「婚姻の平等へ前進」 同性婚訴訟の原告、東京高裁の違憲判断に

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2024年10月30日 21:07  毎日新聞

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毎日新聞

違憲判決を喜ぶ原告の小野春さん(仮名)=東京都千代田区で2024年10月30日午前10時59分、宮間俊樹撮影

 同性同士の婚姻を認めない現行制度の憲法適合性が争われている同性婚訴訟で、高裁として2例目となった30日の東京高裁判決は、3月に言い渡された札幌高裁判決に続いて「違憲」判断を示した。原告の同性カップルたちは「婚姻の平等へさらに前進」と歓迎し、識者は「裁判所が強いメッセージを発した」と受け止めた。


 「違憲と言われ、報われたようなうれしい気持ち」。傍聴席で判決を見守った原告の小野春さん=仮名、東京都世田谷区=は閉廷後の記者会見で、これまでの道のりを振り返った。


 ともに50代で同性パートナーの西川麻実さん=仮名=と20年近く一緒に暮らす。過去の結婚で小野さんは息子2人、西川さんは娘1人を授かり、今は5人家族だ。


 同性同士で婚姻できないことで、多くの困難に直面してきた。


 小野さんの次男が幼い頃に入院することになり、西川さんが手続きしようとした時のこと。病院の担当者は「離婚した元夫でもいいので、血縁の親を連れてきてください」とけんもほろろだった。


 小野さんの長男が小学生だった時のこと。長男が作文で西川さんに触れたところ、教員から「この人は誰?」と聞かれた。だからだろうか。長男は夏休みの絵日記に、西川さんと長女を目立たないように描いた。小野さんは、家族を家族と言えない長男の気持ちを想像して心が締め付けられる思いに駆られたという。


 将来の不安も尽きない。小野さんと西川さんは法的には赤の他人。男女婚なら認められる財産の相続権も、パートナーの子どもに対する親権も明確に保障されていない。「現状を変えたい」。それが訴訟を起こした動機だった。


 1審・東京地裁判決は、婚姻で得られる権利が同性カップルには一切与えられていない現状を問題視しつつ、国会の裁量を重視して「違憲状態」と判断した。


 しかし30日の東京高裁判決は、同性間と男女間で区別が生じている現状について「差別的取り扱いをしている」と認めた。


 高裁判決は、同性婚を受け入れる機運が社会で高まっていることにも触れた。小野さんは、裁判所が自身の歩みとアイデンティティーを肯定してくれているように感じたという。「子どもを持つ同性カップルは増え、若い世代にも広がりを見せている。一日も早く同性婚を法制化してほしい」と改めて願った。【菅野蘭、巽賢司】



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