記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
さて、世の中はハロウィンに向けて盛り上がっています。ハロウィンといえばお菓子ですが、平成初期にはいろいろなお菓子が流行しました。
タピオカはミルクティーによる再流行が起き、ティラミスはコストコやサイゼリヤの定番商品に。その中で少し影が薄いのが、今回紹介するナタ・デ・ココ(以下、ナタデココ)ではないでしょうか。
ナタデココは、ヤシの実の中にあるココナツジュースにナタ菌を加えて発酵させ、凝固した表面から切り出されたものです。薄い乳白色で、四角く切った形状でシロップやフルーツと共に提供されました。見た目は寒天のようですが、繊維質の強いグミのような食感であるのが特徴です。
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ナタデココはかねて販売されていましたが、当時いろいろなスイーツを採用してはヒットさせていた大手ファミリーレストランのデニーズが1992年にメニューに加えたことから注目が集まり、93年にヒットしました。
ナタデココ自体にはほとんど味がなく、食べ方もさまざま。これは調理食品であるティラミスと、食材であるナタデココの大きな違いです。また、ナタデココは硬さがあり、小粒でも食感が残るため、缶飲料に入れて飲むことができました。
これもまたティラミスではできないことで、当時はナタデココの缶飲料がいろいろと発売されました。フルーツとの組み合わせが多い中で、特に驚いたのはナタデココinおしるこ。お餅をナタデココにしたというアイデア商品なのでしょう。
また当時、テレビ東京系の深夜番組『ギルガメッシュないと』の「新・夜食ばんざい」内で結成された、人気絶頂のセクシー女優が「憂木 瞳&イジリー岡田」というユニットで発売したシングルCDが『マンゴ・ナタ・デ・ココ』。ブーム真っ最中の93年に発売しており、ナタデココの影響力を感じたものです。
そんなナタデココ。今も現役で販売されていますので、探して食べてみてください。
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撮影/榊 智朗