を支払った人の所得税(源泉徴収税)は、扶養親族が0人で3700円、1人で2070円、2人で460円となっています。
住民税は前年所得にかかる
次に住民税をみてみましょう。住民税は前年の所得にかかってきます。ですから、新入社員のように前年所得がない人は、住民税の控除がありません。今回は、前年も同様な所得(月収20万円、ボーナス年2カ月分で年収280万円)があったとすると、住民税の年額は扶養なしで10万6500円*、扶養配偶者などがいれば7万1000円*となります。
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1カ月当たり、扶養なしで8875円、扶養配偶者ありで5916円となります。
月収20万円独身の手取りは15万7900円、扶養家族ありの場合は手取りが16万2500円
では、仮に40歳未満、前年も同程度の所得あり、加入健康保険は協会けんぽ(東京都)とした、月収20万円の「独身の場合」と「扶養家族ありの場合」の手取りはいくらになるでしょうか。それぞれ、次のように計算されます(金額の端数処理はしていません)。【月収20万円、扶養親族なしの場合】
社会保険料……2万9500円
所得税……3700円
住民税……8875円*
控除合計……4万2075円
となり、手取り額は15万7925円ということに。
【月収20万円、扶養配偶者ありの場合】
社会保険料……2万9500円
所得税……2070円
住民税……5916円*
控除合計……3万7486円
となり、手取り額は16万2514円となります。
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また、会社によっては、これら以外にも労働組合費や共済費などが控除される場合もあります。さらに社員食堂の利用料、給与天引きで加入した民間の生命保険料などが天引きされることもあります。これらを引いた金額が給料の手取りとなります。
何にどれくらい引かれているかは、給与明細書などで常にチェックしておくようにしましょう。
文:福一 由紀(ファイナンシャルプランナー)
大学卒業後システムエンジニアとして勤務。2人の子どもを出産し退職後FP資格を取得。女性のFP仲間とともに会社を設立し、セミナー、執筆、各種メディアへの企画監修、コンサルティングなどを行っている。
(文:福一 由紀(ファイナンシャルプランナー))