妻に劇物の「メタノール」を摂取させて殺害した罪に問われた「第一三共」の元研究員に、懲役16年の実刑判決が言い渡されました。
吉田被告
「私は無実です」
初公判で語気を強めて無罪を主張した、大手製薬会社「第一三共」の元研究員・吉田佳右被告(42)。
おととし1月、東京・大田区の自宅で妻の容子さん(当時40)に劇物の「メタノール」を摂取させて殺害した罪に問われています。
裁判の争点は、容子さんが自殺したのか、それとも他殺なのかです。
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容子さんは亡くなる日の前日、嘔吐したり、寝室のベッドから何度も落ちたりするなど、異常な行動を取っていました。検察側の主張は…
検察官
「亡くなる直前の容子さんの異常行動を目撃しても、救急車を呼ばなかった」
吉田被告が容子さんの異常な行動を見ていたものの、119番通報したのはその翌日だったと指摘。この点について、吉田被告は…
吉田被告
「『どうせ二日酔いだろう』と思っていた。妻が亡くなってから、ずっと救急車を呼ぶべきだったと後悔している。なぜ二日酔いだと思い込んだのか、今も分からない」
事件に使われたとされるメタノールについては。
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吉田被告
「仕事で一日に何回も使用することもあったが、会社から持ち出したことは一度もありません。私は妻に殺意を抱いたことはない」
主張は真っ向から対立しました。そして、きょうの判決。
裁判長
「自宅で配偶者が異常行動を繰り返した場合は急病を疑い、119番通報するのが通常。救急車を呼ばなかったことは、被告人が被害者にメタノールを摂取させたとすれば、合理的に説明できる」
吉田被告による犯行と認定。
裁判長
「メタノール中毒の症状で長時間苦しんだ挙げ句、死亡した被害者の肉体的、精神的苦痛の大きさは計り知れない」
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吉田被告に懲役16年の実刑判決を言い渡しました。吉田被告は判決を黙って聞いていました。